「物語」分類の欠点(小)
《友なる動物/Animal Companion》
内容:
忠実で頭の良い動物がおり、簡単な命令に従ってくれます。
第四版からの変化:
コスト+1の美点でしたが、今回は−1の物語欠点としての収録です。
コメント:
コストから見た位置づけとしては、《まことの愛(NPC)/True
Love(NPC)》がPCと同格以上の力をもつパターンでしょうか。忠実で頭が良いとはいえ、世俗の動物にそこまで期待できるものなのかどうか…?
ロシナンテ、テト、フェステリガンベ、チョビetc,
etc...実例はいろいろありますが、どちらかというと趣味で取る欠点だと思います。これを取って物語の主役になるぜというよりも、動物の脇役/マスコットとコンビを組むのをキャラの個性/活躍の一環とする感じ。
《ゆすりのネタ/Blackmail》
内容:
有力者の秘密を握っており、ゆすりをかけることができます。
第四版からの変化:
+2美点から−1物語欠点への転生。内容は変わりません。
コメント:
逆転した力関係の不安定さが物語の駆動力となります。お互いにどこに妥協点を見いだすかという駆け引きの緊張感を遊びたい方向け。ある程度秩序のはっきりした組織/社会(マギの評議会やトレメーレ派の階層制も含む)で運用すると効果的だと思います。
…わたし自身はこの手の繊細なネタが下手なので、あまり書けることがありません。申し訳ないm(_
_)m きっとサイバーパンク方面とか、あるいはヴァンパイア:ザ・マスカレードの方には、こういうののノウハウが蓄積されているんだろうなとは思うんですが。
《一族の絆/Close Family Ties》
内容:
固い絆で結ばれた一族です。助けられたり助けたり。
第四版からの変化:
+1美点から−1物語欠点へ。小の物語欠点はPCに有利な点をなにがしか持つのが原則なので、必然的にこうした美点からの転身で占められることになります。
コメント:
イェルビトン派で自分の出身一族と結ぶと、何も考えずに遊べそうですね。また、トレメーレ派の堅い結束もこれに当たります。それ以外でも、一門ぐるみで親しい付き合いをしているマギなんかは、そちらの人脈の物語ということで、取ってみるのも一興でしょう。
「♪とんとんとんからりと隣組」よろしく、手を借りるのも貸すのもどしどし行っていってこそ、小の物語欠点として十全に活きていると言えると思います。だいたい、ただでさえコストの稼ぎ時な物語欠点であえて小を選ぶという苦行をしているのですから、効用面も(差額の+2の美点相当には!)活用しなければ損というもの。遠慮なくどうぞ。
《友なる妖精/Faerie Friend》
内容:
仲の良い妖精がいます。力の弱い妖精ほど長い時間一緒にいてくれます。〈妖精界知識〉の取得資格つき。
第四版からの変化:
+2美点から−1物語欠点となっただけで、内容はまったく変化なし。順当。
コメント:
妖精は人間とは一味違った文法で動きますから、それで引き起こされる物語を遊ぼうというのがこの欠点です。08年3月現在、神聖本と地獄本は出版済みですが、妖精本がまだ予定にすら上がってこないのが残念。それに、ケルト方面の妖精についての資料本はたくさん出ているのに、それ以外の地方のは少ないですよね。サガの舞台によってはソース探しに苦労しそうです。
NPC系の美点欠点の中でも、これはおそらく同行率の高い部類に入るかと思います。この手のNPCはついついSG制御に任せてしまいがちですが、SGはただでさえ忙しいのでどうしても手が回らない状態になりがちで、十全に回った事例をあまり見ません。本文にもあるように、グロッグ同様に手空きのPLがノリノリで乗っ取ってプレイしてくれるといいんですが。
《相続人/Heir》
内容:
いずれ領土と財産を相続する立場。跡目争いに巻き込まれる可能性あり。
第四版からの変化:
+1美点からの転生。まあほどほど。
コメント:
基本的には世俗のコンパニオン向けで、陰謀を退けて相続を勝ちとる過程とか、のほほんとしていたら当主が急死して、家中を取りまとめるのに大奮闘とか、そういった物語を遊ぶことになります。相手方の背後にもマギの影がちらついていたりすると、より楽しめるでしょう。あるいは、やる気のない相続人コンパニオンを締めるために一計を案じてくれと、当主にマギが頼まれるのもあるかな。
それと、この欠点を魔術団に応用してみると、研究の相続なんかは味が出そうですね。弟子が集まってケルターメンというのもありましょうし、あるいは遺言状に見ず知らずの宛名が書いてあったら…?
《友なる魔獣/Magical Animal Companion》
内容:
忠実で頭の良い魔獣がおり、簡単な命令に従ってくれます。
第四版からの変化:
+2美点からの順当な転身。ただし、本人が欠点を取るかわりに魔獣に美点を与えられるというオプションが削除されました。
コメント:
魔法実力値が10前後というスペックは、役立たずではなくさりとてPCの存在を食うほどでもなく、というほどよいポジションで、将来の使い魔候補にもぴったりです。HoH:MCのビョルネール派の章などを覗いて、各種の「美徳の獣/beast
of virtue」から選ぶとよいでしょう。旧版のサプリでもよければ、"Medieval
Bestiary"(中世動物誌)にはその手のアイディアが満載です。
なお、ただの動物である《友なる動物/Animal
Companion》とこの《友なる魔獣/Magical
Animal Companion》が同じコストというのは、手放しで喜べるものではありません。人間の友のためを本当に思ってくれているのかは謎。例えばどこかから送りこまれたスパイであるとか、なにか陰謀が隠れているかも? もう少し性質のいい事例だと、昔の記事で引用したこれとか。
《支援者/Mentor》
内容:
有力者から支援や助言を得られます。逆に手助けを求められることも。
第四版からの変化:
これも+2美点からの転身。内容はほぼ同一で、支援者がNPCでなくてはならない旨の限定が入った程度です。
コメント:
物語欠点であるということは、支援者がらみで何かしら厄介事が起こるのは間違いありません。純粋に後ろ盾がほしいだけな場合には、小の一般美点《庇護/Protection》の方を選びましょう。また、実質的な支援が不要なら、大の物語欠点《恩義/Favors》です。
シナリオになりそうなところといえば、本文にあるように魔術団との関わりを咎められてとか、日頃の恩返しを求められてとか。他に、コヴナントで進めているプロジェクトと支援者の意向を両立させるという課題を遊ぶのもありそうですね。
《幻視/Visions》
内容:
さまざまな白昼夢が訪れることがあります。
第四版からの変化:
+2美点からの転身。性能は下がっていますが。
コメント:
超常と物語、二つの分類に属する珍しい欠点。複数の分野で選択できるのは、他には《動物を怒らせる/Offensive
to Animals》だけです。
この《幻視/Visions》の運用について、超常分類の項ですでに多くを語ってしまいましたので、詳しくはそちらをご覧ください。あえて付け加えるならば、こちら物語分類に属するものとするなら、それはPCには力源をもたないことになり、それはつまり外界から意図的に「見せられている」可能性が高いです。
もちろん天使や聖人のお告げもありましょうが、悪魔の惑わしかもしれないわけで(すべての悪魔は基本能力として幻視注入をもっています…)。あとレアケースですが、サプリ"Mysteries
RE"所収の夢魔法を操る術者が絡んでいる場合もあるかな。純粋にマンチ的には超常として取る方が有利なんですが、そうした幻視の源を一つの興味の焦点として遊ぶならこちらで取るのも一興。
[戻る]
|