サガ"フォッソル" 第十三話

色事師(前編)

プレイ:2004/12/23
レポート作成:2005/12/18

 5話でヴェゼイ村の神父の堕落を咎めて以来、フォッソル近郊の村や街では悪魔がらみの事件がたびたび起こっていた。目を付けられたのではないかという危惧もあるにはあったが、しかしなにしろ、それらを毎度退けてきた面々だ。また来たら来たで、それはカモネギならぬ悪ウィー(悪魔がウィースを背負ってくる)だと言って恐れるところがない。

 業を煮やした悪魔の首領(SG)はついに本腰を入れ、新たな刺客にグラストンベリの黒修道士の技を授けて差し向けた。

平和な街にやってきた、女殺しのリーサルウェポン。
無念の亡霊さまよい歩き、ふたたび襲う毛抜け病。
ファレルは叫ぶ「オレじゃない!!!」
次回アルス・マギカ『色事師』
さて……。

 というわけで、まずはセッションの数日前にPLたちに流した次回予告(声:銀河万丈)でありました(^^;)

 ※ちなみに私たちのトループでは、この前編が四版の遊び納めになりました。

季節行動

 前回の珍妙な防衛戦から一年半のあいだ、一同たっぷりと汗をかき、フォッソルは着実に発展していた。以下、今回のキャラクター紹介も兼ねて、各々の季節行動をば。

ソーン (テュータルス派マギ)

秋:『法典詳解 第一巻』を読む (→〈ヘルメスの掟〉が0から2へ)
冬:『群の頭目』を読む (→Animalが5から8へ)
春:Animalのウィース研究2ポーン (→Animalが8から10へ)
夏:『人を動かす』を読む (→Regoが10から11へ)
秋:『魂の輝き』を読む (→Mentemが7から9へ)
冬:『アテナへの手引き』を読む (→〈ギリシャ語〉が0から2へ)

師匠からおしつけられた嫁(=使い魔候補のカッコウ)の相手を余儀なくされている。Animal を懸命に上げているのはそのためだ。10話に子連れで転がりこんできた、このザマス言葉のマダムは、まあ腹黒という点では、たしかにソーンとお似合いではあるのだが。

他には、コヴナント間の交渉に向かうファレルに入れ知恵したり、誰も読めずに不良在庫と化しているギリシャ語文献の解読に着手したり。やはりソーンは、フォッソルの主犯格首班格と呼ぶにふさわしい。

アグリッパ (ウェルディーティウス派マギ)

秋:「土中歩行器」作成 (→〈魔術理論〉にも経験値1点)
冬:「ウィース探知機」作成 (→〈魔術理論〉にも経験値1点)
春:Mentemウィース研究1ポーン (→Mentemが1から4へ)
夏:『心のひだ』を読む (→Mentemが4から6へ)
秋:宝器「ダミアヌスの剣」でCorpusのウィース研究 (→Corpusが3から5へ)
冬:『人体是正』を読む (→Corpusが5から8へ)

我らがアグリッパ博士は、前回遭遇したエスパーダの地下潜伏戦術に感銘を受け、それを取り入れた魔術物品を作っている。目指す機械の体へのステップとして、さしあたりは自動人形の設計を練っており、Mentem と Corpus の研究はその下準備。

また、財産としての蔵書の価値に注目し、写本要員の確保を提案した。必要な知識と技能を勘案した結果、院長とコネのある、シルヴァカーヌ大修道院から借り受けることに。

ファレル (メルケーレ派マギ/天稟あり)

秋:Regoのウィース研究2ポーン (→Regoが7から8へ)
冬:
セベリノに剣を教わる (→〈片手武器〉が6(0)から6(2)へ)
春:宝器「ダミアヌスの剣」でCorpusのウィース研究 (→Corpusが14→15)
夏:地理本作成のため旅に出る (→現場経験として〈地域知識〉が1から2へ)
秋:地理本作成のため旅に出る (→現場経験として〈地域知識〉が2(0)から2(2)へ)
冬:地理本作成のため旅に出る (→現場経験として〈地域知識〉が2から3(1)へ)

