「物語」分類の欠点(大)

《厄介者/Black Sheep》

内容:

 それなりの名家の出ですが、現在は疎遠になっています。一族の敵の格好の攻撃対象で、また出身一族の間では悪い評判をもちます。

第四版からの変化:

 コストが−1から−3相当へ増加。それ以外はほぼ変化なし。

コメント:

 出身の一族、およびそれを取り巻く人間関係から派生してくる物語です。

  • 天禀のせいで疎まれていたマギが、御家騒動に巻きこまれる。
  • 一族の者が一人ずつ殺されていく事件が起き、降りかかる火の粉を払う。
  • 駆け落ちした両親の子が、ひょんなことから一族の中に戻ることになり…?(『小公子』

など。疎遠になった理由、それが再び関わりをもつことになるきっかけ、そういった辺りから考えていくとよいかと思います。

《ウェヌスの呪い/Curse of Venus》

内容:

 想う相手に想われず、想わぬ相手に想われて。恋愛でもれなく不幸になります。

第四版からの変化:

 コストが−2から−3相当へ増加。望まない相手への【魅力】ボーナスと、望む相手への【魅力】【交渉】ペナルティが削除され、数値でなく物語で行う形になりました。

コメント:

 対になる美点は《ウェヌスの祝福/Venus' Blessing》。やはり人類の半分は異性、厄介ごとは至るところに転がっています。〈作法〉などでエレガントにかわしたいところ。修羅場対策もないといろいろ大変(というか必要に迫られて身につけていそう)。いわゆる『だめんず・うぉ〜か〜』もこれですね。

 もう少し真面目にいくと、不都合な相手と恋愛関係になるのがこの欠点で、その不都合さの設定がキモになります。不都合を不都合と思わないキャラクターにはこの欠点はお勧めできません。ランスロット卿はアーサー王の友情との板挟みになって悩むからいいのであって、略奪愛はまた別のもの(笑) 『ブレイド・オブ・アルカナ』での記事になりますが、この辺のことは神無城遼さん「058 許されぬ愛」(=世間的に認められない恋愛)「088 悲しき恋の定め」(=実らない片恋をしている)の項で上手に解説しておられますので、ネタとして私から付け加えることはあまりありません。

 不幸な恋愛で悲劇に終わせるも良し、物語の最後に思いが通じて周囲の理解も取り付けられて、という幸せなエピローグにするのもまた良しと思います。あるいは、そっと身を引いて恋敵に譲るいじらしさもアリかな。

《暗い秘密/Dark Secret》

内容:

 知られてはならない秘密があります。

第四版からの変化:

 −1から−3へというコストの変動のみ。

コメント:

 抱き合わせの自動修得であるディエドネー派を筆頭に、《獣人/Lycanthrope》やら《異装癖/Transvestite》やら《焼き印持ちの罪人/Branded Criminal》やら多士済々。むしろ他の設定を作った結果として、こういうネタの物語を遊ぶことになるケースが多いでしょうか。

 秘密を抱えたキャラクターは、真実とは異なる偽りを掲げて生きています。それを守るため、心を完全には開かず、誰に対してもどこか一歩距離をとっていたり。ひとたび壁を作ってしまった以上、いったいどこからこの堤が崩れるかわからない恐怖が去ることはありません。
 こうした真実と偽りとのギャップで生成される緊張が、このネタの原動力です。両者の距離が離れれば離れるほど内的なテンションを増していき、なにかのきっかけで解放されるのが王道。「構造が移り変わるときの落差こそドラマ」というのを以前氷川さんのところで読みましたが、まさにそんな感じです(極端な話、いわゆるツンデレもこの理論に則っていますよな)。

 秘密を暴く暴かれないをシナリオ内の課題として遊ぶ素直なやり方も当然ありましょうが、個人的にはこういう自滅型というか、自分で問題を抱え込みやすいタイプで遊ぶ方が好きかなぁ。お互いの秘密に干渉しない距離感とか、秘密で垣根を作っていたところに神が「ふところに割り込ませた」人とか。この辺はお好みでどうぞ。

《扶養対象/Dependent》

内容:

 面倒をみてやらなくてはならない弱者なNPCがいます。

第四版からの変化:

