「一般」分類の欠点(小)
《苦手分野/Ability Block》
内容:
何らかの種類の技能を学べません。
第四版からの変化:
新規参入組。
コメント:
取得資格を与える種々の美点(《秘儀知識/Arcane
Lore》《教育/Edutaced》《戦闘訓練/Warrior》など)の鏡像。小の性格欠点《戦いに不向き/Noncombatant》等ともまた少し違った切り口で、不得手な分野を表現しています。範囲の指定は柔軟にできて、ルールブック本文の例示が良い出来ですので、特に付け加えることはありません。
たとえ二枚目でも意外な弱点をもっていると、キャラクターの魅力を引き立たせるのにとても効果的で、地味ながら優秀な欠点だと思います。マギで戦闘技能各種を指定するのも、点数稼ぎには効果的。
《言語障害/Afflicted Tongue》
内容:
声に関わる判定すべてにペナルティがつきます。呪文詠唱のボッチダイスも増加。
第四版からの変化:
マギでは−3、それ以外では−1とされていたコストが、−1相当に統一されました。内容はまったく変わりません。
コメント:
《喋れない/Mute》のマイナーバージョン。とはいえ、ルール的にはともかく、外から見たときのニュアンスは随分異なります。もごもご喋ったり、どもりがちだったりと、障害というより性向が非社交的な印象ですね。引っ込み思案や人見知り、頭の回転に舌が追いついてこないなど、キャラクターの造型の一部として考えるとよいでしょう。
《関節炎/Arthritis》
内容:
関節がこわばって痛み、長時間の運動にペナルティがあります。
第四版からの変化:
コストが−3から−1へ値下がり。これも内容はまったく同じです。
コメント:
これはもう年齢を重ねたキャラクターでしょうね。老練の古強者がよく似合います(『ドラゴンランス戦記』のフリント・ファイアーフォージとか)。グロッグにせよコンパニオンにせよ、若者との交流や世代交代を意識して描いていくと、良いサガになりそうな予感。トループ内で示し合わせて仕込むべし。
《ぶきっちょ/Clumsy》
内容:
優雅で器用な振る舞いにペナルティ。射撃のボッチダイスも増えます。
第四版からの変化:
コストが−2から−1相当へ。内容は同じ。
コメント:
《軽やかな手業/Light
Touch》の逆位置。本文にもあるとおり、「ぶきっちょ」さを押し出してキャラクターを演出しましょう。コミカルな三枚目やドジっ娘にはぴったりです。シリアスめのサガでも、本筋から離れたところでふとした息抜きを与えてくれますから、居てもそんなに邪魔にはなりませんヨ。
《畸形/Disfigured》
内容:
何らかの明らかな畸形のせいで、人を惹きつける【魅力】判定にペナルティがつきます。
第四版からの変化:
似通った内容だった《邪眼/Evil Eye》を吸収合併しました。それ以外はコスト/内容ともに変わりません。
コメント:
応用範囲が広くて使いやすい、優秀な欠点です。歪曲の影響にもってこいですし、アルビノや色違いの瞳といった先天性の奇形として社会からの疎外につなげるもよし、あるいは(『アヴァロンの霧』の楽師ケヴィンのような)大火傷や古傷などによる容貌の損傷で、コンプレックスの源や個人特定のしやすさとする使い道もあるでしょう。
ただまぁ中二病になってもアレですので、キャラクター本人の悩みによく心を致して品良くどうぞ。
《野育ち/Feral
Upbringing》
内容:
原野で人間との接触をもたずに育ちました。作成時に取れる能力が、人間社会に関わらないものに制限され、たとえば言葉もほとんど喋れません。
第四版からの変化:
コストが1/3に値下がり。また、キャラ作成の変更に伴って、取得できる能力の指定も若干変化しています。さらに、以前はコンパニオンとグロッグ専用だったのですが、その制限が外れました。
