サガ"フォッソル" 第十二話

Trouble at Vita AEterna

キャラクター

 セベリノ (コンパニオン:遍歴騎士)
  弩級巡洋戦艦。主砲で敵を叩け! しかし潜水艦や航空機には…。

 アグリッパ (ウェルディーティウス派マギ)
  戦艦の弱点をおぎなう駆逐艦。弾幕や爆雷で備えあれば憂いなし。

 ラサ (ビョルネール派マギ)
  万能の軽巡。数機の直衛戦闘機を搭載する上、高速を利して接舷という荒技も。

 リノア (ボニサグス派マギ)
  サポート役の軽空母。哨戒機による戦艦の補佐が勝敗を分けた。

※今回SGはどうした心境の変化か、完全に開き直ってイカレたギャグに走ってます。真面目なアルス・マギカが好きな人、怒んないでね(^^;)

愉快な毎日

 アグリッパ工房の玄関前には、毎朝欠かさずネズミの死体が届けられる。
 ラサの仕業だ。第十話で"金の卵を産む鶏"に興味をもったラサが工房に忍びこみ、"自律するロープ"にあやうく縛り上げられそうになって以来、二人の間には常にビミョーな緊張が存在するのである。先日も、太らせて猫口を通れなくする秘薬をアグリッパが調合中との噂が流れた。
 もちろんラサもやられっぱなしではない。寝込みを襲ってひっかいてやろうと何度となく試みたのだが、しかし…。工房にはアレがいるのだ。ほら、今も飼い主に尻尾を振っている。オルゴンのキーさんもそうだが、自分より大きな身体でじゃれつかれるのはぞっとしない。あ゛ーもう、こっちの弱みにつけこむとはっ!
 勤勉な彼女は、工房の中には入らず、日々の地道な嫌がらせで対抗することにした。もともとネズミとみれば捕らずにいられない性質だから、趣味と実益を兼ねられて一石二鳥なのだ。

 ラサはモグラ獲りも大の得意である。モグラの身体は触媒の宝庫。メーヤが心臓を日干しにして杖に埋めこみ、感知魔法の助けにしているのをはじめ、他のマギたちもときどき欲しがる(いや、中年の某氏がゆで肉を欲しがったなんてことは断じてないのだが)。頼まれればラサは喜んで狩りにいった。既にヒットマークは10近く。堂々のエースである。

 ……フォッソルは至って平和であった。

 ただ、そうした日常を押し流して、1224年の暮れはてんてこまいだった。ソーンがかねてより提案していた、鍾乳洞内レギオーへの移住計画をいよいよ実行に移したからだ。主人のブルータスに話をつけ、得意なメーヤとアグリッパがそれぞれ定式呪文と下級魔導器をつくってレギオー透視/侵入の手段を確保、新居の設計も引いてある。あとは今までの研究室や住居を引き払って、設備をレギオー内部へ移すだけだ。

 このお引っ越しは、手間こそかかりますが、実利も大きなものがあります。魔法オーラが7点になるのをはじめ、手薄もいいところだったコヴナントの防衛も、二重世界に籠城することができるわけですから、相手が魔術師でもないかぎり心配なくなります。
 ただ、レギオーですからボッチダイスの数は倍です。0振ったら14個ってことで、
いつぞやのゲルマニクスの二の舞が待っています。その点は覚悟が必要。

孫請け

 このルーニー劇のそもそもの発端は、年明けにファレルの師匠から届いた一通の書状だった。

Aqua Vita

 宗主座ハルコー直通の小さな“ヘルメスの門”が酒瓶とともに吐き出したこの手紙に、ファレルは肩をすくめた。赤帽仲間のふたまたアゴのシモンが姿をくらまし、彼も彼で忙しかったのだ。(しっかしブランデーかァ。いつだったか結核の特効薬と引き替えにエサウからもらった奴、うまかったよなァ。くーッ、やっぱもらうしかねぇだろ。ソーンあたりに行ってもらうか)。

SG:ファレルのプレイヤーのおやぶんさんは、しばらくは産休です。

 だがそのソーンも、真面目に取り合う気はなかった。だいたい自分だって、引っ越しやらカッコウの相手やらで忙しいのだ。わざわざ隣の管区まで行ってられない。軍師として戦術を練るという(テュータルス派的に)美味しいところだけやって、あとはラサにでも行かせよう。お目付役にはアグリッパと。あの二人は幼稚な意地の張り合いをやってるからな。ひひひ。

 さて、まずは同封の報告書を手がかりに状況の分析だが…。

■護衛対象

 「知り合いの婆さん」の名前はビョルネール派のラエリア
 他の二人のマギとともに、ウィータ・エテルナという大アルプス管区のコヴナントに住んでいる。秘密結社アスクレピアドに属する錬金術師の集まりで、管区ではなぜか爪はじきにされているとのこと。

