サガ"フォッソル" 第十五話

色事師(後編)

プレイ:2005/07/18
レポート作成:2005/12/28

キャラクター

 ファレル (メルケーレ派マギ/天稟あり)

前編では欠点《地獄感受性》を狙われて、呪詛でさんざんな目に遭わされたオヤジ。
「やられっぱなしはよろしくありませんので、このお礼はいずれ返したいと思ってます。ていうか殺らせて下さい」

 ラサ (ビョルネール派マギ/白猫)

こちらも呪詛でハメられたクチ。押されたダメ猫の烙印をぬぐい去る日は来るのか?
「悔しいので人を鼠に変えてやれる魔法を開発してやろうと企みつつ、コケてバケツにダイブしている猫で御座います」

 ソーン (テュータルス派マギ)

怪しげな髪と髭がトレードマークの腹黒魔術師。高い魔法抵抗で守りも抜かりなし。
「もともとヒゲ生えているのと、一般人相手にも汚い交渉は大切だね」

 アグリッパ (ウェルディーティウス派マギ)

一度でも魔法抵抗を抜けば、〈パルマ・マギカ〉自動ボッチ化の呪詛をかけられるんですがねぇ。
「私は呪文が使えないしがない錬金術師ですよ。仮想敵にしなくてもなー。大人げないよー」

 リノア (ボニサグス派マギ/ボニサグス系)

落ちこぼれの汚名返上、インターミッションの14話では、自作の飛行薬で飛び回りました。
《穏和な天稟》・《不老》・《劣等生》・《乗り物酔い》・〈魅惑〉と、永遠のドジっ娘属性も健在。

 イリシウス (ボニサグス派マギ/トリアノマ系)

一年前の「段取り八分の仕事二分」に続き、遠路はるばるゲスト参加してくださった Czan さん。
今回のネタは特製の空手家です。


この回あたりから五版に移行しました。キャラクターのコンバートについてはこちらから。

前編をプレイしてから現実時間で7ヶ月後、久々にトループ全員が出席できる機会があり、ムッシュ・ジャン相手に総力戦でケリつけようということでこのセッションです。ベテランプレイヤー Czan さんの迎撃オフも兼ねており、五版のルールフォローを分担できて SG はとても助かりました。

※いつもと違ってこの回は、ろくにメモとってなかったので、あやふやな記憶で書いています。
※あるいはうろ覚えで捏造入っているやもm(_ _)m


 手配書

 痛み分けに終わった前編から(ゲーム内時間で)1年が何事もなく過ぎた。だがそれがかりそめの平和にすぎないことは、フォッソルの誰もが知っている。聖騎士の皮を被ったあの悪魔崇拝者ムッシュ・ジャンが、あのまま引き下がるとは思えない。煮え湯を飲まされたファレルたちは仕返しの準備に余念がなかったし、ジャンの側も同じであろうことは容易に想像がついた。

 そしてふたたび春が巡ってきたころ…。

乳兄弟ジョゼフ(SG):「キャペ様、見てください! 町中にこんなのが貼られてます」

領主キャペ:うわっ、なんてことを(笑) (← ラサと同じプレイヤー)
        ただでさえ五版になって、悪名が消しづらくなってるのにー!
        「すぐ剥がすんだ。それとアグリッパ博士たちにも知らせて」

住民:「お坊様、これは何て書いてあるんですか?」

司祭:「ふむふむ、錬金術師アグリッパ、エロ眼鏡の罪とあるぞよ」

街娘:「きゃー、覗き魔!?」

住民A:「そういや前に、ファレルさんは神父様の前で腰抜かしてアワアワやってたぜ」

住民B:「げえ、谷の博士様とかいって、実はマジで悪魔崇拝かよ!?」

住民C:「いや、でも、去年は教会で奉仕活動してたろ」

住民D:「悪魔だって聖書を引用できるぞ?」

イリシウス:落ちこぼれはともかく、師匠への背信、悪魔崇拝とな。
       おそらくただのプロパガンダだろうが、念のため訪ねてみるか。

ソーン:ムッシュ・ジャンめ、とうとう仕掛けて来たか。

リノア:おっちゃんどうしたの?