ソーンにうまいこと口を利いてもらって、ドン・セベリノに剣の稽古をつけてもらった。教師が 20 歳も下の若造であっても、変なプライドを立てずに学ぶべきを学べるあたり、人間が出来ている。もっとも、冬に宝器「ダミアヌスの剣」でリストカット(?)して Corpus のウィース研究をした結果、貧血でふらふらになり、そこで「水分補給だ」と称して強い酒をしこたま飲むようなオヤジでもあるのだが。「これが俺の血だ」とか。

後半の旅は、最新版の地図を作るための調査を主目的としている。フォッソル所蔵の地図を作ったのが同僚の赤帽士シモンだと知り、「あのシモンでもできるなら」としばらく前から機会を待っていたらしい。ただその間も、コヴナント"カウェルナ"とウィースの交渉にあたったり(ストレスダイスで出目14! 溜まっていた膨大な Terram ウィースを必要なものに交換できた)、アグリッパの意向で修道院に立ち寄ったりと、魔術団の使者役らしい動き方。

ラサ (ビョルネール派マギ)

秋:Corpusウィース研究1ポーン (→Corpus6から7へ)
冬:『現世の五つの感触』を読む (→Imが0から3へ)
春:ReIm10の呪文“右向け左(改)”を開発 (→魔術理論に1点追加)
夏:『変身術』を読む (→Muto増加)
秋:Mutoウィース研究2ポーン (→ボッチ^^;)
冬:Mutoウィース研究2ポーン (→Muto9から11へ)

最近になって火遊びに興味をもつようになり、最後の冬はCrIg“火蜂”の呪文を憶えるつもりだったらしい。ところが秋のウィース研究でボッチって、冬は結局その尻ぬぐいに潰れてしまった。ネズミ花火の夢はしばらくお預けである。

もっともこれは、《読書が苦手》でウィース研究を中心にせざるをえないラサとしては、やむをえない面もある。「なんたってこの猫、トリュフ(Creoウィース)で育ててますからね、いい香りがしますよ」なんぞと言われて肩身が狭い彼女は、これでも今回は初めて読書に取り組んで、頑張ってるのだが。他にも、10話でライオンを駆り立てていたとおぼしき未鑑定の黒い首輪を、実験と称してアグリッパから填められそうになったりと、相変わらず波瀾万丈である。

※他にボニサグス派のリノアもいましたが、彼女はPLが仕事で早退したため、途中までしか出てきません。

平和

 冬が終わり、1227年の春がやってきた。オルゴンの領主キャペ(はせがわ女史のコンパニオン)は、温かな日差しに猫たちとひなたぼっこを楽しみながら、物思いにふけっていた。結婚してもう丸二年になる。早いものだ。あの式では(11話)、レーモン伯爵の放った暗殺者が紛れてたり、司教様は悪魔憑きだったり、獅子のイオン君は毛抜け病にかかっちゃうしで、まったく大変だった。アグリッパ博士がくれた身代わり像のおかげで命拾いしたけれど。

 十字軍がらみの政略結婚だったわけだが、今では戦況は、キャペの属する国王方/カトリック方の優勢が固まりつつある。去年の夏にはアヴィニョンも陥落したし、敵方の本拠トゥールーズの攻略も夢ではないそうだ。キャペも軍役には一応出たのだが、イオン君が一吠えするだけで敵はみんな逃げていったから、自分は何もしていない。まあ勝つには勝ったんだからそれでいいのだ。あとは当主である長兄以下が喜んで片付けてくれる。領地もなにも増えなくとも、信心深い妻と友なる獅子、それに平和な毎日さえあれば…。

 キャペは思わず嘆息した。平和、か。

 先日から館には、教皇特使の寵臣が滞在している。彼、ムッシュ・ジャンは、各地を旅して貴婦人と浮き名を流していたが、あるとき神の遣わした天使から異端撲滅の使命を授かり、すぐさま行いを改めて、十字軍に身を投じたという。その戦いぶりはまさしく神がかっており、ベジエ攻略戦では太刀の一振りで石の門が崩れたそうだ。
 その一方で、神の加護ある聖騎士ながら堅物ではない。むしろ誰もが好きにならずにいられない洒落者だ。洗練と野性味の同居した色気を漂わせているものだから、街の者たちにも大変な人気だった。面倒でジョゼフ(乳兄弟)にやらせてしまったが、自分で接待しなくて大丈夫だったろうか。なんにしても、早く帰ってくれないかなぁ。