※アスクレピアド:「アスクレピウスの子ら」の意。アスクレピウスは死者をも甦らせたという伝説の医聖で、彼の後を追って歩まんとする結社はすでにギリシャのアテネに存在した。教団内のこの結社はその末裔で、錬金術的なアプローチを取り入れている。医学者らしく全員が有名な"ヒポクラテスの誓い"を立てている…ハズ。

■敵対者

地下のノームと手を結んだ正体不明のマギ。

  • 籍はトレメーレ派
  • 精霊を操り、自らの霊的昇華を目指す〈召鬼/Theurgy〉の系譜
  • 通常の剣技、および剣を媒体とした魔術で戦う

※〈召鬼〉:アグリッパらの錬金術と同じサプリメント"Mysteries"に出ており、錬金術とはまた別なふうに通常のルールを逸脱した特殊魔術。普通のマギは中身を知らない(1季節消費して調査すれば、多少は分かるかもしれないが)。

■現況

 ReVi “炉辺の守り”をかけてあるおかげで、いまのところ賊の侵入は防げているらしい。ただし、一歩でも外に出ると襲われるので、補給ができない。“炉辺の守り”の効果時間が切れるのは、今度の夏至前夜。

ソーン:つまり猶予はあと2季節か。でも早めに向かえば結界を戦術に組みこめるよね。

アグリッパ:いや、せっかくだから、呪文や魔導器を準備していった方がいいと思う。
      今回最大のアドバンテージは、我々が救援に来ることを相手が知らないことだ。
      その上で、メーヤの探知魔法が重要になってくるんだが…。外道丸氏も欠席?

SG:うい。レギオー出入りの呪文を覚えているメーヤは、引っ越しに忙殺されてるんでしょう。

 所蔵の呪文書やウィースの在庫をにらみつつ、知恵を集める一同。

仕込み

 剣の腕の立つ相手か。ソーンは迷っていた。ファレルのオヤジはあれで人並み以上に長剣を遣うが、そもそも今回の旅に行く暇がない。かといって、用心棒を束ねるクロードを出すわけにはいかないから、またルイジあたりを選抜してつけるしかないのか…?
 そのとき、ソーンの脳裏に素晴らしいアイディアが閃いた。あいつだ、あいつ。獅子狩りしたとかいって有頂天になってたあのアホ。ドン・セベリノとかいったっけ。剣の腕はピカイチだったからな。ちょいと吹きこんでやれば、後腐れなく騙くらかせそうだし。

 せめてそのくらいは働けとファレルを使いに出すと、ソーンはアグリッパ工房を訪ねた。

ソーン:…というわけで、あの猪武者をうまいこと乗せようと思うんだが。

アグリッパ:それは結構なことだ。あいつなら万が一のことがあってもかまわんしな。

ソーン:(オイオイ)
    でだ、魔法抵抗を与える護符がいる。なんせ一般人は、マギと違って
    魔法を食らったとき抵抗の余地なしだから。一撃でやられかねない。

アグリッパ:それは私も考えたが………しかしいいのかね? 私の護符の守護は堅い。
       もしも奴がまた敵に回ったら、君らの魔法も通じないから、それこそコトだぞ。

ソーン:わかったわかった。終わったらさりげなく回収しといてくれ。

ラサ:猫娘は巨大化の呪文を覚えときますね。コヴナントの図書館にあったから。

アグリッパ:うーむ、ならば、うちの犬も大きくしないといけないかな?

SG:アハハ、怪獣映画だ。『ラサ対メカドッグ フォッソル大炎上』(笑)

 珍しく書物をひもといてお勉強のラサですが、まだ見ぬ敵マギの対策という名分の下には、宿敵(?)アグリッパを蹂躙する野望もひそんでいた模様。
 リノアは相変わらず研究室で呪付に夢中になっています。しかし、春・夏で作ったのは、【反応】を増強する"疾風の角笛"(下級魔導器)と、治癒の"ほうれんそう"(秘薬)。誰にも当てにされていなかった彼女が、真面目にコヴナントのことを考えていました。呪付の実践で経験点がコツコツ入るため、〈魔術理論〉の値も上がって実はアグリッパ並み。落ちこぼれの汚名を返上する日がついに来たのでしょうか???

ラサ:あ〜顔あらいたい。

蛇の舌

 二週間後、一行はコヴナント"ウィータ・エテルナ"のあるという山中に分け入った。もちろん《最悪(交渉)》なセベリノはまんまと騙され、先頭をきって歩いている。さきほど、破壊された魔法円の跡を通過した。ReTe…ノーム除けか。つまりはすでにして敵地。

アグリッパ:悪党が出てきたらよろしくお願いしますよ、先生。

セベリノ:まかせておけ。獅子を放ち民草を脅かした妖術師も、
      こたびの山賊も、騎士として見過ごすわけにはいかん。
      天に代わりて不義を討つ、ヤーッ〜!