ファレル:俺は $5 か…。

ソーン:安いのがショックだったのか(笑) でもまぁ完全に馬鹿にされてるわなぁ。

ポスターは Wanted Poster Generator
人相は
Gundam Press Japan による作品です。

 そうこうしていると、鷹を連れた奇妙な男が訪ねてきた。イリシウスと名乗るこの男、眼光鋭く、丸腰ながら身ごなしにも隙がない。これはただ者ではないと思えば、魔術資源の調査を務める「流しのマギ」(笑)だという。

 彼もオルゴンで張り紙も見てきたそうだ。まさかねぇという調子ながら目は笑っていない。だが受けて立つソーンも《射抜く眼差し》で応酬。しばし見つめあう二人(笑)

グロッグの庭師ノワリス(SG):二人が熱い視線を交わしているところへ、後ろから「あの、お茶を…」

イリシウス:予期しない接近を感じたので《反射神経》で飛び上がって「咄嗟に」反撃します。
       INITに+9ついて軽くこちらが先ですね? 手刀を寸止めして、手袋の呪付を起動します。

ノワリス(SG):ばぶー (← 精神年齢が一時的に3歳まで下がった)

イリシウス:「私の後ろに立つとああなる」

 …という一幕もあったのだが(笑)
 悪魔崇拝者の結社と抗争中だということで、イリシウスも手を貸してくれることになった。

人攫い?

 オルゴンへ向けて出立する準備をしていたら、見張りのグロッグに預けてあった巻き貝の魔術物品を使って、レギオーの外からファレル研に呼び出し信号が。グロッグの用心棒ルイジの声だ。

ルイジ(SG):「ファレルの旦那ぁ、マルモール村の執事さんが見えてます。
        ちょっくらお出ましくだせい。…なんかトラブってるみたいですぜ」

ファレル:嫌な予感がするな…

執事(SG):この執事は元々愛想のいい男ではないんですが、今日はまた一段と
       眉間に皺を寄せ、厄介ごとオーラを漂わせています。
      「ファレル様にはご機嫌麗しゅう。あるじオーエンの遣いで参りました。
       大変よいお日和ですな」(と白々しく社交辞令)

ファレル:ああ、いい天気だ。それで?

執事(SG):「単刀直入に申し上げまして、その、リノア様のためにあるじは大変迷惑しております。
       召使いに命じて三日前、村の石工の子をお召し上げになったそうではございませんか」

ファレル:そ、そうなのか? リノア、おい?

リノア:わたしそんなことしてないー!

執事(SG):「父親の棟梁も、徒弟たちも、みんな見ておりました。つまり…」

以下、再現フィルムでお送りしましょう。


予告もなく武装して石工の工房を訪れ、子供を連れて行くと告げるグロッグ隊長クロード。

クロード:「リノア様がお忍びでお前の子供をご覧になって、まあかわいい、と仰ったのだ。
      わしはそのとき悪い予感がし、外れることを願ったのだが…。
      リノア様は移り気で、飽きたらアグリッパ様に渡されて、
ネジにされてしまうでな」

幼い男の子:(クロードに捕まって不安そうに泣き出す)

石工の妻:「いったいどういうこと? その子を返して!」

クロード:「こんなことはしたくないのだが、恨まんでくれよ」

石工:「おい、てめえ、待ちやがれ!」

力づくで止めようとする石工と徒弟たちを気の毒そうに一瞥すると、クロードは懐から、赤帽の紋章が入ったお守りを取り出した。辺りはまばゆい光に包まれ、彼らが目を開けたときには、息子とクロードの姿は消え失せていた。


執事(SG):「というわけなのですよ」

アグリッパ:つまりリノアは実はショタだったと(笑)

リノア:断じてちがーう!

 当のクロードにも問いただしたが、とんでもないと首を振った。三日前はコヴナントでグロッグ部隊の戦闘訓練を仕切っていたといい、他のグロッグの証言も一致している。やはり攫ったのは変装した偽物か。誰の差し金かは言わずもがな。

 執事の話では、石工の夫婦と徒弟、それに一部の村人まで加わって、「兵士を差し向けて子供を奪回せよ」と連日領主の館に押しかけているそうだ。マギたちはキャペ卿のオルゴンは後回しにして、まずはマルモールへ向かうことにした。

ソーン:しかしネジとかなんとか、奴もよく調べ上げたもんだな、おい。

ファレル:あ、だから呪詛が来るんじゃ(汗

SG:四版時代にコヴナントの〈情報源〉にたっぷりついてたマイナスをなんだと思ってるんですか。
   情報が漏れてるんですよ。だいたいファレルだって、
   コヴナントにReViの“アエギス”がなければ今ごろ… (← 五版になって結界を張り替えた)

アグリッパ:まて、だが手配書には無かったから、イリシウス氏はきっとまだ面が割れてないぞ。

 村ではイリシウスの優れた交渉手腕が奏功し、いきり立つ両親をなだめて、なんとか子供のお気に入りのおもちゃを借りる。それを誘導呪物にして、ちょうど覚えたばかりだった定式呪文InCo“容赦なき探索”を使い、地図上で子供の位置を割り出すと……コヴナントの“アエギス”の外縁に反応アリ。

