キャラクター■獣の友美点《魔法的な友なる動物》は、相手との関係を工夫することで、いろいろなキャラクターを作れる可能性を秘めています。もちろんスタンダードにペットとか、《獣人》のワークリーチャーとそのしもべの獣たちとかでもいいんですが、せっかくの伝承ヨーロッパですから、物語の風合いに凝ってみませんか。たとえば……
などなど。 《動物との共感》はだいたいセットで持っておいていいでしょう。また、どうせですから相手の動物には、めいっぱい美点を与えるとよいと思います。特に自分がマギなら、のちに彼を使い魔にすることで、紐帯特性《美点の交換》を使ってフィードバックできます(情けは人のためならず)。自然派のマギにオススメです。 なお、マギ不可の《野生で育った》も相性がよさそうに見えますが、なにせ内容がキョーレツです。親に捨てられ狼に育てられた人間の少女が二十世紀初頭にインドで発見されましたが、おそらくこの欠点の原イメージは彼女たちでしょう。程度はずっと弱められているにせよ、そちら一本でキャラクター性の大部分が決定されてしまう面がありますので、慎重を要します。 ■夜の女王 ……とはいっても、SM
ではありません。モーツァルトとか、そっちの方。 美点としては、《得意な状況(夜間)》《阻害状況(日中)》《弱いパルマ・マギカ(日光の下)》など。正負の《周期魔術》で月の満ち欠けに同調させるのもありそうですが、ちょっとずれてるような気がします。 魔法関連では、持続が「太陽」の呪文をたくさんとると綺麗です(夜が明けると解ける)。潮位を操る ReAq で“汐見月”とか、ナイル川の氾濫に喩えて CrAq の洪水“イシスの涙”とか。む、なにげに Aquam が多いですね。イメージ的には Intellego や Mentem も良さそうなんですが。 さて、ここからが本番。 欠点といえば、ワンセットで 2ラウンドかかること、低めの目標値ながら集中判定が必要なこと、“世俗の静寂の風”でReVi
の方を飛ばされてしまうこと、そんなあたりでしょうか。 ……もっとも、これはゲームバランス的に結構いかがわしいアイディアです。元になる“労多き呪文の維持”が、持続は「集中」とレベルの変わらない「陽径」、増幅なしという記述になっていることからも分かります。ストーリーガイドによっては、拒否したり WGREのルールで研究を要求したりするかもしれませんね。 ■甦る伝承 みんなが知っている物語を背景におくと、キャラクターに深みが生まれます。背中を追いかける志か、同じ轍を踏む予言か。それとも本人は知らず、プレイヤーレベルでサガの方針とするのか。そこをどうするかがまず一点。 もう一点は題材。ArMであることを生かすならば、聖書からとるのがオーソドックスだと思います。マギに従う立場のコンパニオンで、ペテロの否認とかユダの裏切りとか。こじつけとまで思えるほど執拗に、一つ一つの事件を預言の成就に結びつけるマタイの福音書に、そうしたストーリーテリングの典型をみることができます。もちろん旧約聖書や、当時盛んだった聖人伝も忘れちゃいけません。 ■魔眼コンパニオンを作る際の有力な方法論の一つとして、俗世からの乖離をマギとの縁に繋げるというものがあります。露骨な例を挙げれば、《バーサーク》による社会生活の破綻なんかですね。しかし、同じ"俗世からの乖離"でも、もっと内面的にもっていく変化球もあるのです。パルマ・マギカの利用がそれ。 例えば、高めの身分のキャラクターに、《催眠》(+4の美点)を高レベルで持たせてみましょう。彼女に目を見つめられて命じられたら、誰でも何でも否とは言えないわけです。これは政治的には凄まじい強みになります。黒幕として立ち回ることだって難しいことではないでしょう。 あるいは、コルシカ島あたりに流布する魔眼の迷信はどうでしょう。目を合わせた相手の健康を害してしまうという呪われたまなこ。こんな生まれをしていては、どこへいっても爪はじき。気づいた人はみんな"避雷針"になる角のお守りを向けます。ああ、この目のせいで最愛の女を死に至らせてしまったとして、《失われた愛》(-1の欠点)を一緒に持たせとくと、さらにニヒルでいいですね(この辺はテオフィル・ゴーチエの幻想小説『魔眼』をお読みあれ)。 それとも、ギリシャ神話のカサンドラの呪いは? 予言の才を与えられながら、誰も自分の言葉を信じてくれないという ReMe の《呪い》です。彼女がマギの許に身を寄せる理由など、もはやくどくど書きますまい。そういうことです。 ■魔法の歌歌にのせて魔法を行うマギです。《魅惑の調べ》とか《Magical Music》(+5:WGRE所収)とかでない、正統のヘルメス魔法ね。専攻は MuViのメタ魔法。仲間のマギの詠唱に、絡みつくような対旋律で即興のオルガヌムを奏でます。増幅などのほか、“魔術師の交わり”で合唱とか。 必須の美点は《Sorcerous