アグリッパ:ときに、お渡しした御守りは身につけておられますよね?
       あの山賊の一党もまた怪しげな術を使うそうです。
       しかし大天使ミカエル様ゆかりの聖遺物があれば…

セベリノ:うむ。またとないものをお借りしてしまって済まん。
      このエニシダにかけて、必ずや賊を成敗すると誓おう。

 ほどなく、コヴナントとおぼしき建物が見えてきた。継ぎ目ひとつない石組みの外壁越しに、日差しを受けて水晶のようにきらめく美しい円棟が見える。そしてその上にさらに頭を出しているのは、葉を銀色に輝かせた大樹。

 思わず感嘆の溜め息をもらす一行の前に、一人の男がやってきた。

ナマズヒゲ

SG:「わたくしは当コヴナントのグロッグで、ドゥクスと申します。
   教団のマギ様方とお見受けしますが、このたびはいかなる御用向きで?」

セベリノ:マギ? そいつらが妖術使いか! その不逞の輩を退治…(ムギュ)

アグリッパ:(セベリノの口を押さえたリノアに頷いて)
       プロヴァンス管区フォッソル所属、ウェルディーティウスのアグリッパだ。
       襲撃を受けていると聞いて救援に参った。お前の主人に会わせろ。

SG:「救援? ああ、さようですか。それはそれは。
   わたくしどももほとほと困り果てておりましてねぇ。地獄に仏とはこのこと。
   ささ、あちらの門から中へ。わたくしはもう少々探し物がございますので、
   どうぞお構いなく。門をドドンッと開けて、ずずいっとどうぞ」
   男はそう告げると、脇の木立の中へ入っていった。

 額を集めて相談するマギたち。

リノア:ねぇ、なんか怪しくない? 手紙の文面じゃ、まともに外も出歩けないはずよね?

ラサ:あからさまに胡散臭いにゃ。

アグリッパ:よし、猫、尾けてってこい。

ラサ:がって〜ん!

リノア:……あら? セベリノさんは?

 望遠鏡のセベリノは何も聞いていなかった。リノアの手が外れるや否や剣を抜きはなつと、相談するマギたちを無視して門を蹴破り、一人中庭へと躍りこむ。建物の窓から彼を出迎えたのは、こんな面々だった。

こんな面々

セベリノ:うぬぬ、見るからに怪しい奴らめ。変態ども、覚悟せいッ!

SG:「きゃー、新手よ!」
  ドンが襲ってくるんで応戦しますね。三人とも慌ててそれぞれに呪文を詠唱します。

アグリッパ&リノア:詠唱を耳にして飛びこむ。

セベリノ:護符の魔法抵抗…ダメだ、二つ弾いたけど、マッチョのが通った。

SG:じゃあセベリノは息が急に苦しくなる。喉を誰かにぎゅうぎゅうと絞められているようだ。
  「ガッハッハ、うりゃ〜」 筋肉男が力こぶを盛り上げて両手で絞める動作をしている。

アグリッパ:待ってくれ。私たちは味方だ。
      この騎士はナマズヒゲのドゥクスって男に騙されたんだ。

SG:もう、自分のことは棚に上げるんだから(笑)
  「嘘をつきなさい! ドゥクスは先月死んだばかりよ」
  「ハッ! 馬脚を現すとはこのことだ。うぉりゃー」

セベリノ:ゲホッ!

リノア:ほ、ほら、見て! ウィーノレントゥスさんのお手紙もここに…

SG:ヒツジがひょこひょこ出てきてもぐもぐ。
  「お手紙お手紙、酒くさい、メェ?」 

果たし状

 「いやぁ、すまんすまん。てっきり奴らの仲間かと思ったんでな」

 ヒツジのラエリアには、手紙のことが通じていた(のかもしれない)。彼女が間に入って、どうにかその場は収まり、一行はラエリアの研究室に通された。どうやら三人してそこに籠城しているらしい。クロミッダの淹れたお茶をすすりながら、リポビタヌスは軽く頭を下げた。
 門前で会ったドゥクスを名乗る男は、やはり偽物だったようだ。尾けていったラサによれば、林間の空き地でしわくちゃの醜い小男に姿をかえ、あっという間に地面に潜っていってしまった。変装したノームの策略だったわけだ。

 「なにせいつどこから湧いてでるか分からないヤツだからな。壁に耳あり障子に目あり。」

 「で、何か心当たりはないのかね。襲われる理由とか」

 尋ねたアグリッパに、彼は一枚の紙を取り出してみせた。

果たし状

セベリノ:モグラ虐殺? 天誅? なんじゃこりゃ〜!