ラサ:危なかったにゃ。もし村人が先に見つけていたら…。

ファレル:急いで保護しに行きます。

SG:反応のあった位置に、子供はたしかにしゃがみ込んでました。
   あからさまに怯えてますんで、じゃあ【魅力】+〈魅惑〉で振ってみてください。

ファレル:オヤジにそんなもの求められても(笑)
      できるだけ親しみやすい顔をして(コロコロ)……
あ゛

SG:ボッチですか(笑) 男の子は火がついたように泣き出します〜。

ファレル:いいよ、もう。俺、今日は哀・戦士だから(泣

追い討ち

 結局リノアたちがなだめすかして、どうにか子供を両親の許に戻すことができた。オルゴンの手配書も、領主のキャペが動いて素早く回収させていたから、風評もそれほどは落ちていない。だがジャンの執拗な包囲網は、これに留まらなかった。

 まず、疲れ果てて尾羽打ち枯らしたドン・セベリノが谷にたどり着き、剣術師範として召し抱えられていたカドネ城が、ジャン本人の指揮する十字軍に攻められて落城したことを伝えた。城主のタミタ卿は討ち死に。ベジエに続き、兵士や領民も皆殺しにされたという。セベリノは城主タミタ卿のたっての頼みで、嫡男ベラーツを守って、こうして谷へ落ち延びてきたのだ。

イリシウス:ふむ。五版のルールなら、そのドン・セベリノが護衛につけば、
       彼がやられないかぎり嫡男は安全ですからねえ。

アグリッパ:匿っていいんじゃね? どうせムッシュは敵なんだから。

ファレル:そうだね〜。ベラーツは《天稟》あるみたいだったし。

SG:ちなみに、ムッシュ・ジャンはこんなふうにやったのですよ。

「皆の者、わたしは昨夜、夢で御使いからお告げを受けた!

『求めよ、さすれば与えられるであろう。
 探せ、さすれば見いだすであろう。
 叩け、さすれば開かれるであろう』

 だから私も諸君に告げる。恐れるな、門を叩けと。
 叩けば門は開かれるであろう。主がお守りくださるぞ。続け!」

  とまあ、【魅力】+5と〈指揮〉9を駆使して兵たちを鼓舞した上で、
  悪魔崇拝の「授け」で得た PeTe の魔力で門を爆破すると。

ソーン:ふん、白々しい。だがまあ、こちらにはまだロダン神父という切り札があるからな。

 ところがどっこい、そのロダン神父も無事ではなかった。11話の結婚式で対立した司教から突如辞令が下り、教区司祭を解任されてしまったのだ。

『主の平和 アヴィニョン司教エリファズよりロダン兄弟に申し渡す。
谷の妖術師との交際を直ちに止めよ。彼らはサタンに連なる悪魔のしもべである。
さらなる混乱を防ぐため、マルモール村およびヴェゼイ村の教区を一時召し上げ、
暫定の後任にはビルダデ兄弟を任命する。ロダン兄弟はしばし謹慎して主の赦しを乞うように。
聖ペテロのごとく、そなたが心から悔い改め、主の御許に立ち帰ることを祈りつつ。』

 たとえ司教が黒幕たる教皇特使の腹心だと分かっていても、教会の聖職者として上位者の命令に背くわけにはいかない。司牧する教区がなければ、ドミニオンの相(temper)の変化もそう自由にはいかないというのに。

 その上、出入りのユダヤ商人エサウの言うことにゃ。

エサウ(SG):「いやあ旦那方、このところ随分と派手にやってらっしゃるようですなあ」

リノア:な、なにを?(汗

エサウ(SG):「えー? たとえば、子供を生贄にしただの、川に毒を流しただの、
        キリストのかわりに白い化け猫を神として崇め奉っているだの」

ラサ:にゃに?(笑)

エサウ(SG):「この前もオルゴンで張り紙が出回ったのをすぐさまひっぺがし、
        さらに御領主のキャペ卿に手を回して、第二弾が出せないように
        圧力かけさせたそうじゃないですか。
        マルモールでも、司祭様と御領主を動かして、人攫いをもみ消したとか?」

ファレル:そっか……あの人相書きは、最初から剥がさせるつもりだったんだな。
      だがよ、エサウ、

エサウ(SG):「わかってますって。デマなんでしょ? 私も正直エサウで通っておりますからな。
        どんなに金を積まれたって、道を外れた方とはお取引はいたしませんよ。
        人間、大切なのはお金じゃなくて心なんです。お金じゃなくて。」

ソーン:本当に分かってるのかよ、こいつ(苦笑)

決着

ファレル:ちくちくちくちく攻められるのは、もうイヤだ。
      ムッシュを捜し出して決着をつけようぜ。

アグリッパ:奴は必ず身近に祭壇を作ろうとするはずだ。何をするにも必要だからな。
       祭壇を作るに適するのは地獄オーラのある場所だが、それは…

SG:ルール的にいうと、大きな悪事が行われた場所ですな。
   親殺し子殺しとか、凄惨な殺し合いとか?