 コストの変動(−1から−3へ)の他、対象の制限が明示されました。また、以前は対象を複数にすることで何度も重ねて取ることができましたが、物語欠点となったことでそれは不可となっています。

コメント:

 《厄介者/Black Sheep》と同じく、扶養対象の巻きこまれている人間関係に自分も巻きこまれる、もしくは逆に、自分の巻きこまれている人間関係に扶養対象も巻きこんでしまう、といった形になろうかと思います。扶養対象をもつキャラにとっては、自分より扶養対象を攻められる方が痛いんですよね。「ここを狙ってくれ」と標的マークをつけているようなものですから、SGは遠慮なく狙ってあげましょう(笑)

 具体的なキャラクターとしては、病弱な弟妹であったり、マギに対する徒弟であったり。あとこれはグレーですが、人でなく場所を対象とすることも考えられなくはないかな。聖なる泉とか樹木とか。

 なお、これについては物語欠点の対象の中で唯一、対象人物の状態が変化した際の処理について記されています(別な物語欠点に振り替える)が、個人的にはこの扱いにはあまり賛成できないかも。物語を通して変わったなら、その欠点はもう解消ということでチャラにしていいんじゃないでしょうか。もっとも、それ以外による自然変化の場合についての規定なのかもしれませんが…。

《悪魔崇拝の影/Diabolic Past》

内容:

 何らかの形で過去に悪魔崇拝と縁がありました。〈地獄界知識〉の取得資格を得ます。

第四版からの変化:

 《悪魔崇拝者による養育/Diabolic Upbringing》からのマイナーチェンジです。両親が悪魔崇拝者という限定から、過去に縁があったケース全般に設定の幅が広がりました。コストが−2から−3へ。

コメント:

 本文にあるように、過去の亡霊というか、縁のあった悪魔崇拝者や悪魔ご本尊とふたたび出会って…というネタが王道としてまず一つ。その他に、キャラクター本人が自らの過ちと向き合っていくという方向もあります。そちらについては4版時代に書いた過去記事をご参照ください。実際に地獄界の術を使えるようにしようとすると、5版では大の美点を最低でも二つは取ることになるのでコスト的に大変ですが、そこは雑集派の無料取得美点を当てるとか、マギのスロットのかわりに作る「超常コンパニオン/mythic companion」でやるとかすれば、それなりになんとか。それに、「贋の力/False Powers」扱い(RoP:Infernal参照)だったとすれば、悔い改めのときに消えてしまっていてもおかしくはありませんしね。

《手を焼く部下/Difficult Underlings》

内容:

 部下が厄介事を引き起こします。

第四版からの変化:

 直接対応する欠点はなかったので、一応は新規参入組ということになります。+1に《年季奉公人/Indentured Survant》という美点があるにはあったんですが、そいつはまともな手下でしたからね。

コメント:

 よくいるよね、こういう人。本人はスゴク頑張ってるのに。

 古今東西悪の科学者マギには、その完璧な計画を最後の最後でおじゃんにする無能な部下がつきものですし。それも単に無能なのではなくて、どこか憎めない好人物だとさらにポイント高いですね。

 そういうわけで、どちらかというとコメディなネタになることが多いかと思います。報われなさを楽しんで遊びましょう。周囲のプレイヤーも積極的に部下のプレイングに参加して、困らせてあげてください。あんまりシビア&マンチなサガには向きませんが、でもこの欠点を許容できる程度にのんびりした雰囲気の方が個人的には好きですねぇ。

《宿敵/Enemies》

内容:

 相争う宿敵がいます。

第四版からの変化:

 相手の強さによって−1〜−4にコスト可変だったのが、−3相当に固定になりました。

コメント:

 対立と相克はダイナミックな物語の一つのエッセンスです。中でもこの《宿敵/Enemies》はストレート。魅力的な仇役は容易かつ確実に物語を盛り上げてくれますから、これをエンジンとした物語は枚挙にいとまがありません。
 具体的に可能性を挙げれば、審問士には法典違反をしている強力なマギ、フランボー派には魔術団の仇敵、《無法者の長/Outlaw Leader》には目の敵にしてくる官憲、無実の罪で処刑されたマギの弟子なら師匠の仇、といった案配。とにかく宿敵をいかに魅力的に造型するかがすべてです。この辺に関しては、白銀の狼さんの「強いボス的存在を作ろう!」、小太刀右京さんの「ビカミング・ヴィライン」といった記事をお勧めします。