アグリッパ:い、いや、セベリノ殿、世の中には卑怯者もおるのです。
      ほれ、鐘の銘文に、名前を切り離した呪詛だと言いがかりをつけた奴ばらも…

セベリノ:いーや、分からん。まったくもって理解できん。
     こんな訳の分からんことを書いてくる奴は、
とんでもないアホだな。

リノア:ねぇ、モグラって…。やっぱ触媒だよね。うちもヤバくない?

ラサ:ははは…(冷や汗がつつつー)。

アグリッパ:すべて秘書ラサがやったことです(笑)

セベリノ:だいたいモグラを殺して何だってんだ?
     
頭がどうかしてんじゃないのか

SG:あ、セベリノの方をみたクロミッダが急に青ざめました。

アグリッパ:どうかしました?

SG:「う、う、うしろ…」
  口をぱくぱくさせながら指さした先を目で追うと、そこには、剣の柄に手をかけた男の姿が。
  (といって、"Medieval Tapestry"のp.130からコピーしてきた絵をマスタースクリーンに貼る)

リノア:おお、カッコイイじゃん。この人が果たし状のヌシ?

セベリノ:セベリノは全然気づいてない。
     ノーム王の代理人で果たし状ってか? 
イカレポンチだな。
     
脳みそ溶けてんだぞ、きっと

SG:青筋立てたその男は、背後からセベリノにどげしっと蹴りを一発。
   「よくぞそこまで拙者を侮辱してくれたな…」

その名はエスパーダ

 さて、いよいよ敵の登場です。プロフィールやデータはこちらのページをどうぞ。

 ミトラ軍団所属ではありますが、今回はホプリテスとして来ているわけではありません。単純に義憤から、臣下のモグラをたくさん獲られたノーム王の苦境に同情し、私的に荷担しているにすぎません。つまり彼はラエリアを討ち取れればそれで十分で、本来PCたちまで敵に回したくはないのです。法典の問題もありますし。
 しかしながら、このドン・セベリノの失言の連発(笑)、彼は全部聞いてしまったんですな。PCたちは最後まで気づきませんでしたが、実はパレドロスが部屋に常駐して、ことごとく盗み聞きしていたんです。誇り高い彼はさすがに頭に来てしまったわけで。

 もっとも、怒り狂っているとはいえ、対戦士・対魔術師ともに豊富な実戦経験を有する彼のこと、丸腰で出かけたりはしません。それなりのドーピングをして臨みます。

  • InIm10“真と偽のイメージを見極め”
  • ReVi10“きつい呪文の持続”:“真と偽の〜”の維持に充てる。
  • ReIm10“魔術師の脇避け”
  • PeVi10“魔法の匂いを隠し”
  • ReIg10 即興・火に対する吸収値に+5:Dは太陽。
  • MuTe5 “剃刀の刃”
  • MuTe5 即興・銀の鋼:接触,太陽、小。硬度を増す。

 この結果、

  • 視覚映像は1歩離れた場所に映る。
  • 室範囲のイメージの真偽を見破る。ただし[15+ストレスダイス]レベル以下。
  • 25レベル以下のInViでは感知不可。
  • 刀は鋼並みの硬度をもち、さらに鋭い刃先でダメージ値は2点増し。
  • 火に対しては吸収値+5

という状態に。

 姿を隠して相手の攻撃対象になるのを防ぐというだけでなく、積極的に無駄撃ちを誘う作戦です。そうして時間を稼いでいる間に、敵に魔力の導管を通し、魔法防御を破砕した上で、刀から呼び起こしたPerdo効果をメタ魔法で増幅して相手を斬ります! もちろん、相手に白兵戦の手段がなければ、直接斬り倒した方が早いですから、その辺は相手をみて臨機応変に。

第一会戦

 今回の戦闘では、自作した行動宣言票を全員に配って処理しました。各自バラバラに記入して裏返し、ラウンドの最初に「せーの」で一斉に表を見せるのです。

■第一ラウンド

SG:じゃあまず移動フェイズ。

アグリッパ:物陰に隠れる。みんな、カバーをとるんだ。魔法は見えなければかけられない!

セベリノ:剣を抜いて、守りの構えで名乗る。
     「某は剣闘士スパルタクスの末裔にして獅子退治の騎士セベリノ。
     貴様のような不埒者をのさばらせはせん!」

SG:宣言はしてなかったけど、一応言い返しましょうか。
  「某はトレメーレのエスパーダ。不埒者とは笑わせてくれる。
  不埒者はそこのヒツジだ。ラエリア! 今日こそ貴様の首をもらっていくぞ。
  
マギの人数の違いが戦力の決定的差でない事を教えてやる!
  で、射撃・白兵が無いから、次は魔術フェイズ。最初に魔術物品どうぞ。

アグリッパ:"エロメガネ"かけます。で、地面の下を見てみますが…?

