「性格」分類の欠点(小)

《知りたがり屋/Busybody》

内容:

 友人知人のうわさ話が大好きです。

第四版からの変化:

 +1の一般美点から性格欠点への転身です。内容はまったく変化なし。

コメント:

 井戸端会議のおばちゃんたちが標準装備してそうな欠点。ときに厄介がられることはあるとはいえ、憎まれることもなく、それに、自分のことだけでいっぱいいっぱいにならずに他人の些末事を気にするというのは、それだけ人生にゆとりがあるわけで、ある種健康的な性格だと思います。ストレスも溜まらなそう。

 深刻で抜き差しならない状況を抱えているキャラクターには不向きですが、そうでなくて社交的で気安い性格の持ち主ならよく似合うと思います。従者などのグロッグにもお勧め。

《のんき/Carefree》

内容:

 いついかなるときも明るく、幸せです。

第四版からの変化:

 絶望や悲しみに耐える判定のボーナスと、相手次第で得られる【交渉】ボーナスが削除され、純粋に性格のみとなりました。コスト+1の一般美点から性格欠点への転生として妥当なところかと。

コメント:

 《楽天的/Optimistic》と似ていますが、より南国的というか、『辺境警備』の兵隊さんというか、肩肘張って頑張らなくとも幸せな感じ。少し天然入っていても面白いかもしれません。深刻な事態に沈みがちな仲間たちの中で、彼/彼女の明るさに一同救われるというのが王道パターン。

《悪癖/Compulsion》

内容:

 困った悪癖があります。

第四版からの変化:

 重ね取りできなくなった以外はまったく変化なし。

コメント:

 博打で身を持ち崩したとか、酒浸りの敗残兵とか、わりと"だめんず"っぽい感じが多いかな。もっとも、本文に上がっているように完璧主義で取って、《慎重な魔術師/Cautious Sorcerer》などと組み合わせ、「有能なんだけど玉に瑕」「あれさえなければ良い人なんだけど」というのも良いと思います。小の性格欠点なのですから、ここぞという場面で自信値をつかって無視し、踏ん張ってみせるという展開も視野に入れて構成しましょう。

《禁欲/Continence》

内容:

 性行動を行うことはありません。

第四版からの変化:

 新規参入組。

コメント:

 本文にあるように、宗教上の誓いだったり、個人的な決めごとだったり。他に、事故や悪意などから去勢されて、性的な存在であることから排除されているパターンも考えられるかな。ちょっとうぶで、からかわれて赤くなっていたりすると、また面白いかもしれません。

《コヴナント育ち/Covenant Upbringing》

内容:

 外界との関わりの薄いコヴナントで育ち、一般社会とはかけ離れた物の見方をします。キャラクター作成時に〈ラテン語〉と〈ヘルメス魔術団知識〉を取得可能。

第四版からの変化:

 新規参入組。

コメント:

 でました、ボーナスのもらえる性格欠点。マギや学者との直接の意思疎通を可能にする〈ラテン語〉は学術技能であり、普通なら何か美点をとって取得資格をもらっておかないと修得できないもので、のちに何とかして〈自由学科〉を1点でも取れば、読書が可能になって成長で有利になります。

 一方、キャラクター性の拘束は相応に大きい。コヴナント出身、それも人里離れた大手のコヴナントに限られ、そもそも魔術団と縁をもつのが前提です。そうしたコヴナントであれば魔法オーラが強いことが多く、天禀をもった子供が生まれてマギとして育てられるというのも自然。コンパニオンやグロッグの場合、《クーストース/Custos》との併用は〈ラテン語〉の取得資格がだぶってしまうので、《コヴナントの住人/Covenfolk》なキャラの方が無駄が出ません。
 出身コヴナントの風土をある程度考えておいて、それと一般社会との落差を演出するとよいと思います。設定によって《温室育ち/Sheltered Upbringing》と使い分ける必要もあり。

《妄想/Delusion》

内容:

 事実に反する事柄を信じこんでいます。

第四版からの変化:

 隅から隅までまったく変化なし。

コメント:

 《悪癖/Compulsion》《恐怖/Fear》と同様、詳しい内容によっていろいろと化ける可能性を秘めています。本文にも例はいろいろ出ていますが、他にたとえば、血塗れの手を洗い続けるマクベス夫人であるとか、生まれたときから周囲の妄想に染められて異教の申し子に祭り上げられたとか。「自分が自分であってはいけない、誰某(の代わり)であらねば」という強迫観念が高まった不安定な仮性二重人格、それに、誰かに吹き込まれた偽りを信じ込んでしまっているケースなどもあるでしょう。(必要に応じて他の性格欠点との併用も検討されたし)

 また、少々アクロバティックな使い方になりますが、具体的な内容の如何だけでなく、物語上の扱いという点でも工夫の余地が大きいです。単なる妄想か、それとも衝撃の真実なのか、どちらも可能性を完全には捨てきれなくて狭間を揺れるというのもありましょうし、あるいは、運命の予言などと絡めて、サガの終盤でこれまでの構図を一気にひっくり返すための伏線とするようなことが実際出来たらさぞ痛快でしょうね。《Visions/幻視》とのコンボもグー。

 そして、本質の看破は魔術師の業です。セッションの終局で安楽椅子探偵よろしく謎解きできると美味しいかも。

《憂鬱/Depressed》

内容:

 お先真っ暗に思えて、生き甲斐や楽しみを感じられません。

第四版からの変化:

 −3だった《呪わしき運命の理解/Sense of Doom》の転生とみるのが正しいでしょう。コストが大→小のかわりに、失敗時の直接的な行動ペナルティが消えています。妥当なところかと。

コメント:

 アクションへの制限が大きいわりにコストが小なのは、積極的な行動に結びつかない内容は低く評価するという性格欠点全般の方針によるものと思います。

 それはさておき、この欠点の持ち主は、過去の人生にさぞ辛い経験や挫折があったのでしょう。《楽天的/Optimistic》な甘ちゃんをみれば腹立たしいと同時に眩しさを感じ、心配してくる《お節介焼き/Meddler》はありがたくも鬱陶しく。そんなふうに、キャラクターが引きこもりな分、プレイヤーの方で人間関係を丁寧に仕込んで外界に引っ張り出してやりましょう。

《忌避/Dutybound》

内容:

 特定の行為を避けます。嘘つき・捕虜の処刑・盗みなど。

第四版からの変化:

 これまた一言一句に至るまで変化なし。

コメント:

 この手の欠点はとにかく、変に縛られてセッションの進行を止めてしまわないように留意したいところ。本文にあるように「あのときは仕方なかったんだ」という自己正当化に走ってもよいことになっていますし、対象の行為を出来ないと決めてかかるよりも、やろうかやるまいかどうしようかと葛藤を演出するくらいの気持ちでかかった方がいいのかも。

 兄弟分には、特定の行為を「する」方である《固執/Obsessed》、自分ではなく周囲のが許せない《過敏/Oversensitive》、呪いによる禁止である《禁令/Prohibition》、禁止事項を誓約という形で外面化した《誓い/Vow》などがあります。無駄に(?)至れり尽くせり。

《妖精郷育ち/Faerie Upbringing》

内容:

 妖精に囲まれた環境で育ち、人間社会より妖精界になじみます。キャラクター作成時に〈妖精界知識〉を取得可能。

第四版からの変化:

 +1の美点から−1の欠点に配置転換。妖精とのつきあいに際して+1美点《常識/Common Sense》が適用されるというボーナスと、初期技能として社会技能を取れないというペナルティが削除されました。

コメント:

 《コヴナント育ち/Covenant Upbringing》に続いて、ボーナスをもらえる性格欠点です。そちらと同様に生まれの設定に拘束がありますが、キャラクターを選べばたいして気になりません。妖精との人脈(?)が大きな武器になりうるので、その辺は気合い入れて設定作りましょう。取得資格がだぶってマンチ的にはアレですが《友なる妖精/Faerie Friend》との併用もアリ。妖精界に源をもつ超常の美点欠点をもたせたり、そもそもメリニータ派にしてしまったりするのも良いと思います。