 「旦那さま! 一大事です!」

 噂をすれば、青ざめたジョゼフが大声で呼びながら駆けてきた。やれやれ、この騒ぎようでは、本格的に平和が逃げてしまいそうだな…。

亡霊

 一方そのころ、フォッソルでも変事が起こっていた。朝餉の席で部屋の隅から、「うらめしや〜」というしわがれた声とともに、白髪を振り乱した血まみれの老人が現れたのだ。姿を透かして向こうの壁が見える。すわ、亡霊か。

 とっさに主人のマギをカバーしたグロッグたちだが、剣が通じるかどうか怪しいとあっては浮き足立つきらいを隠せない。しかし、ソーンをはじめとするマギたちはさすがに冷静だった。
 魔術団のコヴナントの大半は結界儀式として ReVi “炉辺のアエギス”を採用しており、亡霊や悪魔は結界内に一切立ち入ることができない。フォッソルは“アエギス”を用いていない数少ないコヴナントの一つで、過去の経緯から ReMe“安息の地”を代わりに用いているが、あの結界が透過した亡霊ということは、少なくとも我々に害意はないはず…。

亡霊(SG):「オルゴンのキャペ卿に仕える騎士長、ギヨームにござる。
      このような身なれども、いまだ果たせぬ未練ありて、谷の博士殿に頼みたく参った」

 赤帽士として旅しているファレルは憶えがあった(【知性】+〈地域知識〉に成功)キャペ卿といえば、アグリッパが消耗品の呪付物で懐柔している地方領主だが、たしかにあそこにゃ堅物の老騎士がいたな。それでまあ「正しく偉大な魔法使い」と名高い俺っちにお願い事ってぇわけか。人気者もツライねぇ。

亡霊(SG):「わしは昨夜、娘に夜這いをかけた仮面の男を見つけ、決闘に及んだ。
      されどこの仮面の男は悪魔の使いに相違ない。彼奴があやしげな言葉を唱えると、
      またたくまに身体じゅうに疱疹生じ、痛みで剣ももてなくなった。そこを突かれて死に至ったのだ…」

アグリッパ:さては悪魔か魔術師か。魔術師の間男……略して「魔男」だな(笑)

亡霊(SG):「わしの葬式は明日だ。このままでは因果応報を見届けぬまま
     成仏させられてしまう

ファレル:要するに、天に代わりて不義を討てと。晴らせぬ恨みを晴らしてくれと。

ラサ:「悪ウィー」ならいいんじゃない? まずは葬式を延期させるところからいこうね(笑)

オルゴン

 荒事を予期し、グロッグの少年を一人走らせて、カドネ城に滞留している遍歴騎士セベリノ(もりあみ氏のコンパニオン)をコヴナントに招いておくことにした。そうして向かったオルゴンの街、ここに来るのはもう二年ぶりになろうか。コヴナントから一日歩きづめで、もう空には星がまたたいていた。

SG:街の南門に到着したころには、さすがにくたくたになっているんですが、
   年若い門番の青年たちはみなさんをあからさまに不審者扱いです。
   「おまえたちは何者だ。怪しげな風体をしおって」

ファレル:うーん、しかたないよね。みんなマギってる し。

リノア:マギってるかぁ(苦笑) 《穏和な天稟》はあたしだけ?
    しかたない、門番の兄ちゃんに取り入って、領主に確認とってもらうわ。

SG:【魅力】+〈魅惑〉で……成功? では一人が館に行ってきましたら、
   うってかわって丁寧な態度で通してくれました。
   「申し訳ありません。昨夜、館でギヨーム様が殺される騒ぎがあったばかりでして。
   下手人もまだ捕まっていないんです」

ソーン:「うむ、我が輩もその報せがあって来たのだ」とでも言っておこう。
    ときにギヨーム殿、あなたは仇が誰かご存じないのですかな?

