「地位」分類の美点(大)
《封建貴族/Landed Noble》
内容:
主従の契約を結ぶことで、主君から封土を与えられ、代わりに一定期間の軍役の義務を負います。《忠誠の誓い》とセットで取得することが前提で、また《騎士》との同時取得が可能です。
第四版からの変化:
まず、事実上《騎士》をデフォルトでセットにして《所領をもつ騎士/Landed
KNIGHT》という名前だったのが、それを別取りに分離して、女性領主に道を開いています。望ましい変化かと。
また、価格表が無く使い道のない金が改められ、部下や領土内での権力といった記述になりました。一方で、おまけでついてきた伝家の宝刀は無くなり、武具の質は微妙に低下しています。コストは+5から+3相当へ半減ですが、他の美点の様子をみればまあ相場といったところでしょう。
コメント:
「地位」分類の大の美点は三者三様の豪華さを誇っていますが、その中でこの《封建貴族》は、社会的地位を極めたものといえます。技能の取得資格は何も無いかわりに(《騎士》を併用すれば別)、召使いや兵士といった部下を多数持ち、暮らしも豊かですから。いきおい《富裕》や《貧乏》の影響の度合いも大きくなるので、こういうキャラクターでこそ《富裕》を使い倒せるというもの(笑)
もっとも、乱世とまでは言わないまでも、十字軍やら相続争いやら、貴族様もなかなか大変なようで。私はまだやったこと無いんですが、その辺を扱ったPCゲームで『クルセイダーキングス』が面白いらしいです。
コンパニオンとしては、マギやコヴナントのひそかな盟友(世俗社会への有力なパイプ)といった関係が手頃だと思います。一族出身のイェルビトン派がいたり、約定を結んで薬を届けるウェルディーティウス派がいたりすると、さらにスムーズでしょう。(うるさ方の審問士派がいるとアレですが^^;)
《大学講師/Maigster in Artibus》
内容:
マギステルの学位をもち、ヨーロッパのどこの大学でも教鞭をとることができます。ゲーム的には学術技能の取得資格と、大量の初期経験値割り増しがあります。学者は必ず僧でもあり、《司祭》や《托鉢修道士》との同時取得も可能。同じ理由で、女性はこの美点を取ることができません。また一方で、《マギ》と同時取得することで、学者上がりのマギが作れます。
第四版からの変化:
初期技能がテンプレート的に与えられる形から、追加の経験値を割り振る形に変わりました。実質の経験値の量として両者を比較すると、5版になって20%ほど増えています。コストは+3のまま据え置き。
また、4版では例外的にマギでも取れる地位美点であり、ボーナス経験値が大きくてひそかに穴場だったのですが、5版になってその例外が消されてしまいました。審問士派から圧力でもあったのだろーか(笑)
→070627追記:エラッタが出まして、《マギ》との同時取得が解禁されました。(tmiyaさん、情報thanks!)
コメント:
当時の学位にはバッカラーリウス(baccalarius)・マギステル(magister)・ドクトル(doctor)があります。順に現在の学士・修士・博士の元ですが、内容は地方によってまちまちだったらしく、〈自由学科〉にはマギステル、〈医学〉〈神学〉などにはドクトル、といった使い分けをした国もあったようです。
ちなみに大学の成立は、13世紀伝承ヨーロッパにとって、半ばコンテンポラリーな出来事。オクスフォードの開学は11世紀末ころですし、ケンブリッジに至っては1209年(公式のセッティングである1221年のわずか12年前!)でしかありません。
いずれにせよ教皇庁からの支持と統制や、聖職者身分にありながら血の気の多さで「若さゆえの過ち」を振りまいた学生たちなど、俗界から独立した興味深い集団だったのは確かで、詳しくはWikipediaの該当項目などをご覧になるとよろしいかと。
ルール的にみると、初期経験値の割り増しはきわめて多く、実に《教育》の五倍近くに達します。ただ一方で、インテリゲンチャとして備えるべき教養もまた膨大。割り増し分を振り分けるモデルコースを挙げれば
〈ラテン語〉5・〈自由学科〉5・〈講義〉3・〈哲学〉3・〈職能:写本〉3
とか。しかし、年齢から得られる経験値をまったく割かなくとも、これだけ完備して一人前になれるのは大きい!
マギにとって彼らは、仲間内以外で〈自由学科〉や〈哲学〉など高尚な話が通じる貴重な相手ということになります。場合によってはそれらの教師役の外注先として、一時招聘する関係を検討してもいいかも。また5版では今のところ姿が見えませんが、旧版のサプリ"Hedge
Magic"などでは、大学に自然魔術を扱う学者たちもいるとされていました。また、学者たちは学術議論の文通によって、国境にとらわれない人脈をもっているものですから、その点でも面白いことがありそうですね(別途《人脈》をとればOK)。
《赤帽士/Redcap》
内容:
《天稟》を持たず、魔法を使えないメルケーレ派マギです(ルール上はコンパニオンとして作成)。技能の全分野の取得資格、《富裕》並みの経験値、美点《旅慣れ》の無料取得、そして勤続によって増大する魔術物品の貸与と、無料で長寿儀式を受ける権利など。
第四版からの変化:
コストが三倍に跳ね上がりましたが、強化の度合いはそれ以上です。前は魔術団における地位だけでしたから…。
コメント:
権力を中心にした《封建貴族》とは対照的に、大の美点がもたらず豪華さを本人の強化に振り向けたのが、この《赤帽士》ということになります。まさに至れり尽くせりで、言うことはありません。
なお、メルケーレ派マギのうち魔法を使える者は、他流派と同じく「地位」分類に《マギ》を義務づけられ、《赤帽士》を取ることはできません。彼らも法的には赤帽士であり、7年に一度は伝令役の仕事をすることになっているのですが、普段は魔術物品や長寿儀式を与えることによって、現場の《赤帽士》を支援するのが本分なのです。
メルケーレ派の魔術は古代の英雄や半神から引いた部分が多分にあり、基本ルールでいうと《神秘の血脈》や《手綱つき魔法》などの分野を発展させています。その辺り詳しくはサプリ"Houses
of Hermes: True Lineage"をご覧になってみてください。現場の《赤帽士》たちにも、魔術物品を増量する美点などが載っています。
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