《恐怖/Fear》

内容:

 日常生活でわりとよく出会う何かを恐れています。

第四版からの変化:

 遭遇頻度と恐怖の程度で3つの欠点に分けられていた(両方低いと−1、どちらかが高いと−2)うち、頻度高/程度低のバージョンだけが生き残りました。コストは下がっています。

コメント:

 本文の感じからすると、腰を抜かすとか逃げ出すとかといったほどの強烈な反応ではないようです。ただ人間、生命にかかわらなくとも快不快では不快を避けるのが当然で(直接は関係ない話ですが、ArM5でいう軽傷/light wound っていわば全治一週間の怪我でしょう。PL本人がそれを負ったらと思うと全然軽傷じゃないですよね^^;)、キャラクターの行動にはけっこう強い動機になるように思います。

 「完璧超人なあの人に意外な弱点が!?」なんてのも、定番ながら美味しいネタですよね。いざというときに自信値消費して踏ん張ってみせるのも見せ所。

《高い志/Higher Purpuse》

内容:

 無私の高邁な理想に向かって励みます。

第四版からの変化:

 一般美点から新設の性格欠点へ転向。それに伴って、性格判定へのボーナスが削除されました。

コメント:

 《ライフワーク/Driven》が大であるのに、それの利他的バージョンとおぼしきこちらはなぜか小。大義のために動いていれば人望もついてくるとでも考えて、自分を納得させるしかありません(「我に七難八苦を与えたまえ」)。
 いずれにせよ、はっきりとした理想を掲げて、それを人生の軸としているキャラクターです。その理想に共感する盟友、不倶戴天の宿敵、現実との苦闘…。そうしたものを丁寧に描いていくと映えそうですね。

《謙虚/Humble》

内容:

 自分より他人の方が優れていると謙虚に考えます。

第四版からの変化:

 新規参入組。

コメント:

 控えめな人格者。自分に自信がないわけではないのに、いや、それとも自信があるからこそか、他人の力も認めることができるという好人物です。こういうリーダーがいてもいいですよね。

 また、《謙虚/Humble》なキャラクターは、《尊大/Proud》なライバルをもたせると、一粒で二度美味しいです。えてして《謙虚/Humble》な方が出来が良くて、師匠から跡目を譲られたりして、《尊大/Proud》持ちに逆恨みされるんですな(^^;)

《過小評価/Judged Unfaily》

内容:

 過小評価されがちで、実力のわりに信用してもらえません。

第四版からの変化:

 まったく変化なし。

コメント:

 軽んじられがちな理由付けには、何らかの他の欠点と組み合わせるのが手っ取り早いです。たとえば《畸形/Disfigured》だの《せむし/Hunchback》だの(おお、ノートルダムのせむし男!)。そして認めてくれる君にとうとう出会えたならば、本文にあるように知己の心でもって応えましょう。もっとも一方で、物語としては、そうした依存を経て、さらにそこから脱却することも視野に入れたいかな?

 なお、過小評価が欠点になるのは、素直に考えれば「実は有能」であってこそですが、本当に無能なキャラクターが、口先だけの過大評価に踊らされてしまうという悲劇もありかと思います。PC向きではないかもしれませんが…。

《失われた愛/Lost Love》

内容:

 《まことの愛/True Love》の相手から引き離され、人生に後ろ向きになっています。

第四版からの変化:

 これまたまったく変化なし。

コメント:

 思い人の面影を胸に抱いて彷徨いつづけるロマンチックな欠点。扱い方によっては半ば物語欠点のようにもなりえますが、あえて性格欠点とされているのは、このキャラクターがすでにその物語を全うしてしまっているからでしょうか。
 もっとも、本人にとっては終わっていないのでしょうね。だからこそ、いつまでも自ら望んで過去に縛り付けられているのでしょうし。しっかり設定をつくって、乗り越えるべきトラウマのような位置づけで使うのが王道。彼/彼女に対し、ひそかに片想いするキャラクターを配するのも良さげ。「亡くなった方の思い出にはかなわない」とか。