 また、もう一ひねりするならば、単純な対立だけでなく複合的な事情をもたせる手もあります。典型的なところで、宿敵が他のキャラと友好的な関係を結んでいたりするわけです。また、少し古いですが『ヘンダース・ルインの領主』でしたか、ルーンクエストの小説で、宿敵同士たるオーランスとゾラック・ゾラーンが、偶然の遭遇で戦いはしたもののそれで両者ともリソースを使いすぎ、共通の敵であるヴァンパイアを倒すために協力せざるをえなくなった、という呉越同舟の奇妙な友情もありました。こういうのもいいですねぇ。

《恩義/Favors》

内容:

 恩義を受けており、その恩返しを求められることがあります。

第四版からの変化:

 コストが−1から−3相当へ。内容は変わりません。

コメント:

 いわば「断りにくい筋から使命を与えられても異存ありません」という内容で、tmiyaさんは積極的に物語の浮かばないキャラクター向けとして勧めてらっしゃいました。導入を作りやすい物語欠点で、けだし納得です。他のキャラクターの物語に、副次的な形でからませるのも難しくないでしょう。

 また、この欠点本来の形としても、政治劇の中で使ったり、あるいは絶対的な忠誠をドラマとして見せたりと、いろいろ使い出は考えられるかと思います。

《確執/Feud》

内容:

 一族ぐるみで別な一族と抗争中。

第四版からの変化:

 "Lion of the North"初出〜"WGRE"経由の再録です。確執の長さでコスト−1〜−3、それに超常の力の関与で割り増し、という可変欠点でしたが、これも−3相当に統一されました。内容は変わりません。

コメント:

 《宿敵/Enemies》が個人的なものであるのに対して、こちらは出身家系という社会的な要素にひきずられています。ですからかの『ロミオとジュリエット』(&『ウェストサイド物語』)のように、本人の意向と周囲の意向の食い違いというドラマが生まれる余地のあるのが、この物語欠点の一つの特徴ですね。

 俗世を離れたマギたちも確執から自由ではいられません。師弟一門で徒党を組むだけにかえって性質が悪いかも。それの極北は魔術団vsディエドネー派となりましょう。また、ウェルディーティウス派は、祖師がコルシカ島の出身であることにも由来して、この手の抗争には手を染めやすいようです。

 なお、確執といっても程度はピンキリで、ほんの最近起こったものであれば「まだ」流血沙汰になるほどではないでしょうし、逆に数世代にわたって血で血を洗うような抗争になっているケースもあろうかと思います。その辺の可能性もいろいろ考えてみましょう。

《憤激/Fury》

内容:

 特定のきっかけで怒りに我を忘れます。また、落ち着くまでの間はダメージ値ボーナス&その他の全判定ペナルティ。

第四版からの変化:

 まったく変化なし。物語欠点としては唯一か?

コメント:

 これはズバリ、ナウシカでしょう(「怒りに我を忘れている!」「私、自分が怖い…」)。あとは禁句とか(シラノの鼻)。
 周囲の方は Mentem 魔法など鎮める方策を用意しておきたいところですが、でも物語欠点であることを考えると、あるいは多少隙を残しておいて、怒りに振り回されるくらいでもいいかもしれませんね。

 従兄弟分としては一般美点の《凶暴化/Berserk》、性格欠点の《怒りっぽい/Wrathful》《過敏/Oversensitive》があります。適宜使い分けましょう。

《口が軽い/Indiscreet》

内容:

 なかなか秘密を守れません。

第四版からの変化:

 新規参入組。

コメント:

 三枚目を指向する物語欠点です。うっかり八兵衛的なお調子者のコンパニオンも良し、あるいは世間ずれしていない老学者先生なんかもほほえましい(?)でしょうかね。物語欠点にしては独自の物語を駆動する力に乏しいですが、のんきなムードのサガやドタバタ冒険活劇では副次的なネタとして面白いと思います。