亡霊(SG):「あの時はどういうわけか、墨を流したように暗くてな。しかもあの仮面だ。
      ただ……甘い薔薇の香りが漂っておったわ」

アグリッパ:フーム。ただの香水か、それとも何かの触媒か。

SG:行こうとすると、門番の青年がリノアをナンパしてきますよ。

リノア:ざんねーん、あたしもマギだから。また今度ね(笑)

 こうしてようやく南門を抜けると、街路は活気があふれていた。凶事があったとはいえ、栄えている証拠だ。

SG:(11話で使った地図を広げて)で、結婚式のときに泊まった宿屋がこの残日亭、
   サン・ジャックの丘ってのは、そのときソーンとふたまたアゴの赤帽士シモンが密会した場所ね。

ラサ:明日葬式があるのは聖ヨブ教会だね。見に行ってくる!

ソーン:我が輩はサン・ジャックの丘に行こう。あそこは人目につかないし、
    街中と違って神聖オーラも無かったからな。魔法で何か情報がとれるかもしれん。

アグリッパ:うむ、街を一望できる場所なら、押さえておいて損はなかろう(=「視野」の射程や対象に有利)

色男

 領主館に向かったファレルとリノアは温かい歓迎を受けた。キャペは館の取り込みを詫びつつも、アグリッパやラサも来ていると聞いて喜び、客間を用意しようと申し出た。しかも、途中で入ってきた刑吏が言うには、ホシが挙がったらしい。

キャペ:「ユダヤ人の商人か。本人は認めたのかい?」

刑吏(SG):「どうせ商人に化けた密偵ですよ。いま地下で拷問しています。
       お任せください。二〜三日のうちにはゲロさせてみせます」

ファレル:(〈人間知識〉の判定に成功して)
      誰がやったか分からないけど、放っておくわけにもいかないから、
      それらしい人間を探してきて無理矢理自白させるわけだな。

そこへ「やあ、捕まったかね」と言いながら、ダンディな紳士が一人入ってきた。

キャペ:「こちらはムッシュ・ジャン。教皇特使アルノー・アマルリック猊下直属の騎士で、
     主が十字軍に授けたもうた英雄です。前線視察の途中で、私の館に滞在して
     おられたところなのですが、とんだことに…」

ジャン(SG):「いや、キャペ殿に非はないよ。ああいうけしからん輩はさっさと吊してしまおう。
       ときに、そちらの麗しいお嬢さん、この賤しきしもべにお手をいただいても……?」
       あっという間に跪いてリノアの手をとり、気障ったらしく接吻しました。美点《神話的:魅力》発動(笑)

リノア:あはは。「ジャン様〜」とハートマークを飛ばす。

ファレル:(俺は無視かよ…)

 ふてくされてキャペの紹介を聞きながら、ファレルは奇妙なことに気づいた。匂いがする。濃厚な薔薇の香水にまぎれて、大嫌いな硫黄の匂いが。《地獄に対する感受性》で一瞬血の気が引いたファレルを見て、ジャンは確かにニヤリと笑っていた。

宵闇

 ひとまず客間で落ち合った一行。ファレルはベッドを囲んで ReVi “悪魔に対する防護円”を張ると、早々に寝こんでしまった。

ソーン:InVi で調べたが、サン・ジャックの丘には地獄オーラが生まれているぞ。

ラサ:良くない徴候にゃ。それにここの教会の司祭、あれは小者だわさ。ロダン神父と違うもん。

アグリッパ:ファレルの勘が正しければ、そのジャンとかいう男の仕業なんだろう。
       我々でさっさと片を付けねばな。すでにそこにも魔の手は及んでいるようだし?

リノア:「ジャン様〜(寝言)」

ソーン:そうはいっても、奴は少なくとも表向きは枢機卿の寵臣だぞ。うかつに事を構えるわけには…

 そのとき、三人はハッと同時に黙り込んだ。外界から作用しようとする何かの魔力を、パルマ・マギカが弾いた感覚があったのだ。続いてもう一度。パルマの及ばない範囲は、いつしか薄闇に包まれ、念のため交代で夜番をさせていたグロッグたちの高いびきが聞こえる。まさか襲撃かと飛び上がると、ラサは化け猫モードになり、アグリッパは土中歩行器でずぶずぶと潜りこんだ。

 だが、待てども待てども、何かの攻撃が来る様子はない。おそるおそる周囲を探ってみると、どうやら館じゅうが闇と眠りの魔力に覆われているようだ。ReMe で皆を起こそうと試みたが、さすがに即興では分が悪い。

ラサ:ひょっとして……ジャンは丘に行ったんじゃない?