#ひねった使い方では、人でなく物というのもあるかな。一つの指輪を失ったフロド。

《宵っぱり/Nocturnal》

内容:

 夜更かしが苦にならない一方、夜明けから正午まではすべての行動に小さなペナルティ。

第四版からの変化:

 新規参入組。

コメント:

 なんとペナルティのかかる性格欠点です。世の中にはボーナスをもらえる性格欠点もあるというのに…。もっとも、性格欠点とはいわば特定の行動を強制する機能をもっていて、この欠点ではON/OFFのデジタルではなく、数値というアナログな形でそれを実装していると思えば、まあそういうものでしょうか。他の性格欠点と違って自信値を払わなくとも、行動ペナルティさえ甘受すれば逆らえるともいえるわけですしね。

 夜行性な動物を心獣とするビョルネール派なんかに似合いそうです。《正の周期魔術/Cyclic Magic (positive)》 などとの組み合わせもグー。

《戦いに不向き/Noncombatant》

内容:

 戦闘に関わろうとせず、必要な技能も身につけていません。

第四版からの変化:

 マギで−2、コンパニオンとグロッグで−3と分かれていたコストが、−1相当に統一されました。コスト下落に見合って、攻撃値/防御値へのペナルティや武具の美点欠点の制限などが削除されました。

コメント:

 臆病で立ち向かえないのか、信念からくるものなのか、それとも単に荒事の心得がないのか。特にマギの場合は、護衛のグロッグを伴うのが普通なので、自分で戦えなくともあまり困りません。1人のPLがマギとコンパニオンという2PCを持ち、さらにグロッグも操れるというトループスタイルなわけですから、出番によってキャラクターを使い分ければいい話です。

 また、小の性格欠点であるからには、いざというときに踏ん張って、無技能や即興呪文で一撃を加えることもできないことはないわけです。戦力外とみて死角にしたのが命取りになったりすれば、それはそれで結構ドラマチックかも。

《固執/Obsessed》

内容:

 何らかの品物・行為・理念などに執着しています。

第四版からの変化:

 まったく変化なし。

コメント:

 『深淵』に関して「縁故(のルール)とは価値観の体系である」という紙魚砂さんの名言がありますが、リンク先のページに書かれているところの「潜在的縁故:常識(0〜3)」の一部が、4くらいになってしまっているというようなことです。抵触した際の拘束は大きい部類ですが、にもかかわらずコストが小なのは、物語に直接貢献しないためでしょうか。

 いわばそのキャラクターの「主義」「こだわり」ですから、工夫次第でいろいろ出来そうです。本文に例として挙がっている他にも、たとえば(いくらか時代錯誤かもしれませんが)「騎士道精神」とか、「恋人の形見の品」「秘蔵」「家名」「トレードマーク」などなど。

《過敏/Oversensitive》

内容:

 特定の事柄に神経質で、少しのことで大げさに反応します。

第四版からの変化:

 これまた変化は皆無。

コメント:

 たとえば、下ネタに「不潔ですっ!」とビンタを張る。たとえば、高踏的な文物の価値を解さぬ輩を「野蛮人め…」と見くだす。たとえば、人見知りですぐ気絶する。たとえば、負けず嫌いで「あなたには無理でしょうね」とか挑発されると一発で乗ってしまう(これは私の友人にもいる…)

#しかもこういうのって、本人も分かっていてもやめられない、という場合も多いと思われ(^^;)

いろいろ遊べます。一種のパターン反応ですから、どちらかというとライトな雰囲気のサガに向くでしょう。SG も周囲の PL も、このキャラクターをおもちゃにして遊んであげてください。こうしたボケツッコミについては、(現在絶版ですが)『熱血専用』に充実した指針が載っていました。

《悲観的/Pessimistic》

内容:

 いつも最悪の事態を考えてしまいます。

第四版からの変化:

 新規参入組。

コメント:

 大にある《楽天的/Optimistic》の逆位置。行動が消極的になるぶん、コスト評価が低くなっています。「石橋を叩いて渡る(叩いて壊す?)」軍師的ポジションに合うでしょう。ややもすれば慎重過ぎるきらいもあるところを、《楽天的/Optimistic》な仲間の果断な行動力に引っ張ってもらい、お互いの欠点を補い合う名コンビとなるってのも乙。