SG:いっぱいいますな。モグラが。すぐ下から様子を窺っています。

リノア:えへへ、新作。"疾風の角笛"を吹いて、セベリノの【反応】を+3…

SG:じゃあドン・セベリノ、彼女の魔法効果に抵抗してもらいましょうか?

セベリノ:へ? …クソッ、護符は援護魔法にも効くのか。(ころころ)あぁぁ、抵抗しちゃったよ。

リノア:ぶー。

アグリッパ:ははは、まだまだ私の方が上のようだな(笑)

SG:即興呪文は無し。定式呪文ですね。
  ラサとエスパーダで詠唱速度の対抗判定。エスパーダは自信点を6点突っ込んで…

一同:えーっ!?

SG:とりましたんで、お先に。
  “遠近一如”(ReVi25)にメタ魔法の“大殺陣(たて)”(MuVi25)を重ねます。
  対象が「群」になるんで、逃げたアグリッパ以外の全員にかかりますね。
  さーてと(ころころ) …げ、いきなりダブルボッチ?

一同:(爆笑)

SG:うーん、じゃあせっかくですから、地下のモグラたちにかかっちゃったことにしましょう。
  もちろん彼は気づいていません。ラサどうぞ。

ラサ:“尋常ならざる大きさの獣”を自分に。(ころころ)成功、大猫になったよ。

SG:みなさん疲労判定してください。終わったら次のラウンドいきます。

■第二ラウンド

SG:おー、今度はみんなでフクロですか。まぁイニシアティブ順にどうぞ。

セベリノ:喧嘩上等! 食らえ!

SG:ところがドン・セベリノ、斬ったと思ったら剣がすり抜ける。
  あれっと見まわすと、なぜか別な場所に奴は立っています。
  さっきはたしかにそこにいたはずなのに。…気配だけで斬るんで、ダイスに−12してね。

セベリノ:ぜぃぜぃ、5点しか残らんかった。

SG:それでも当ててきますか。敵ながら天晴れ。
  まあ余裕余裕〜♪ 詠唱しながらですけど、こっちも剣で防御だけします。
  集中維持の判定は…自信点6点突っ込んで成功!
  防御値は自信点を入れるまでもないな。(ころころ)、ボ、ボッチしました…。

アグリッパ:ダイス変えた方がいいんじゃない?

SG:うん。これ、"メイジ:ジ・アセンション"のダイスセットなんですけど、
  なんか 0出るダイスと1出るダイスが交ざってるのね。

セベリノ:隙ありー! Dam足して11ダメージ。

SG:彼はイラストのとおり鎧無しなんで、【体力】の1点だけ減らして…
  肉体レベル2つ失いました。肩口を斬られて「軽傷」。

アグリッパ:怪我して呪文の集中は?

SG:うい。目標値15の集中判定ですな。しかしこのキャラなら…自信点突っ込んで成功!

アグリッパ:むぅ、ただもんじゃないな。

ラサ:足を狙って飛びかかる! (ころころ)…だめだ、数字がマイナスになっちゃう。

アグリッパ:ゆけ、"自律するロープ"、奴の足をからめとれ!

SG:それは…【器用】と〈呪文操作〉で対抗判定してもらいましょうか。さっきと同じく−12で。

アグリッパ:1でも出さなきゃ無理に決まってるじゃん。ほら。

SG:ラサも"自律するロープ"も、当たったと思ったとたんに彼の姿は消えて、別の場所に移ります。

アグリッパ:クソ、ブリンクか。小細工しおって…。

SG:エスパーダは剣の呪付を発動し、それに“大殺陣”(MuVi25)を重ねます。
  “魂の峰打ち”(PeMe25)! …でもこれ、モグラたちに行っちゃうんですよね。
  もったいない…。Animal でなくて Mentem だから効かないけどさ。

アグリッパ:そうか、奴の剣はタリスマンなんだ。ということは、そいつを落とせば…。

SG:おお、さすがウェルディーティウス派。鋭いですね。

リノア:“織り姫の紡ぎし網の罠”。遅ればせながら。

SG:その程度、〈パルマ・マギカ〉ではじく。

■第三ラウンド

セベリノ:嵩にかかって全力攻撃ー!

ラサ:猫も、もいっかい飛びかかる!

SG:おっと、こちらは《詠唱速度の熟達/Speed Mastery》という美点がありますからね、
  習熟した定式呪文を白兵フェイズに完成させられます。どっちが早いか勝負ですな。

セベリノ:(ころころ)悪い。イニシアティブ合計値18。

ラサ:はー、悪くてそれ。あたしゃ立つ瀬がないよ。

SG:ほほぅ、だがこちらも…隼たる《パレドロス》よ、風切る飛翔を我に!
   パレドロスの実力値を2点消費して、【反応】を+6します。
   さらに自信点を全部突っ込んで(ころころ)…おし、とった!