アグリッパ:それだ。地獄オーラの場所でまともに立ち合ったら不利だから、
       私は潜航したまま様子を見に行く。ラサも一緒にきてくれ。

 丘では仮面をつけたジャンらしき男が、ラテン語で悪魔への祈祷文を唱えながら、古代の遺跡に紛れた石碑を前に、なにやら奇怪な儀式をしていた。アグリッパは地中に身を隠し、ラサは優れた〈隠密〉で気配を悟らせない。二人は儀式の様子を一通り見届けると、ジャンに先だってひそやかに客間に戻っていった。

SG:呪詛の儀式が6つ終わったんで、ファレルは Vim でそれぞれ魔法抵抗してください。
   ああ、もちろん《地獄に対する感受性》で抵抗半減ですけどね。

ファレル:全部失敗〜

SG:じゃあ悪魔のプレゼントをどーぞ。(三枚のカードを裏返しに並べる)

 一方、ソーンとリノアは教会の司祭をたたき起こすと、闇に包まれた館の様子を遠巻きに見せて、悪魔の仕業と脅しつけた。小心な司祭はたちまち震え上がり、ソーンの言うまま、葬儀は延期してひたすら祈りを捧げようと逃げ帰っていった。もっともあの様子では、朝まで布団をかぶって震えているに違いなかろう。

陥穽

 翌朝一番、彼らは護衛をつけたリノアを馬車に乗せて、マルモール村に向かわせた。《真の信仰》持ちのロダン神父に、悪魔の気配有りと伝えるためである。帰りにコヴナントに寄ってドン・セベリノも連れてくる手筈になっている。彼らが来れば百人力だ。そして、それまでに自分たちで出来る範囲で優位を築こうと動いたのだが……。

ファレル:教会に向かいます。昨夜のが気味悪いし、せめて聖水かお守りかなにか無いものかと。

SG:(嬉々として)ほほほ、そうですかそうですか。じゃあお手元の1番のカードをオープンしてくださいな。

《激しい恐怖》×3

(−2の欠点×3つ)

特定の物事によって圧倒的な恐怖に満たされる。
這ったり戦ったりしてその存在から逃れようとする
他は何もできない。逃げられなければ震えて卒倒する。

恐怖の対象は…

教会

聖書

聖職者

です。

ファレル:(机に突っ伏す)

SG:教会に近づくにつれて、胃袋がむかむかして、手が震えてきます。
  そして、昨夜ソーンに脅かされて心細くなっていた神父は、
  「博士様」を見つけると大喜びで駆け寄ってきました。聖書を抱えたまま。

ファレル:泡を吹きながら這って逃げます…。

SG:いつの間にか周囲に人だかりができていました。
  街の人たちは最初は面白い見世物のように笑い転げていましたが、
  だんだん気味悪そうにひそひそやりだしますねぇ。「まさか悪魔の?」

ソーン:思いっきり墓穴掘ってるじゃんよ。

ファレル:悪魔なんて、悪魔なんて、本物はこんなもんじゃないんだぞォォ!

祭壇

 一方そのころ、ソーンとアグリッパは地獄オーラの弱まりやすい昼を衝いて、サン・ジャックの丘を探りに行った。

 本当はラサも行くはずだったのだが、

ラサ:このあいだ開発した ReIm“右向け左(改)”をかけます……いきなりボッチ!

SG:じゃあラサの及ぼす感覚作用は、五感にわたってどこかにいってしまいました。
  どこに失くしてしまったか、ラサ自身も皆目見当がつきません。

ラサ:自分を探しに行ってきまーす(泣

 というわけで脱落(^^;)

 ジャンが儀式をしていた石碑辺りに、アグリッパがさっそく「土雷砲」を打ちこんだところ、碑の頂点に彫り込まれていた石の悪魔像が、動かぬはずの石の羽根をばさりを開き、二人めがけて鋭い爪で襲ってきた。上空を舞う敵には「土雷砲」が通じず、有効な反撃をできぬままソーンが深手を負う。