《物覚えが悪い/Poor Memory》

内容:

 特定の種類の物事については、さっぱり憶えることができません。

第四版からの変化:

 思い出す判定が削除され、記憶全般に対するペナルティも消えました。また、マギは-6、それ以外では-1という場合分けのあったコストも、-1相当に統一されています。以前はいわば一般の欠点に相当する機能だったわけで、それを性格欠点にコンバートしたと考えると納得。

コメント:

 正直にキャラクターの担当分野にかぶせることもできなくはないですが、やはりギャグ系の欠点として運用するのが正解でしょう。「あれじゃよ、あれ」というのに、「ああ、○○ですね」と以心伝心でわかってくれる、替えのきかない秘書役(?)を配しておくのが定番でしょうか。記憶に関する美点欠点というと、他に《魔術の記憶/Magical Memory》がありますが、合わせてもとりたてて美味いことはなさそう。

《禁令/Prohibition》

内容:

 ギアスをかけられており、制限に従わないと呪いが効力を発します。

第四版からの変化:

 "Lion of the North"初出〜"Wizard's Grimoire"再録のコスト可変の欠点が出典で、コスト以外の内容は変化していません(以前は呪いの重さに比例してコストが高くなっていました)。

 ちなみに、関連して《禁令付与/Grant Geas》という+4美点も同様にあり、ギアスをかける超常能力でした。こちらは第五版では種々の特殊持続パラメータ(後述)が担当しています。

コメント:

 超常欠点《呪い(大)/Greater Malediction》《呪い(小)/Lesser Malediction》の執行猶予バージョン。呪いの内容については、それらの欠点の項をご参照ください。

 この《禁令/Prohibition》で凝るべきは、どのような経緯でどのような制約を科せられたのかということ。そして、今後のプレイの中で、あえて制約を破って呪いを甘受するという選択肢がありうることです。その意味では、真綿で首を絞めてくるような呪いもいいかもしれませんね。たしか大昔の『スペルコレクション』に、盗賊を捕らえた魔法使いが、「これから先も盗みをするならば、足が錘のように重くなっていくだろう」という呪いをかけていました。

 なお、こうしたギアスをかける行為は、ルール的には、

  • ReVi儀式"見張る防護/Watching Ward"で呪文を遅発
  • メリニータ派秘儀《妖精魔法/Faerie Magic》で得られる持続「取引/Bargain」
  • 地獄界の術者が用いる持続「呪い/Cursed」

などで表現されます。下のものほど実性能やコストパフォーマンスが良い。

《無謀/Reckless》

内容:

 事態の緊迫に気づきません。慎重や忍耐強さの性格を持てない一方、勇敢さの性格判定を無謀の性格で代替することができます。

第四版からの変化:

 《高い志/Higher Purpuse》と同じく、一般美点から新設の性格欠点へと転向しました。内容は変わりません。

コメント:

 「子供の時分から無鉄砲なことばかり」な坊ちゃんやら、気っ風のいいスワッシュバックラーダルタニャンやら、そういった陽性で爽快感あふれる快男児っぽい。深く考えずに向こう見ずに飛び出せちゃう!という点で、一般美点の《反射神経/Lightning Reflexes》あたりとも食い合わせがよさそうです。うじうじしている連中の尻を叩き、タマ取りに突っこみましょう!