ソーン:凄惨な殺し合い……このまえ落ちたカドネ城だよ、それは。正統異端の別なく
     領民を皆殺しにしたというじゃないか。あそこを前線基地にするつもりなんだ。

 ガチンコやるつもりで出かけてみると、カドネ城の廃墟は不気味な静寂に包まれていた。生きている兵士も住民も見えない、死の廃墟。《地獄感受性》なファレルの様子をみるに、案の定、地獄オーラが生まれているようだ。天守閣の跡からは、生温かい風に乗って儀式の声がかすかに聞こえてくる。

アグリッパ:私はここに残ろう。いざとなればいつでも「土中歩行器」で入れるからな。

SG:(む、そうか、マズったな。せっかくの罠が……) あ、はい、分かりました。
   他はみんな、警戒しながら天守閣に行くんですね?

ラサ:うん。わたしはMuAnでサイズも増やして、大・化け猫モードね〜!

 ジャンはやはりそこにいた。一人祭壇に向かい、領民だったとおぼしき子供を生贄に捧げていたようだ。ジャンは驚いた様子もなく振り返ると、気障な態度でマギたちを迎えた。

ジャン(SG):「よく来ましたな、マギ殿。負け犬のムッシュ・セベリーヌもご一緒ですか。
        それになにやら知らぬ顔もある。これは憶えておかねば」

ファレル:今度はなにするつもりだったんだろう、こいつは。

ジャン(SG):「なに、呪詛のための生贄ですよ。達成値上げれば抵抗を抜けますからな(笑)
        でもあなた方が来てくれたからには、この子たちだけを死なせはしません。
        儀式はあなた方がやったことになるのですからね」

        そして、ファレルの同僚の赤帽士シモンの姿に魔力でくるりと変化すると…
       「さてと、私はこれからは審問士の密偵シモンというわけだ。
        君らが生贄の儀式をした現場に踏み込んだからには、取り押さえなくてはねえ」

 ジャンがそう言って指を弾くと、廃墟の中は一気に闇に包まれた。連携を絶たれてグロッグは思うように動けず、エースのドン・セベリノも帯状疱疹の呪いで潰されるとあって、暗がりから斬りつけてくるジャンに苦戦するかと思われたが…

イリシウス:「俺の後ろに立て!」 間際で気づいて反射的に手刀を叩きこみます。

ジャン(SG):しまった、忘れてた。彼を襲っちゃいかんのだったな。
       でもまあ実際ジャンは、イリシウスのこと知らなかったわけだし(苦笑)

リノア:そこね。ReAqで手持ちの油瓶から、居そうな辺りの頭上に射ち出します。
     これでジャンの回りは油まみれになるよね。

ジャン(SG):ん? 滑りやすくなるってこと?

ラサ:猫がCrIgで着火するにゃ。

ソーン:そして我が輩が、ReTe“握る大地の手”で奴の足首を固定する。
     油が燃え出せば自然の火だから、魔法抵抗もできまいて。CrAqでじゃんじゃん燃料を足せ!

ジャン(SG):おのれ、こうなったら最後ッ屁だ。「このまま生かして帰すと思うな!」

 外壁が天まで覆う黒曜石のドームに変成し、中に地獄の死煙が吹き出しはじめる。外にいたアグリッパが地中を経由して中に助けに入ろうとしたとき、街道の向こうから駆けつけてくる人影に気づいた。審問士のラウレアと、劫火を操るフランボー派のアルドルだ。

ラウレア:「これはいったいどういうことです? あなたがたがここで
       悪魔の儀式をするとの通報があったのですが」

アグリッパ:「それはガセ! いま中で本物の悪魔崇拝者と戦ってるんですよ!」
       ……MuTe使って外壁を変形させ、脱出口を開けます!

終幕

 アグリッパの開けた穴から全員が脱出し、死煙に腐食されて、ドームはほどなく崩落した。宿敵ムッシュ・ジャンの最期である。

 数々の陰謀を乗り越えて、この戦いはついにフォッソル側の勝ちで幕を下ろした。世俗の目撃者はいなかったはずだから、十字軍の英雄を殺した下手人として追及されることもあるまい。身体的にも社会的にもとうてい無事とはいえないが、最前の脅威を排除したことで、ようやく安穏とした日々が戻ってくることだろう。

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