《人違い/Mistaken Identity》

内容:

 取り違えられるほどよく似た何者かが厄介事を起こします。

第四版からの変化:

 新規参入組。

コメント:

 たとえば巷で人気の義賊であれば、自分の名を騙って非道を働く偽物は放っておけないでしょうし、魔法屋みたいなのを開いているなら、同じ屋号で禁断の技に手を染めている店の噂が流れたりすれば、その正体をつきとめ対決するのは安定した物語になるでしょう。
 『ジキルとハイド』もこれで出来るかな? また、昼と夜で入れ替わってしまい、決して会うことのない呪いというのもありそう。

 それと、本文では「(相手に)会ったことはない」としてはいますが、そっくりさん(でも性格は全然違う)な双子というのもいいかもしれませんね。あるいは、喩えが少しアレですが、わたしも田舎でチェンバロ弾きなんてほとんどおらず、出会った人の多くは「チェンバロ弾き=この人」とインプットされてしまうので、同じ境遇の兄弟子とお互いによく混同されます^^;) 『リリーのアトリエ』のゲマイナーもそうですが、こういう珍獣(?)ゆえの世間の取り違えも面白そうです。

《戒律/Monastic Vows》

内容:

 清貧・貞潔・服従からなる修道士の戒律。

第四版からの変化:

 新規参入組、だったかな。

コメント:

 性格欠点《誓い/Vow》の親戚みたいなものです。向こうで書いたように、シナリオのネタにしないなら、修道士でも《誓い/Vow》で処理してしまう方がよさそう。

 物語としては、修道院長からの命令で、何らかのミッションに派遣されて…というのが典型。他にも、修道院の生活にかかわる様々な事件が考えられます。『修道士カドフェル』『名探偵ダウリング神父』をご参考に。

《忠誠の誓い/Oath of Fealty》

内容:

 臣従の契約。主人から命令を受けることあり。

第四版からの変化:

 コストが−1から−3相当へ。また、マギがこの誓いを立てるのを法典で禁じられている点は変わりませんが、それでも何らかの原因で抗いきれずに立てる者もいる旨の一文が加わりました。

コメント:

 地位美点《封建貴族/Landed Noble》の取得者には、全員これが義務づけられます。そうでなくとも、なにしろ13世紀西洋は封建社会ですし、「いざ鎌倉」な《騎士/Knight》であったり、居住の許可や保護と引き替えに領主に仕える《賢人/Wise One》であったり、広い意味でいろいろ考えられるかと思います。

 シナリオとしては、シンプルなミッションクリア型にするも良し、あるいは、命令との間で板挟みになるのを遊んだり。どうせなら主人にあえて暗君を配したりしてもいいかも?

《超常の憎悪/Plagued by Supernatural Entity》

内容:

 天使・悪魔・妖精・幽霊などが何らかの意図で干渉してきます。

第四版からの変化:

 コストが−4から−3へ減少。突破力のボーナスが消えた上、設定面の自由度も広がりました。

コメント:

 名前は「憎悪」となっていますが、許容される干渉の形は多岐にわたり、実質は《超常の干渉》とでもした方が良いような案配です。本文ですでにさまざまな例が挙げられていますので、まずはそちらをご覧ください。小説でいうと、マカヴォイの魔法の歌三部作なんかがどっぷりこれに当たります。漫画だと遠藤淑子の『天使ですよ』とか、わかつきめぐみの『So What?』(のじっちゃんかなあ。

 いずれにせよ、その超常の存在との関わりがシナリオの本線になります。相手のキャラをどう立てるかが一番の工夫のしどころ。また普通なら、PCと相手で意思疎通できる手段も確保しておいた方がいいでしょう(《死霊の守護/Ghostly Warder》《守護天使/Guardian Angel》なら会話の手立てはデフォルトで含まれていますけどね)。

《超常の厄介事/Supernatural Nuisance》

内容:

 《超常の憎悪/Plagued by Supernatural Entity》と同様ですが、相手に特に深い考えはありません。

第四版からの変化:

 −1の《妖精の敵意/Faerie Enmity》と−2の《死霊憑き/Haunted》を包摂し、界や設定を問わない形に大きく発展解消しました。

コメント:

 この兄弟関係にある二つの欠点は、わざわざ分けるだけの意味があったのかなと思わなくもないんですが、どうなんでしょうね?
 ともあれこちらは、長期的な計画なしに関わりをもってくる部類です。《超常の憎悪/Plagued by Supernatural Entity》が明確なストーリーラインをもつ物語に向くように、こちらは日常のコメディ(というか)を遊ぶ方向になるでしょう。どちらかというとこれを本筋にシナリオを作ろうとするより、他のキャラクターの物語に脇筋でからませたり、息抜きのエピソードにしたりする方がいいかも。

《悩ませる師匠/Tormenting Master》

内容:

 師匠が一人前と認めてくれません。

第四版からの変化:

 マギ以外の師弟関係にも応用できるようになりました。コストは−1から−3相当へ。

コメント:

 師弟関係は以前の記事でも書きましたように、色々と料理しがいのある美味しいネタです。師匠の造型(関連美点には《有能な師匠/Skilled Parens》《無能な師匠/Weak Parens》《ヘルメスの威光/Hermetic Prestige》《不名誉な師匠/Infamous Master》があり)や、関係についての設定を充分に練りましょう。

 実例を挙げるなら、後ろ暗い事情で弟子を飼い殺しにしようとしたアイゼンシュタイン『妖魔の騎士』のレジークなんかが適当かな。実際アルス・マギカにおいても、弟子は研究室での助手として使い倒せるだけに、容易に卒業を認めたがらない師匠は多く、それがために、4回目以降の卒業試験は師匠でなく公正な審問士の出題によるという規定まであるわけです。(ま、師匠の恣意でなく弟子に本当に能力がないなら、そうした「追試」すら落ち続けて、『マリーのアトリエ』よろしく《悪名高い/Infamous》になるでしょうが…)。

 また、内容をもう少し拡大解釈して、周囲を振り回す傍迷惑な(けど憎めない)先生というのも面白いと思います。『動物のお医者さん』の漆原教授あたりを思い浮かべていただければ(^^;)

《まことの愛(NPC)/True Love(NPC)》

内容:

 結ばれるべき運命の相手がいます。相手が純粋な足手まといの場合には大の欠点、PCと同等以上の力をもつ場合は小の欠点となります。

 恋愛感情でなく友情についても、名前を《真の友/True Friend》に替える他はまったく同内容で使用できます。

第四版からの変化:

 《まことの愛(PC)/True Love(PC)》ですでに書きましたのでそちらをご参照ください。なお、相手がPCかNPCかでコスト分けされたのも五版になってからです。

コメント:

 同名のPC版美点では数値的なボーナスとペナルティがつきましたが、こちらはそれらがないことに注意。また、美点の項で書き忘れましたが、マギとその使い魔も《真の友/True Friend》で結ばれています(基本ルールブックp.105)。

 この欠点の対象とした相手とは、少なくともカップルとしては結ばれることが確定し、引き離すこともできないので、恋愛ネタといっても、誰と誰がくっつく/くっつかないという物語には意外と向きません。それ以外でも、《ウェヌスの呪い/Curse of Venus》など、他の物語欠点で表現する方が適している場合が割とあります。
 逆にこの《まことの愛(NPC)/True Love(NPC)》が相応しいのは、たとえば古典的な囚われの姫君など、恋人が窮地に陥ってそれを助けなくてはならない、というものでしょう。あるいは、恋人と他のPCの目的とが対立関係にあるというのもおいしいかな(敵味方に分かれちゃったりするんですね)。

 あと関連して思い浮かぶことをぐだぐだと書くと、結婚式の説教で良く引用される、聖書の「コリント人への手紙」の一節(パウロが信徒に出した書簡です)とか、「充分に発達した友情は、恋愛と見分けがつかない」とか。

最後に光原百合『銀の犬』より、《まことの愛》《まことの友》を結んだ三人の、嫉妬による破滅の真相。

それはおかしかったわ。だって、思い当たったんですもの。兄さまとフィンが一緒のときはわたしのことばかり話していた。兄さまとわたしが一緒のときは、フィンのことばかり話していた。そして、わたしとフィンが一緒のときは、兄さまのことばかり話しているって。

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