《人嫌い/Reclusive》

内容:

 他人に干渉されるのを嫌い、公共の場や集団行動を億劫がります。

第四版からの変化:

 性格の値がついてこなくなり、自分の世界を邪魔されたときにキレるかどうかの判定も削除されました。他の性格欠点と同様の処理に統一されたわけで、望ましいことと思われます。

コメント:

 タロットカードIXの「隠者」とでも申しましょうか。ウィザードリィのマピロ・マハマ・ディロマトの男もきっとそうなんでしょう。
 本文にあるように、プレイの表舞台に上がって人間関係に囚われることに向かないため、基本NPC向けというのはたしかにその通りです。PCとしての可能性を探れば、登場頻度の高いコンパニオンと研究室活動の得意なウェルディーティウス派マギの組み合わせ、もしくは、マキリップ『妖女サイベルの呼び声』のように、次第に人の情に目覚めて…という物語でしょうか。

《温室育ち/Sheltered Upbringing》

内容:

 外界と隔絶した環境で育ちました。世間に不慣れであり、キャラクター作成時には〈取引〉〈魅惑〉〈作法〉〈人間知識〉〈詐術〉〈陰謀〉〈指揮〉の各技能を取得できません。

第四版からの変化:

 社交へのペナルティが削除されました。また、キャラ作成時に取得できない技能が名指しで指定されるようになり、曖昧さがなくなっています。コストは−2から−1相当へ軽減。妥当なところかと。

コメント:

 《宵っぱり/Nocturnal》とはまた別の形でペナルティを受ける性格欠点。これはもうシェイクスピア『テンペスト』のミランダにとどめを刺します。彼女の「なんて素晴らしい!人間がこうも美しいとは!ああ、素晴らしい新世界だわ、こういう人たちがいるとは!」(How beauteous mankind is! O brave new world, that has such people in't!)は至言。未知のものに出会う驚き、不安、ときめき。そういったものを押し出していきましょう。

 人間社会になじんでいないという兄弟な欠点には、《コヴナント育ち/Covenant Upbringing》《妖精郷育ち/Faerie Upbringing》があります。家族相当以上につきあいが広がるようでしたらそちらをどうぞ。

《飽きっぽい/Short Attention Span》

内容:

 持続的な集中力が必要な作業が苦手です。

第四版からの変化:

 知識の成長速度半減というペナルティが消え、またマギでも取得できるようになりました。これも性格欠点として純化された部類。

コメント:

 どちらかというとコメディ的な要素で、他の性格欠点の味付けとして使うと良い感じかなと思います。「人の話を最後まで聞かない」とか、アタマワルイ系のキャラクターに似合いそうです。雑魚感もあるので、能力に多少疑問符がついてもいいなら、グロッグにもたせたりしても面白いかも?

《単純/Simple-Minded》

内容:

 一度に一つのことしか考えられません。

第四版からの変化:

 まったく変化なし。まさに単純。

コメント:

 ええ、ここへ来て《飽きっぽい/Short Attention Span》に続き、三下コメディ方面のラッシュです。これもいざというときにアワアワとパニクるのが楽しい感じかと思いますので、周りは思う存分かまってあげましょう(本当の大事な場面には自信値使って頑張ればOK)。シビアなサガには向きませんが、お気楽な雰囲気にはぴったりです。

おまけ。むかし某所でみた『鬼ジェイガンが行く』
> やあ。なに?ますます元気が無くなってる?そりゃこのうだる様な暑さだ。
>だから砂漠地帯は嫌なんだよな。ふぅーあちあち。パタパタ
>「ジェイガン、士気に関わるから、あまり大声で暑い暑いって言わないでくれ」
> これは王子、失礼致しました。確かにその通りでございますな。パタパタ
>「‥そうやってあおぐのもやめてくれないかな」
> やや、これは失敬。さーてそろそろ出陣ですな。いやあ暑い暑い。
>「‥彼は一度にひとつしかものを覚えられないのかなあ」

《軟弱/Soft-Hearted》

内容:

 敵でも味方でも苦難を目の当たりにするのに耐えられず、それくらいならいっそ目的を諦めようかとさえ考えます。歌や物語にもすぐ感動します。

第四版からの変化:

 これもまったく変化なし。

コメント:

 気弱というか、優しすぎるというか。蛮人にはありえない繊細さですが、では文明人なPCならどうかというと、それも怪しい。アルス・マギカもTRPGなだけに、苦難を乗り越えずに済むサガというのは、結構特殊なんじゃないかと思うんですね。だとすれば、他のPCに(断りきれずに)ひきずられていくタイプのキャラクターくらいかなあ。

《節制/Temperate》

内容:

 度を越して歓楽にふけることはありません。

第四版からの変化:

 新規参入組。

コメント:

 《大好き/Weakness》の真逆で、いわば「足るを知る」心(いま「たるをしる」って打ったらATOKが「樽を知る」って変換した…。たしかにディオゲネス。身体の芯は満腹になっているのに、惰性で続いてしまっている状態は、私もしばしば憶えがあります。これを自覚し、欲求の本当の声に耳を澄ますこと。聡明な方にはなんの苦労もないんでしょうが、そうでない人間には難しい心得ですねぇ。o ○

 物語の中心に立つにはやや不向きですが、その姿で脇からそっと影響を与えたり、といった立ち位置がいいと思います。もしくは、こうした境地に達する以前におかした過ちとか。教父アウグスティヌスも若いころは放蕩者でした。

《異装癖/Transvestite》

内容:

 異性のような服装や振る舞いをします。

第四版からの変化:

 "Shaman"初出〜WGRE再録の-2欠点でした。内容は変わりませんが、コストは-1相当に。

コメント:

 物語欠点と関連づけて練りたくなる内容です。《暗い秘密/Dark Secret》と併用するケースも多いことでしょう。どういう事情があるのか設定に凝るところ。社会的な制限/差別で本来の性別ではなれないものにどうしてもなりたかったとか、仇敵に狙われるのでやむをえず身を隠しているとか。実例を思いつくまま挙げれば、女教皇ヨハンナ、『十二夜』のヴァイオラ、『ベルサイユのばら』のオスカル、『とりかえばや物語』(または『ざ・ちぇんじ!』)の綺羅姉弟、『南総里見八犬伝』の犬塚信乃、『丹下左膳』の弥生、『ライアット・スターズ』のアリエス…。

《誓い/Vow》

内容:

 何らかの困難な事柄を誓っています。守れないと自信度にペナルティ。

第四版からの変化:

 誓いの重さに応じたコスト可変から-1固定に。他は変わりません。

コメント:

 個人的な誓いもあれば、家訓のような場合もあると思います。また、「○○するまで〜しない」といった願掛け系も面白いでしょう。

 なお、地位美点《司祭/Priest》に必須とされているように、これには一般聖職者の誓約も含まれています。ただし修道士の誓いは物語欠点《戒律/Monastic Vows》の領分。もっとも個人的には、この辺は物語のネタにするかどうかで柔軟に扱ってもいいかと思っていますが。生臭坊主もいるでしょうしね。

《大好き/Weakness》

内容:

 何らかの事柄が大好きで、それに出会うと他のことはどうでも良くなります。

第四版からの変化:

 まったく変化なし。

コメント:

 少々意訳ですが、要するになにかに夢中になってしまうという欠点。どちらかというとコメディな味付けになります。単純に演出できるので、グロッグに取らせるにも向くでしょう。SGから引きに使いやすいのも魅力。

 少しひねった使い方では、《まことの愛(NPC)/True Love(NPC)》ではないけれど思いを寄せる恋人とか、誰かへの不合理な傾倒を表現するにも使えるかもしれません。あとまあ、味わいつくして「歓楽極まりて哀情多し」(漢武帝)ってのも後々の演出として面白いかな?

《意志薄弱/Weak-Willed》

内容:

 自分で決めるよりも他人の言葉に頼ろうとします。このキャラクターを騙したり脅迫したり操ったりする判定にはボーナスがつきます。

第四版からの変化:

 これもまったく変化なし。

コメント:

 これまた実質ペナルティのつく性格欠点で、一般美点《意志堅固/Strong-Willed》の鏡像です。《宵っぱり/Nocturnal》より適用範囲が狭いぶん、ペナルティ量が大きくなっているのでしょう。

 真っ向から大きく取り上げるなら、自信なく周囲に頼るばかりだった人物が、だんだん成長して独り立ちしていく物語になるのでしょうが、それだったら物語欠点に欲しかったかも。下っ端っぽい性格でもあるので、グロッグにもよさそう。敵に捕まったらすぐに口を割りそうですが、その辺もふくめて雑魚っぽい。

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