コメント:
コストが小だというのに、一本でキャラクター性が決定づけられてしまう強烈な欠点です。親に捨てられ狼に育てられた人間の少女が二十世紀初頭にインドで発見されましたが、おそらくこの欠点の原イメージは彼女たちでしょう。
もっとも、コスト小には理由があって、この欠点の内実(文明的な能力の取得制限)はキャラクター作成時のみで、ゲーム開始以降には影響しないんですね。動物的に他のマギやコンパニオンの一人になついた関係を設定して始めると便利です。まったくの無垢から、そうして折に触れて言葉を教わったり、人間の美しいところと汚いところに一つ一つ出会っていく過程を描いていくと美味しそう。
《病弱/Fragile
Constitution》
内容:
身体が弱く、回復判定すべてにペナルティ。
第四版からの変化:
清々しいほどに変化なし。
コメント:
生まれつきの体質か、それとも過去の大病の名残か。つまりはパスカルやベスですね。
《回復力/Rapid
Convalescence》の鏡像で、回復判定のペナルティは侮れません。怪我や病気を負っているあいだは様々な行動を制限され、それには成長すら含まれます。そして、治るかどうかだけでなく、制限を越えて無理をしたとき悪化しないかどうかにも、回復判定は使われるのです。萌えに事欠かない欠点ではあるのですが、見かけの裏のつらさは覚悟して取るように。
ただ、キツいとはいってもそれは単独での話で、しかるべき〈医学〉〈外科処置〉の看護や、CrCo魔法があれば、さほど苦になることはないかもしれません。それらを求めて俗世からコヴナントに関係をもったという線もあるでしょう。また、こうした手当はあくまでも対症療法であって、本人は心の底で健康な人を羨ましく思っているやも。特性値を永続的に上げるCrCo儀式で【体力】を上げたりすれば…?
《せむし/Hunchback》
内容:
せむしのため、俊敏さやバランス感覚の判定、および美しさに関わる【交渉】判定にペナルティ。
第四版からの変化:
マギで−1・それ以外で−2となっていたコストが、すべて−1相当に統一されました。さらにペナルティ対象を【魅力】→【交渉】に差し替えて他の欠点と差別化。
コメント:
う〜む、ノートルダムのせむし男。【魅力】にペナルティをつける《畸形/Disfigured》に対して、《せむし/Hunchback》は【交渉】という棲み分けです。こちらは社交以外の動作にもマイナスですが、美しさに関わる【交渉】判定というのは組み合わせ的にそう多くない(美しさなら【魅力】の方が多いハズ)ので、その辺を鑑みたバランス取りなのでしょうか。
《不可解な知識/Incomprehensible》
内容:
他人に知識や理解を伝えるのが下手です。学習値をはじめ、呪文の教授や研究書巻でも半減します。
第四版からの変化:
魔術にかかわる事柄にのみペナルティがつくというマギ専用の欠点でしたが、指導全般に対象を広げた上でマイナス修正から数値半減となり、内容が重くなりました。コストは据え置き。
コメント:
《教え上手/Good
Teacher》の逆位置。あちらとは正反対に、自分がもらうぶんには何ら障害のない利己的な欠点(笑)で、それに伴う周辺の事情は、向こうの記述をそのままひっくり返してお考えになってください。
設定としては、単純に教えるのが下手なケースもあれば、学術的な共通基盤をもたないために効率が悪い場合もあるでしょう。理論の甘い雑集派や独自の世界をもっている神秘教団の四派(ビョルネール/クリーアモン/メリニータ/ウェルディーティウス)、短気で人嫌いな職人や剣術家、そういったキャラクターに似合うと思います。
《悪名高い/Infamous》
内容:
過去の所業などから悪名が轟いています。
第四版からの変化:
−1の《悪い評判/Bad Reputation》と−2の《悪名高い/Infamous》が合併し、前者からコストを、後者から内容を、それぞれ引き継ぎました(ギャース! 第四版には他に−1の《悪名高き一族/Infamous
Family》もあり、これも同時に吸収された模様です。
また、評判のルールの変更に伴い、悪い評判を拭い去ったり、良い評判を同時に持ったりするのが困難になっています。ただし交渉判定への直接のペナルティが消えたのは収穫。
コメント:
こちらは《有名/Famous》の鏡像。悪い評判を消すには、別な内容の評判でそれを上回るのが前提条件なわけですが、このレベルまでくるとそれも容易ではありません。汚名を雪ぐのは一つのサガを通じた目標になりえて、また進捗状況がキャラクターの数値に同期していますからプレイもしやすく、その意味でお奨めの欠点です。
評判は社会とのパブリックな繋がりや外面に属するものですから、内面やプライベートなつきあいがそれと対立するようにキャラクターを構成すると、何かと美味しい物語が生まれます。設定に凝りましょう(ちょっと古い記事ですがその辺はこちらもご覧あれ)。
また、第四版のころの亡霊を生き返らせて、本人というより一族ぐるみで嫌われていることにしてもいいかも。生まれや育ちばかりで、自分を見てもらえないのは辛いでしょうねぇ。「君はいい友人であったが、君の父上がいけないのだよ。フフフフ、ハハハハハ」
《片足が不自由/Lame》
内容:
片足が弱くなっています。素早い移動や俊敏さ・回避・戦闘などにペナルティ。
第四版からの変化:
コストが−2から−1相当へ減少。内容は変わりません。
コメント:
《足が不自由/Crippled》のマイナーバージョン。このくらいだとプレイにも割と気軽に取り入れられます。加納朋子の推理小説『ガラスの麒麟』でいわゆる安楽椅子探偵の役を務める神野先生なんかが好例。片足を痛めた過去の事件の落とす影が、人物像から物語全体まで参与する形で、巧みに構築しています。あとは川原泉『メイプル戦記』の流花と立花社長のカップルとか。
「私の足のことなら気を遣わずに。あとからゆっくり行きますから」
「んにゃ。今は何となく歩きたい気分なんだ」
《片耳/Missing
Ear》
内容:
片耳しか聞こえません。聴覚全般にペナルティ。
第四版からの変化:
これまた全く変化なし。
コメント:
《耳が不自由/Deaf》のマイナーバージョン。魔術による補助方法はそちらの記事をご参照ください。ただ、まったく聞こえないのとは違ってペナルティだけですから、放置してペナルティを甘受してもそう深刻ではないかもしれません。一般欠点としては割とお買い得な部類です。
なお、同じ小の欠点には《弱い聴力/Poor Hearing》もあり、ペナルティ量もまったく同じで、ゲームメカニズム的には区別がありません。方向の識別に弱いか、それとも言語など詳細のヒアリングに弱いか、といったのがSG裁量でつくくらい。また、この《片耳/Missing
Ear》の方は、刑罰や戦闘で耳を落とされた過去を表現するのに使えます。《弱い聴力/Poor
Hearing》は老化などがメインでしょうか。もっとも、こういうのは本当は一つの欠点に整理してくれた方がよかったと思うんですがね。
《片目/Missing
Eye》
内容:
片目しかないため、死角が広がります。また、発射武器や呪文の命中率が下がり、さらに近接武器にも(小さいながら)ペナルティ。《弱い視力/Poor Eyesight》との同時取得が可能。
第四版からの変化:
呪文にも影響するようになりました。
コメント:
《盲目/Blind》のマイナーバージョン……なんですが、一部の〈認識〉判定を除けば、基本的に戦闘にしか関係しません。しかも、数値上たしかに不利は不利なものの、近接戦に限ればこの欠点のペナルティなんてほとんど誤差みたいなものですから、幾多の修羅場をくぐりぬけた隻眼の武将ってのも充分アリでしょう。