 とっさにソーンは合い言葉を唱えて「翔る太陽の指輪」を起動すると、高速で飛行して振り切った。アグリッパは潜航し、土雷砲を連打して石碑を傾かせる。向こうも地中のアグリッパには手が出せないらしく、一日あたりの回数制限で土雷砲が弾切れになったところで、いったん水入りとなった。

 逃げ帰ってきたソーンに、「ダミアヌスの剣」で血から変換したウィースでもって、ファレルが何度もCrCo“外科医の癒しの接触”を使う。ソーンが回復判定で2を出しまくって二人ともふらふらになったが、なんとか全快。ラサも日が沈んだら姿形が帰ってきた(笑)

 そしてここまでの情報をファレルの〈隠秘知識〉にかけたところ、ダイスが回って悪魔崇拝者のもつ能力の全貌が明らかになる。

悪魔崇拝者

悪魔と取引し、この世ならぬ力を授かろうという者は、今も昔も後を絶ちません。また悪魔の側も、魂を手に入れる絶好の機会(*1)として、これを好んで受け入れます。そうした利害の一致があるため、悪魔崇拝者になるには、何の美点も必要ありませんし、欠点が付与されることもありません。「狭き門より入れ。滅びに通じる門は大きく、その道も広い」(マタイ伝7章13節)は真実なのです。(*2)

ここ(Web上)では詳細は省きますが、彼らはルール的には、三つの特殊能力を持ちます。
 授け:自身に美点を付与したり、欠点を除去したり。富や長寿、魔術も。
 呪詛:相手に欠点を付与したり、美点を除去したり。判定の自動失敗や病気も。
 下僕:悪魔から直接の奉仕を受ける。書籍の形をとることも。

いずれも祭壇による儀式が必要です。

悪魔崇拝者はまだ人間であり、地獄実力値の項目は持ちません。そのため、神聖オーラにも、不快に感じることはあっても、悪魔のように直接的な害を被ることはありません。ただし、地獄に汚れた身であることは間違いがなく、たとえば聖餐式でパンとワインを受けようとすれば炎のように火傷をすることになりますし、教会など5点以上の神聖オーラの中では、特殊能力は一切使えません。

(*1):悪魔崇拝者は儀式の判定でボッチしたら、一週間以内に魂を一つ捧げないといけません。普通は他人を殺してその魂を捧げますが、それができないと自分の魂を捧げさせられることになります。
(*2):心から悔い改めれば、授かった物はすべて失いますが、地獄行きは免れます。

カンヅメ

 宵の口になって、ロダン神父ドン・セベリノを連れてリノアが戻ってきた。ロダンを見たとたん本能的に逃げるファレル(笑) 仕方がないので、

アグリッパ:セベリノ殿、あなたの(剣の)弟子が悪魔憑きになってしまいました。

セベリノ:なんと!

アグリッパ:教会に連れ込めれば助かると思うのですが、本人が嫌がって暴れるもので私どもにはどうにも…。

セベリノ:よしわかった! ファレル、歯を食いしばれ!(ガツン

 気絶したファレルに布をかぶせ、荷物にカモフラージュして教会へ担ぎこむ。御聖堂に入ったとたん、ファレルに巣くっていた恐怖心は嘘のように消え去った。(←呪詛の効果は神聖オーラ5以上の空間では一時的に停止する)

ロダン:告解室で尋問モードに入ります。そして「君には悪魔憑きの疑いがある。
     悔い改めのために夏至まで教会で奉仕しなさい。ずっと泊まり込みだよ」
     
(↑懺悔と悔い改めの苦行を終えて聖餐式を受けると、呪詛を完全に除去できる)

ソーン:おい、誰かに出てこいとか言われても、聖堂から出たら絶対ダメだからな。
     たとえ我が輩や神父に呼ばれたってダメだぞ?