一同:なにーっ!

SG:“空蝉”(ReCo(Im)15)。行使判定は…成功。疲労は全部実力値の消費で代替します。
  わずかに遅れて届いたセベリノの太刀は、またも手応えがありませんでした。
  はっとして見回すに、奴の姿は部屋の反対側、ラエリアの背後に!

アグリッパ:MuTeの即興で剣を土に変えます。疲労しないで(ころころ)成功。突破力5。

SG:そのくらいパルマだけで弾けるんですが、今はそれ以前の問題が…。
  アグリッパのかけたエスパーダは、目で見えている姿の相手ですよね?
  じつはそれは映像だけで、彼の本体はそこにはいないんです。呪文はフィズル。

リノア:えーっ、じゃああたしも? ReCoで剣を落とさせようとしたのに。

アグリッパ:うーーむ、よし、霧だ! 誰かこの部屋に薄い霧を出せ!
       奴の居場所を割り出すんだ。

ラサ:え゛? 霧なんか張っても濡れちゃうだけだよー!
   (↑猫な彼女は 《弱いパルマ・マギカ(濡れていると無効)》 なのである)

アグリッパ:パルマを張っているとすれば、Creoで出した霧も弾いてしまうはず。
      つまり、奴の周りにはぽっかり霧のない空間ができるんだ。

SG:…ダースドラゴンさんとこの、読みましたね?

■第四ラウンド

SG:さーて、面倒なセベリノが追いついてくる前に、「成敗!」といきますか。
  背後から不意打ちでラエリアを全力攻撃。もちろん自信点も全部突っ込みます。
  …33ダメージってことは、一刀両断ですな。メェェェェェと断末魔の悲鳴が。

リノア:え、マジ死んじゃったの?

SG:マジです。まあともかく、即興魔法どうぞ。

リノア:Creo Auramの即興魔法、疲労して成功。部屋に薄ーい霧を張りました。

SG:お、すると、エスパーダの姿の一歩脇に、霧のない空間が。

アグリッパ:セベリノ殿、あそこです!

ラサ:直後に“アヒルの羽毛を織りしクローク”、成功。いやー、あぶなく濡れるとこだった。

一同:(苦笑)

■第五ラウンド

SG:やることやったし、実力値も減ってきたんで、そろそろ退散しますかね。
  ヒツジの首を小脇に抱えて、再び白兵フェイズに“空蝉”(ReCo(Im)15)をば。
  実は前のラウンドでパレドロスを先行させてるんで、その視界で行き先をとらえて
  地下経由でノーム宮殿にテレポート。

セベリノ:させるかーっ! アグリッパの言ったところに斬りかかる。

SG:ではイニシアティブで。こっちはまた例によって、パレドロスの助けと
  自信点をフル投入します。(ころころ)1差で勝ち。あぶないあぶない。

セベリノ:くそ、逃がしたか。

SG:セベリノの剣が薙いだとき、またもや敵の姿はかき消えました。
  「はっはっは、証拠に首はもらっていくぞ」

永遠の生命

ラサ:死んじゃったね…。ファレルになんて言おう…。

アグリッパ:守りきれなかった責任をとらされて左遷(笑)

セベリノ:そこらへんの物を蹴っ飛ばしながら、一人でわめいてる。
     「それにしても分からん。ヒツジをもっていってどうしようってんだ?
     あいつは
羊泥棒なのか?」

リノア:ああもう、そうなんでしょうよ(投げやり)

SG:「メェメェ」と同意する声が。

一同:え?

SG:リノアの脇に、例のヒツジが立ってますな。
  「おお、ドリー婆さん、お目覚めかい」ってリポビタヌスが言ってます。

ラサ:でも首が無いんじゃ…

SG:いや、五体満足ですよ。死体は死体でちゃんと別にあります。
  なぜってこいつは
クローンだから

リノア:ちょ、ちょっと待って。ということは、ラエリアさんの研究って…

SG:ええ、自らのクローンを作って、永遠の生命を得る研究です。
  ついでに言っちゃえば、コヴナントの名前の「ウィータ・エテルナ」ってのは
  「永遠の生命」って意味でして、他の二人もそれぞれの方法でそれを目指してます。

アグリッパ:ははは(乾いた笑い)、それぞれの方法…ね。だいたい想像はつくけど。
      ところで、オリジナルはどれなの?