Music》(+1:Mysteries所収)。呪文に「歌っているかぎり」や「聞こえる範囲」などなどの追加パラメータが得られます。これを使えば、異界で会った世俗の民に、D:Song,
T:Singer の Ward呪文を ReViで唱えて、 あとはコンセプト次第ですが、どうせ《Sorcerous
Music》をとるのですから、古代のオルフェウス教やピタゴラス学派の末裔の結社"The
Followers of Pendule"に入るのがまず考えられます。 ■医術の大家
ヘルメス魔法では理論上の限界から、ウィースなくして永続的な治癒は不可能です。そのため、安定かつ大量なウィース供給がなければ、医術は研鑽も実践もおぼつきません。専門技術として魔術団での評判を獲得し(美点《ヘルメスの威光》など)、診療の対価をウィースで払ってもらうような形が普通かな。 こうした条件を裏からみると、ウィース不要の永続治癒というのは、魔術団ではメジャーな研究テーマなはず。ボニサグス派を中心に、相当数のマギが携わっていそうです。例によって
WGRE の基礎研究ルールの出番。 一方で、死に対する治療法も、生涯をかけた研究テーマになりえます。現段階で実現できているのは、CrCo(Me)75の“戻りし生命の影”なわけですが、結果はひどいものですからね(私は死んでもかけてもらいたくありませんよ、あれは)。それと、まだまだ先の話でしょうが、キリスト教の埋葬式をうけたりして天国や地獄に行っちゃってると、そこから呼び返す手段も実装しなきゃなりません。これにも別途相当なブレイクスルーが必要です。 あと、ホスピス医の森津純子氏の言うように、「助死婦」という存在がいてもいいかも。夢を叶える魔法使いとしては敗北主義的(笑)ですが、これもまた医術の大事な一面です。める様の夢使いもこの系譜。 ■悔悟者 悪魔はなぜ崇拝者に力を与えるか。それは見返りに魂を得るためです。 ですから悪魔は、飴と鞭を上手に使って、最後の最後まで自らのしもべを手元に留めようとします。改悛などしようものなら、授けた力も下僕も全部取り上げるぞ、そう言って脅すわけです。 で、ここからが本題ですが、新しくマギのキャラクターを作る際に、「過去に悪魔崇拝者だった」という前歴を持たせてみるのも面白いかもしれません。本人が能動的にでも、あるいは師匠から引きずり込まれてでも。 4th基本ルールで使えそうな美点・欠点を、ざっとリストアップするとこんな感じ。
いやもう、どの欠点をとろうか迷うなんて贅沢ができますな(笑) 特に、普通だとちょっと扱いづらい《超自然の憎悪》、これをメインにもってこれる点が面白い。意思が特別に強くも弱くもなく、過去を悔いつつ迷って揺れる、等身大のキャラクターにしたいものです。 あと、前歴を表現しようとすると、悪魔崇拝で使う能力を上げておかないと格好がつきませんから、〈隠秘知識〉・〈著述(ラテン語)〉・〈降魔
/ conjuration〉にはそれなりの値が欲しいところ。しかし、前二つはともかく、〈降魔〉は悪魔崇拝以外には使わないので、これに突っこむ経験値はドブに捨てるようなもの(オイ おまけ:21世紀の青少年を毒するサタニズムの実態(福島ボードゲームの会さんのサイトより) ■兵器系フランボー#馬鹿記事です^^; フランボー派といえば、「火力呪文に燃えさかる漢」というステロタイプがあります。そこで定式呪文になるのは、開発および詠唱の総合コストの優秀さゆえですが、しかしこの手腕を呪付に転用すれば、相当いろいろな兵器が作れます。多数のグロッグに持たせて一斉射撃したり(=定式魔法は1ラウンドに1つしか使えない)、大規模な使い捨て効果を秘薬で実現したり(=定式魔法だと力量ぎりぎりの効果は開発が非常に大変)と、火力呪文の欠点を補完する使い方ができそうです。 一番簡単なところでは、CrIgの秘薬で手榴弾が作れます(メガフラム)。さらには、WGREの基礎研究ルールでキュリー夫人のレベルからマンハッタン計画まで発展させて、T:境界の原爆を作るとか。 爆弾は爆弾でも、PeMeを使うと、肉体を一切傷つけずに精神だけを破壊するという一風変わったものが出来上がります。こういうのを撃ちこまれて脅された俗世の領主に、マギが出て行って真田さんよろしく「ムム、それはハイペロン爆弾に間違いありません。起爆装置を解除するには敵のコヴナントに向かい…」とか宣うわけです(笑) これは平和利用もできて、PeAnで蚊取り線香とか作ると喜ばれるかも。いや、むしろ需要があるのは蚤除けかな。人体には害がありませんから、安心してご使用いただけます。これがビョルネール派なら、出て行くようにInAnで蚤に言うところですがね。 サガのトーンにもよりますが、なんかこういうのは真面目なミリタリーにはしないで(兵器とか言ってる段階で真面目なのか?というツッコミは却下)、ちょいマッドに走るくらいでちょいどいいかも。
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