ファレル:あいよあいよ(もう開き直り)

 ファレルを安全な教会にカンヅメにし、魔法抵抗をもたないセベリノにはアグリッパが護符をもたせた。その夜ふたたび丘の見張りに立ったラサは、ジャンが悪魔像に命じて祭壇を直させたのを目撃。さらにジャンは昨夜と同じく呪詛の儀式をし、今度は生贄に黒猫を捧げていた。

 そして魔法抵抗に見事に失敗し、SGからカードを預けられるラサ(笑)

汚名

 翌日、裏路地で昼飯のために狩りをしながら、ラサはキャペの館に向かった。ロダン神父たちが正午に丘の祭壇を毀ちに行くあいだ、ジャンを見張ろうとしたのだ。ところが、物陰で動く小動物をみつけて、優れた〈狩猟〉で捕まえて引き寄せたとたん、伏せてあったカードの一枚が……

《激しい恐怖》

(−2の欠点)

特定の物事によって圧倒的な恐怖に満たされる。
這ったり戦ったりしてその存在から逃れようとする
他は何もできない。逃げられなければ震えて卒倒する。

恐怖の対象はズバリ

ネズミ

…です。

ラサ:ぐぎゃー!!

SG:捕まったネズミと一緒に、仲良く腰を抜かしててください。
   そこへ野良猫の一匹がやってきて、ラサの目の前のネズミをかっさらうと、
   嘲笑っていきます。「なーにやってんだよ、ネズミ見てひっくり返ってやーんの!」

 意気消沈して腹ペコのまま館に着いたラサは、獅子のイオン君のところに立ち寄ったのだが、そこでまたびっくり。彼の自慢のたてがみをはじめ、全身の毛が抜けて、皮膚がかさぶただらけになったのだ。しかもひどいかゆみがあるらしく、しきりにかきむしっている。

 InAn“ドリトル先生の聴診器”で話してみれば、どうも結婚式のときに罹った奇病と同じらしい。あれは悪魔憑きの司教の祈りが原因で、言い伝えのとおり猿を食べさせたら治ったのだが。ラサは勇気を振り絞って(←犬が苦手)キャペ卿にそれを伝えると、ソーンたちにも知らせようとすぐさま取って返して、屋敷の塀を飛び越えようとした…

ラサ:【反応】と〈運動〉で判定?

SG:いつもならね。だが今日は、そこで2枚目のカードを開きたまえ。

自動ボッチ

以下の能力を使う判定は、自動的にボッチします。

〈認識〉

〈運動〉

〈隠密〉

呪詛の例にもれず、持続は「永続」です。

やーい、ダメ猫!

ラサ:んぐぐぐぐ!

SG:落ちましたな。まっさかさまに。尻から。
   ときに、キャペの館は猫屋敷だそうですね。目撃者(目撃猫)には事欠かないでしょうなあ。

ラサ:(頭を抱えて)ああああ、もう猫集会に行けない!

SG:オルゴンの猫を対象にした「ネズミ怖がり」という評判を差し上げましょう(笑)

ボム

 一方、サン・ジャックの丘では、祭壇の破壊があっけなく成功していた。悪魔像も姿を見せず、ロダン神父らの前に焦土戦術をとったものか。その留守に、教会のファレルを訪ねる人影があった。

SG:(しっかしマギの中でもよりによってソーンを残してきたか…厄介だな。まあ仕方ないか)
   神父がアグリッパたちと丘に行っているあいだに、器量よしの娘がファレルのところに来ました。
   「手前は誉れ高きムッシュ・ジャンの召使いでございます。主人よりファレル様宛に内密の御用を
    言いつかってまいまして。ついでにお昼をご馳走致しますので、向かいの旅籠にいらっしゃいませんか」

ソーン:おい。

ファレル:分かってるって。「俺は悔い改めの最中なんだ。食い道楽などもってのほか」

召使い(SG):「それではこちらでかまいませんが、どうぞお人払いを」

ソーン:じゃあ教会の関係者だけ出てもらおう。我が輩は残る。

召使い(SG):(無人をたしかめて)「結構でございます。ではこちらを。
         主人よりのファレル様への贈り物にございます」と言って酒瓶を差し出す。

ソーン:ダーメーだ。こいつには改心するまで何も与えられん。すかさず取り上げて…

SG:(淡々と遮って)触った途端に瓶が爆発し、炎が溢れました。

ソーン:うわ、いきなり荒っぽい手で来たな。魔法抵抗はしてもいい? ……よし楽勝。

ファレル:自信値つっこんでこっちも成功。持ってきた女中も巻きこまれてるよね?