SG:「あたしが本体だメェ」
   「ってみんなが言うから、私たちにも分からないのよ」とクロミッダ。

一同:ダメだこりゃ(苦笑)

SG:さて、だいたい状況はのみこめてきたでしょうか。
  殺されると次のクローンが、培養槽の中から勝手に出てくるわけです。
  そして、クローンの残機は1。つまり、あと2回死ぬとロストです。頑張ってください。

軍議

アグリッパ:まずは薄い霧だ。位置を割り出せないと話にならない。
      いつ襲ってくるかしれないから、疲労して D:月で出しておく…成功。

ラサ:でもさぁ、いつ来るか分からないってのは辛いよね。
   そだ、“ハーメルンの笛吹き”でモグラを近くの湖にレミングしよっか?
   絶対出てくるから、そこを返り討ち。

アグリッパ:やめておけ。これ以上恨みを買ってどうする(笑)
       だいたい土の中まで聞こえるのか?

SG:それはそうですね。聞こえないでしょう。
  そういえば、もう日が暮れたんですが、誰も食事の用意をしようとしませんね。

セベリノ:めしー

SG:スクワットしていたリポビタヌスが言うには、
  「いや、オレには特製ドリンク"
リポビタンE"があるから」
  クロミッダも、「この銀葉茶があればいいわ」とか何とか。
  じつは彼ら、錬金術の奥義《エリクサー/Elixir》持ちですんで、飲食不要なんです。
  だから補給がなくなってグロッグたちが死んでも、暮らしていられるわけで。

  でもまぁ、みなさんはそうはいきまへんな。
  食糧なしだったら、毎日、難易度9で【体力】判定してもらいましょうか。
  失敗すると疲労レベルを1つ失います(飲み食いするまで回復しません)。

セベリノ:…あのヒツジの死体をマトンにして食えば…

SG:ああ、そういえば忘れてました。ラエリアが死体のところに行くと、
  やれやれって顔して、PeCoの呪文を唱えました。
  すると、ボンって音とともに死体は消えてしまいましたよ。
  それからまた、ほとんど同じようなのをもう一回。

アグリッパ:そうか、誘導呪物になるから消したわけだ。

ラサ:へっへっへ、野生の血がうずく。狩りをしてきま〜す。
   “ハーメルンの笛吹き”で近くの山猫たちを呼んで一緒に。

SG:では【知覚】と〈狩猟〉で判定。…成功? じゃあ雉かなんか獲ってきました。

第二会戦

SG:懸念していた襲撃はなく、翌朝を迎えました。

 エスパーダは、ふたたび仇敵が復活したことをPeCoの時点で知りましたが、朝になって実力値が回復するまで、次の攻撃をかけることはできなかったのです。また、前回かなり苦戦したので、敵戦力を考慮した戦術の練り直しも必要でした。
 さいわい、PCたちには自らの姿を隠して防御するという発想がほとんどありません。ならば、部屋に入らずに(アクティブソナーのアウトレンジから)攻撃をかければ…?

SG:さて、ドン・セベリノ、いきなりですが、魔法抵抗してもらいましょうか。

セベリノ:(ころころ)失敗。何が起きたの?

SG:いえいえ、今のところはなんにも(にこにこ)
  えーと、(ころころ)もう一回やって。

セベリノ:また負けた。いったいなに?

SG:首からかけてた護符に、バリって言ってひびが入りました。

リノア:来たよ! 部屋の霧に空間は?

SG:ありませんね。あなたがたのを除けば。

アグリッパ:別な方法で来たに違いない。奴はどこだ?

SG:次はと。さっきので魔法抵抗が無くなったから、抵抗の余地無しで…
  見えない刃物で斬られたかのように、ドンの二の腕に傷ができました。
  どくどく出血します。実際の効果はこれ見て(とルールブックのPeCo"滴る傷口"の項を)

■第一ラウンド

アグリッパ:そうか、下だ! "エロメガネ"装着。地面の下を見る。

SG:あらら、もう見つかっちゃったか。すぐ下、トンネルの中にエスパーダがいますね。

アグリッパ:…(舌打ちして)相手も InTe で透視してたわけか。
      みんな、急いで机かベッドに上がれ! Herbamを挟めば見えなくなるはずだ。

SG:エスパーダは目を瞑ったまま、気合いとともに中空で刃を一閃させます。
  “脛打ち”(PeCo5)! 〔【体力】+サイズ〕で自然抵抗どうぞ。難易度12。

セベリノ:だめじゃー

SG:右足の骨を叩き折りました。難易度3で同じ判定をもう一度どうぞ。失敗するとショック死。

セベリノ:えええ!? 自信点使って成功。

SG:じゃあ肉体レベル1つ失うだけで済みます。よかったですね(笑)

リノア:お、おそろしい。ウィースなしで“外科医の癒しの接触”。
    肉体レベルは回復ね。日が沈むと元にもどっちゃうけど。

ラサ:“仇持つ獣の似姿”唱えました。化け猫モード。

■第二ラウンド

セベリノ:セベリノには全然状況が見えてない。足引きずってベッドに上がる。
     「くそ、なんなんだ一体!
      あの
ゲジゲジ眉と関わってからというもの、ろくなことがないわ」