マギにしたところで、魔法抵抗に遮られるタイプの呪文なら、抵抗される余地がある代償として原則として必中ですから、この欠点があっても大丈夫です。命中判定に依存するタイプの呪文を捨てるつもりなら是非どうぞ。
《片手/Missing
Hand》
内容:
片手がありません。両手が必要な行動にペナルティ。
第四版からの変化:
コストが−2から−1相当へ値下がり。内容は変化なしです。
コメント:
「片なんとか」シリーズもこれで最後で、おそらくペナルティの度合いは最強。丹下左膳でも目指すなら別ですが、そういった特異なネタがなければ、肉体系のキャラクターは避けた方が無難でしょう。
なお、これは《手が無い/No
Hands》のマイナーバージョンにあたるわけですが、そちらと違って呪文行使への影響は書かれていません。身振りには両手とも必要なのかどうなのか、SG判断、なのかな? もしペナルティがかかる場合には、定番ですが《目につきにくい魔法/Subtle
Magic》や呪文習熟の方策も検討するとよいと思います。
《乗り物酔い/Motion Sickness》
内容:
徒歩以外の長距離移動では、疲労が倍付け&最低消費量付加。
第四版からの変化:
新規参入組。
コメント:
一見したところ人畜無害にみえますが、なかなかどうして、思わぬところで存在をアピールして微苦笑をさそう技能派欠点です。天稟があるからどうせ馬なんか乗らないと割り切っていても、船や空飛ぶホウキはねぇ…。それに、一般人が楽々旅をしている脇で、選良たるマギ様が地べたを這いずりまわらねばならないというのも、プライドを傷つけられます。
なお、旅行による疲労は長期疲労なので、1日に1段階ずつしか治りません。しかしこの時代、馬車はともかく船は特急並みの移動手段ですから、無理矢理乗せるのがグループ全体にとっては最適解となることも多いはずです。頑張って耐えてください(^^;)
《方向音痴/No
Sense of Direction》
内容:
方向音痴ですぐに道に迷います。《旅慣れ/Well-Traveled》との同時取得不可。
第四版からの変化:
新規参入組。たしか。
コメント:
とにかく一人になってはいけません。つねに誰かの袖をつかんで、一緒に行動するように。道案内役のキャラ(や彼との人間関係)をつくっておくと何かと良さそうです。それに同伴者さえ確保できれば数値的なペナルティは無いも同じですから、お買い得といえばお買い得。
ひきこもって研究に明け暮れているマギなんかに似合いそうですね。ぶっちゃけた話、マギでなくコンパニオンだったら、誘導呪物を用いたIntellego魔法でGPSでも持たせてやるといいのかも? それと、大事なNPCにこれを持たせるのも、捜索のシナリオを誘発して面白いと思います。「またあのお人は…」とかそんな感じで。
《肥満/Obese》
内容:
肥満体のため疲労判定が下がります。素早い動きや優雅な動きにも(小さいながら)ペナルティ。
第四版からの変化:
サイズの増加(に伴う耐久度の増加)が消されてしまい、悪いことばかりになりました。コストは変わりません。
コメント:
素早さや優雅さに対するペナルティはごく僅かなので、カリカリチューンなキャラメイクをするのでなければ、誤差みたいなもんです。欠点としての主たる実質は疲労判定へのペナルティにあり、対になる美点は《持久力/Long-Winded》。どうせ長期疲労は判定の余地なしですし、そんなに苦労しないでしょう。これもまたペナルティだけ見れば、一般の欠点の中ではお買い得な部類です。
ただ一方、ちょっとのダッシュやハイキングで肉をたぷたぷさせつつぜーはー息を切らせるわけで、二枚目は諦めた方が良さそう。ここはもう開き直って三枚目として脇を締めるべきです(紫堂恭子『癒しの葉』のアジンとか)。キャラ立てはきっとしやすいですよ!