SG:抵抗できてません。というかもともと魔法抵抗ないの。かなりの火傷っぽい。

ファレル:なんだ、自爆しただけじゃない。

SG:ふふふ、しかしそこで彼女は叫ぶのですよ。
   「うわぁ! 罰当たりな妖術師が教会を焼き払おうとしたぁ!」

丁々発止

召使い(SG):(火事を消そうと駆けつけてきた人々に向かって息も絶え絶えに)
        「司祭様ぁ! 助けてください! あたしはワインを届けにきただけなんです。
         そうしたらこの妖術師が地獄の炎で教会ごとあたしを吹き飛ばそうとしたんで」

ファレル:おい、なに言ってるんだ。お前さんの主人がもたせた瓶だろう。

召使い(SG):「見てください、どっちが嘘つきか!
         あたしがこんな目に遭ってるのに、奴らは服の端ひとつ焦げてないじゃないですか!

ソーン:パルマを逆手に取ってきたわけか。とにかくここは群衆にアピールだな。
     「誓って言うが、我が輩は何もしていない。受け取った瓶が突然爆発したんだ。
      我が輩が無傷なのは、神のご加護をおいて他にない。偽証者は守られなかったのだ」

SG:んじゃあ、【交渉】+〈指揮〉とかで振り合いましょうか。天稟の社交ペナルティ入れてね。
   コヴナントの評判(善良な博士)は足していいけど。

ソーン:我が輩は〈陰謀〉使ってロダン神父が来るまで引き延ばす。

SG:(いつものようにオープンダイスで)……しまった、負けた。
   群衆を前に言い合いを続けているところに、丘に行っていた人たちが戻ってきます。
   どうもうまくいってないみたいなんで、ムッシュ・ジャンも来よう。

ロダン:身許を明らかにしてくるなんて、こいつ馬鹿じゃね?
     私は司祭の地位ぶん修正がつきますよね。【交渉】も〈指揮〉もあるよー。
     「博士殿は鑑札をお持ちだし、後ろ暗いところがないことは私も保証しましょう。
      むしろここで問われるは、罰当たりを雇った主人の資質ではありませんかな?」

キャペ:集まって騒ぎになってるんだったら、キーさん(←自分のこと)も行くよ。一応領主だし。

SG:旗色悪いな。これは引き際かな。現場に着いて情勢を見て取ったジャンは、尻尾切りに出ます。
  「たとえこれが神意だとしても、それはこの者に向けられたものだ。
   人の身の私に見抜けなかったからこそ、主がそれを報せたもうたのだろう」
  と【交渉】と〈指揮〉と封建貴族の地位と「十字軍の英雄」の評判で。
  ……そして彼女には《神話的:魅力》で一つ頷いてやろう。

ソーン:むむむ。

中入り

 結局その場は召使いの娘一人の問題となり、ムッシュ・ジャンの責任はうやむやになった。彼女は裁判にかけられたが、ジャンの関与はおろか何も認めないまま、火傷に拷問も重なって死んだという。見届けて互いにオルゴンを出立する日、ソーンはジャンにねちねちと嫌みを言い、ジャンもまた、含みのある嫌らしい微笑で応えた。

 呪詛を喰らっていたファレルは修道院に移って、酒造りを学びながら懺悔懺悔。「こういう労働もいいなぁ!」と思っているとかいないとか。
 「元々コイツ、若い頃は一兵士で、その後マギに弟子入りして、近くのコブナントにはヘコヘコして、最近ではセベリノに弟子入りまでしている奴ですから、今更教会でアゴで使われても苦とも思ってないんでしょうね。談話時間でもあるのなら、去年9カ月も旅していた話とか、ビール作成失敗話とかおもしろおかしく喋っている事でしょう」(PLのおやぶんさん談)

 ラサも教会に放り込まれた。ネズミ懺悔でなんとかかんとか。

ラサ:これじゃ猫でいられない。人間の姿になろう。
ソーン:お前誰だ? (笑)

ラサ:二足歩行ひさしぶりー。すっげー歩きにくい。
   「ネズミいっぱい殺しました。ごめんなさい」
ソーン:それ悪いと思ってたの?
ラサ:いんや。猫がネズミを捕るのは自然の摂理だよ。
アグリッパ:しかしネズミ花火は罪だろう(笑)

 というわけで戦いは後編へ続く!

[前編現在のムッシュ・ジャンのデータ]

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