SG:「ゲジゲジ眉で悪かったな」 地下でふたたび刃が蒼くひらめきます。
  “吐息斬り”(PeAu5)。肺の中の空気が突然消えました。

セベリノ:ゲホッゲホッ! 疲労レベル1つ喪失。あと3つで意識不明。

リノア:ドンに"疾風の角笛"吹きはじめるよ。

SG:魔法抵抗…って、そうか、護符はエスパーダがもう破ってましたね。塞翁が馬(笑)

セベリノ:よし、これでイニシアティブ値19、防御値20。

一同:人外魔境な…。

アグリッパ:私の魔術物品はラサの定式呪文が完成するまで遅らせます。
      ワンドをかまえたまま、空いた手で指さす。そこだ、いけ! 猫!

ラサ:がってん! “落ちる穴”。地面に穴を開けました。

アグリッパ:エスパーダのところまで届いた? よし、"アグリッパの土雷砲"発射!
      これは土を対象にしてるだけだから、魔法抵抗はできないはずだ。

SG:ぐげ。そうでしたね。足下の土を発破され、地上に叩き出されました。

■第三ラウンド

セベリノ:なんかよう分からんけど、噂の当人がいきなり土の中から飛び出てきた(笑)
     「とにかくお前のせいだ! ここで会ったが百年目!」 剣を抜く。

リノア:"角笛"を吹き続けます。

アグリッパ:ベッドの陰に隠れて遮蔽とります。そこから、"自律するロープ"を放つ。

SG:ちっ、アグリッパには逃げられたか。まぁいいや。まだリノアとラサがいる。
  体勢を立て直して“魔楯両断”(PeVi25)を詠唱。“大殺陣”(MuVi25)を重ねます。
  …二人とも抵抗失敗? じゃあ張っていた魔法抵抗を切り落とされました。

ラサ:どうせ最初から無いも同じよー。“取り囲む守りの風”!

■第四ラウンド

ラサ:旋風をまとって突っこみます。ジェットストリームアタック!
   次のラウンドの頭にサイズで判定ね。失敗したら吹き飛ばされるから(笑)

SG:そんなこともあろうかと。白兵フェイズに“空蝉”(ReCo(Im)15)を詠唱。
  パレドロスの助け借りて、自信点も全部突っ込みます。

セベリノ:待てー! …ああ、また2振っちゃった。

SG:はっはっは、1振っちゃった(笑) これは1出るダイスかな?
  セベリノが斬りつけるより一瞬早くテレポート。行き先はアグリッパの隣。

■第五ラウンド

アグリッパ:と、とにかく逃げなきゃ。

セベリノ:追いかけて駆けつけます。お前の相手は俺だー!

ラサ:あたしも。

SG:やっぱそうきますよね。アグリッパを斬ってる暇がない。時間を稼がねば…。
  白兵フェイズに“見切り”(ReTe(In)15)を唱えます。突っ込み方はさっきと同じ。

セベリノ:今度は負けん! (ころころ)よし、とった!

SG:ああ、自信点が…。2点差とは、リノアの"角笛"にやられましたね。
  剣で防御したので集中判定。自信点がない…失敗しました。

■第六ラウンド

ラサ:さーて、竜巻竜巻。

SG:はいはい、失敗。吹き飛ばされましたよ。
  “空蝉”で地下に逃げようとしていたんですが…
  集中判定は(ころころ)失敗。自信点さえあればなぁ。
  「ま、参った」

エピローグ

 とりあえず剣を取り上げた一同。

 「いいか、おっかさんは泣いてるぞ。羊泥棒なんかやめて、真人間に立ち戻れ」

 あいかわらず勘違いした説教をしているセベリノをほっといて、マギたちはエスパーダの処遇を話し合った。たしかに、ラエリアと彼は「魔術師戦争」の最中だったわけだから、殺してしまっても罪に問われることはないだろう。だが、法と情とは別。有形無形の怨みは尾を引くものだ。彼の係累(師匠なり兄弟弟子なり)に仇討ちされるのは勘弁してもらいたい。

 「ここはひとつ、痛み分けで収めたほうがいいんじゃないか」

  • 命は助けるし、剣も返してやる。
  • その代わり、ノーム王から手を引いて、この地を立ち去れ。
  • ウィータ・エテルナのマギも、今後はモグラを獲るな。

 アグリッパのこの仲裁に、顔が立ったためだろう、エスパーダは納得して去っていった。その背中を見送りながらこそこそと、「帰ったらうちの地下も調べような。確認できるまでモグラ獲りは控えとこう」と耳打ちしあっていたのは内緒である。
 「妖術使いの羊泥棒を退治した」ドン・セベリノも、御礼に羊マークのメダルをもらい、良いことをしたとご満悦の様子。おあとがよろしいようで。

[註釈とあとがき]

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