《手の震え/Palsied Hands》
内容:
手が不随意に震えるため、物をつかむ行為(武器技能も含む)にペナルティ。身振りありの魔法はボッチダイス追加。
第四版からの変化:
WGREからの採録です。コスト半減で内容は変わらず。
コメント:
酒浸りなのか、心理的な原因があるのか、それとも老化現象か。ペナルティの適用範囲が広く、なにかと不自由しそうです。不自由は不自由でも、やってできないことはないという程度の中途半端なペナルティ量なのがまたなんとも。設定とうまくリンクさせれば、適用頻度が高いだけに、演出力は結構あるのではないでしょうか。守るべきものを背後にかばったピンチにおいて、手の震えに抗して剣を握り直すとか、ハードボイルドな感じでヒトツ。
《貧弱(特性値)/Poor Characterristic》
内容:
ポイントを振り戻してすでに常人の下限まで下げてある特性値1つが、この欠点によってさらに1点下がります。複数回取得可ですが、この欠点の力をもってしても値は−5が限界。
第四版からの変化:
コストが−2から半減。他は変わりません。なお、美点欠点ともにそうですが、±5に存在した特殊効果つきのものは、メルケーレ派お得意の英雄の血脈のものとなっています(サプリメント"ヘルメス諸派:師承学派(Houses
of Hermes:True Lineages)"参照)。
コメント:
《卓越(特性値)/Great(Characteristic)》の鏡像。競合相手は《乏しい特性値/Weak
Characteristics》で、コスト効率の比較は微妙(むこうは欠点1つで複数下がることがある一方、《貧弱》の適用対象は必ず-3以下であり、本当なら4点or5点のポイントが得られたはずのところだから)。
どうせ捨てに行く特性値を対象にとるんでしょうから、たいがいは躊躇なく2回分重ねてしまっていいように思います。そこを軸にキャラを立てていきましょう。《卓越(特性値)》と対称をとるのも綺麗。
《弱い視力/Poor Eyesight》
内容:
視力が悪いです。視覚全般にペナルティ。
第四版からの変化:
まったく変化なし。
コメント:
視覚に関する欠点には《片目/Missing Eye》もありますが、《鋭い視力/Keen
Vision》の真逆に位置するのはこちらです。ただし、攻撃や防御まで影響するとある点で《鋭い視力》よりも影響は重く、また視界の制限をのぞけば《片目》の適用される状況は《弱い視力》も確実に適用されますから、ちょっと不均衡ですね。小の一般欠点の中ではペナルティのキツイものなので、マンチな方にはお勧めできません。それを承知の上でキャラクターの個性付けとして取るくらいでしょうか(本の虫・老齢など)。
《弱い聴力/Poor Hearing》
内容:
聴力が悪いです。聴覚全般にペナルティ。
第四版からの変化:
これまたまったく変化なし。
コメント:
《鋭い聴力/Sharp
Ears》の正確な逆位置。ルール的には《片耳/Missing Ear》とほぼ同一です。詳しくはそれらをご参照ください。本来なら内容の同じ欠点が二つあるのは無駄であって、どちらか一つに絞った上で、どういう演出にするかだけPLに任せておけばスマートだったのにとは思いますが。
なお、ついでになりますが、サプリメント"ヘルメス諸派:神秘教団(Houses
of Hermes:Mystery cults)"において、「感触魔術/sensory
magic」というルールが導入されました。祖師ビルナとボニサグスとが共同で開発しながら、未完成のためヘルメス理論には含まれず、ビョルネール派の秘儀となったもので、「物音/Sound」「風貌/Spectacle」といった五感に対応する対象を使えるようになります。これらはたとえば「対象:物音」の呪文なら、術者の発する音を耳にした者すべてに作用するというものなので、《弱い聴力》でかえって命拾い、ということもあるかもしれませんね。
《勉強が苦手/Poor Student》
内容:
指導と読書から得られる経験値が減少。
第四版からの変化:
《読書が苦手/Poor Reader》から名前が変わり、読書だけでなく指導を受ける際にもペナルティがかかるようになりました。さらに経験値の減少幅も上乗せ。なのにコストは変わりません。キッツゥー。
コメント:
見かけよりかなりキツイ欠点。自力で学び取ったり(冒険・日常体験・実践)や技を教わるのでなく盗んだり(訓練)ならノーペナルティとはいえ、総合性能に優れる読書を妨げられてしまうのは、はっきり言って辛いです。特にマギの人は相当苦しめられますので、落ちこぼれとしてキャラを立てるなら、覚悟して取ってください。
もっとも、ひっくりかえして見れば、最初から字が読めない(=学術技能の取得資格を経て〈自由学科〉1を取らない)キャラクターなら、ペナルティはかなり緩和されるともいえます。一般庶民はもちろん貴族も識字率はごく低いですし(字が読めるということは生粋の貴族階級でなく成り上がりだとむしろ軽蔑されることもあったとか)、そういったコンパニオンやグロッグなら持っていてもそれほど苦労しません。専従の教師を雇って指導を仰げるような環境は、そう頻繁にはないでしょうからね。
《痩せ形/Small Frame》
内容:
体格が華奢です。サイズが減少。
第四版からの変化:
四版時代はサイズ上昇が疲労度増加にも結びついたため、マギとコンパニオン/グロッグでコストが違っていましたが、その要素がなくなった五版では小に統一されました。コスト自体も減少。
コメント:
《矮人/Dwarf》のマイナーバージョンにして、《大柄/Large》の逆位置。内容は、言ってみればヒットポイントの20%減少です。侮れないペナルティですが、他の一般の欠点も眺めれば、まあコスト相応といったところでしょうか。
設定的には《虚弱体質/Enfeeble》や《病弱/Fragile
Constitution》との組み合わせが綺麗だと思います。《肥満/Obese》な仲間と対照をとるのもいいでしょう。あるいは、細身ながら抜群の切れ味をもつ女剣士とか?
《社交上の不利/Social Handicap》
内容:
何らかの理由により他人から嫌われがちで、関係する判定にペナルティ。
第四版からの変化:
まったく変化なし。
コメント:
ルール的な機能としては《魔法の雰囲気/Magical
Air》の対人限定バージョンに近いですが、向こうと違って超常のものではなく、むしろ純粋に社交的な部分に原因が求められます。《コヴナント育ち/Covenant
Upbringing》や《妖精郷育ち/Faerie
Upbringing》による人生感覚のズレ、異端的な思考、あるいは《悪名高い/Infamous》と組み合わせて偏見/差別の存在など。現代ではたとえばホームレスやニート、不登校児なんかがこうした排斥の対象となっているんではないでしょうか。
いずれにしても社会からの拒絶が根本にありますから、サガにおいては、拒絶された個性と社会との折り合いをどうやってつけていくか、その和解のプロセスを考えていくと良いプレイが出来そうです。その意味では、社会側の価値観を体現する人物をPCなりNPCなりに作っておくのは有効な手法でしょうし、頑なに否定しあうばかりだったのが、徐々に変わっていけたら、お互いにとって素敵な成長物語だと思いません?
《邪悪な汚れ/Tainted with Evil》
内容:
邪悪な雰囲気が漂っており、良い評判を得ることができません。
第四版からの変化:
マギ(-1)とコンパニオン/グロッグ(-2)でコストが分かれていたのが、-1相当に統一されました。他は変化なし。
コメント:
《悪名高い/Infamous》と違って既存の悪い評判があるわけではなく、《魔法の雰囲気/Magical
Air》や《社交上の不利/Social
Handicap》と違って直接的な社交ペナルティを受けるわけでもない、となると、一般の欠点のわりにはお買い得ですね。
もっとも、地獄界がらみの設定がないとキャラクターに組み込みづらい面はあって、その辺の造型によります。地獄界に関してはサプリメント"異界の諸力:地獄界(Realms
of Power:Infernal)"に充実した追加ルールが記載されていますので、機会がありましたら一読なさってみてください。
あとは悪い評判がつかないようにだけ気を付けること。評判は基本的に上書きでしか消せませんから、この欠点の持ち主の場合は、いったん傷がつくと元には戻れません。悪行を避けるだけでなく、目立たないように心がけるのも一法です。
ちなみに、この欠点は「良い評判を得ることはできない」ですが、逆に「悪い評判を得ることがない」のは《真の信仰/True
Faith》持ちです。そちらは"RoP:Divine"を参照のこと。
《乏しい特性値/Weak Characteristics》
内容:
特性値に割り振れるポイントが減少します。複数回取得可。
第四版からの変化:
新規参入組。
コメント:
《豊富な特性値/Improved
Characteristics》の逆にして、《貧弱(特性値)/Poor
Characterristic》のライバル。特性値はいわば基礎体力であって、上に技能を上積みする台として、後々響いてくるたぐいです。積極的に考えられるとすれば、体力なり思考力なりの身体づくりを厭って、技術の錬磨に走るタイプくらいでしょうか。明確な個性につながりづらいこともあって、やや使いにくい欠点のような。
ただ、マンチ的な観点からいくと、この欠点による具体的な悪影響って、うまいところに配置すれば、特性値1つが-2から-3になるか+3から+2になるかという1点差でしかないので、一般の欠点にズラリと並んだキツめのペナルティ群と比較すれば、案外悪くないコストパフォーマンスなのかも?
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