「地位」分類の美点(無料)

《コヴナントの住人/Covenfolk》

内容:

 コヴナントで働いています。

第四版からの変化:

 特になし。

コメント:

 グロッグ御用達の美点ですね。こうしたコヴナントの人間に、《富裕》の取得を禁ずるのは、もちろん本文に書かれているような物語的な説明ももちろんあるでしょうが、その裏には、グロッグの質を(上下とも)一定の範囲に留めておきたいとするデザイナーの意図を感じます。5版ではいかなるキャラクターも、ごく一部の例外(《失敗から学ぶ》など)をのぞけば、季節行動以外の機会には経験値を得られず、そして成長に使える季節数を左右するのが《富裕》であり《貧乏》であるからです。

 なお、彼らは基本的にキリスト教世界から縁を切られた(あるいは切った)者たちであることに注意。魂を危うくする覚悟で、逡巡の末に清水の舞台から飛び降りて「魔法使い」の所へ来た人々、およびその子孫が《コヴナントの住人》になるわけですね。そういう意味で、コヴナントで生まれ育ったグロッグというのは、それだけで俗世とは違った世界観をもってしまっているわけで、その辺のネタもシナリオに使えるかもしれません。

《職人/Craftsman》

内容:

 職人として暮らしています。

第四版からの変化:

 新規参入組。

コメント:

 コスト無料の地位美点は、《マギ》以外の四つにルール的な差異は全くありません。旧版のように《自由民/Freeman》として一括した方がスマートだったのではないかしらん。

 当時の職人の基本については、ここここに要領よくまとまっています。とりあえず〈製作/Craft〉の技能を押さえておけばいいでしょう。工房を構える親方ならば〈指揮/Leadership〉を追加です。
 親方は現代でいうと社長くらいの地位や信用がありますから、《人脈》《情報通》をもたせてコンパニオンとして活躍させるとよいと思います。また、親方株を手に入れる前の遍歴職人も、彼らなりに旅慣れていて使いやすいでしょう。

 一方、コヴナントから見た場合、皮なめしから仕立て、大工に宝石細工など、必要な〈製作〉技能を調達する上でいろいろ欲しくなる人脈です。何らかの形で広くコンタクトをとる手段が欲しいところ。都市に住むコンパニオンに仲介してもらうのが一番お手軽かな。

 あと余談で、少し特殊な例になりますが、工房を偽装したコヴナントというのもあるじゃないかと思いますね。そうでなくとも、ウェルディーティウス派のメンタリティはわりと職人に近いです。たとえば、一人前のマギになるための試験「徒弟の試練/apprentice's gauntlet」はどの流派でも行われますが、ウェルディーティウス派の場合は魔術物品の作成という形をとります。ですから、ウェルディーティウス派のマギはそれぞれ、師匠に認められたマスターピースを一つ持っているはずなんですよね。後で振り返れば未熟な作品であっても、自分の修業の一里塚として、大切にしていることでしょう。

《マギ/Hermetic Magus》

内容:

 魔術団に属するマギです。コンパニオンとグロッグは取得不可。

#070627追記:エラッタが出まして、《大学講師》との同時取得が解禁されました。(tmiyaさん、情報thanks!)

第四版からの変化:

 新規参入組。というか以前は、マギは地位美点を持ちませんでした。

コメント:

 技能の全分野の取得資格をもち、4季節を自由に使えるなど、他のどの地位美点よりも優れています。マギの人はこれしか選択肢がなくとも文句を言わないこと。
 また、マギの人生については、四版のサプリメント"Wizard's Grimoire RE"の4章に、充実した記事がありました。機会がありましたら是非ご覧になってみてください。

 あとこれはほとんどネタですが、p.70の秋コヴナントのくだりなんか読んだりすると、コヴナント同士のライバル関係はゲームサークル抗争(笑)に案外通じそうです。「サークル→コヴナント」「会員→マギ」「施設→ウィース源」と読み替えてみませう。

《商人/Merchant》

内容:

 商人として暮らしています。

第四版からの変化:

 +1の《零細商人/Petty Merchant》と+3の《大商人/Wealthy Merchant》の二通りがありましたが、統合されて+0のこれになりました。おおむね金銭/装備面の機能でしたから、《富裕》《貧乏》にパーツ化したのは悪くない方向だと思います。

コメント:

 本文にもありますが、一口に商人といっても、露天商・店主・行商人など様々です。《富裕》《貧乏》の具合とも絡めて考えるところかと。

 コンパニオンとして作るならには、店を構えて街の顔役にするとか、地域の事情に通じた行商人にするとか。一応、妖術師とつきあうのは世間的には悪事の部類に入ると思われますので、コヴナントとの繋がりは裏取引として隠しているか、あるいは商人自身が被差別階級か(でも《よそ者》との同時取得はできないんですよねえ)。

 コヴナントの側からは、出入りの御用商人が一人いてくれるのは何かと便利だと思います。少なくとも呪付に使う材料の入手に困らなくなるハズ。

《農夫/Peasant》

内容:

 自由農民の一人です。

第四版からの変化:

 これも《商人》と同じく、+1の《富農/Prosperous Peasant》を《富裕》+《農夫》に分離することで整理しています。

コメント:

 《富裕》であれば庄屋になり、《貧乏》であれば小作人になります。本文には《貧乏》でも農奴ではないとありますが、じゃあ農奴はどの欠点だというんだろ?

 舞台となる12〜13世紀は、技術革新で農業が大きく伸びた時代です。そうでなくとも人口比としては一番多いはずですが、しかしコンパニオンとして運用できるサガは限られると思います。グロッグとしてなら出番は多いでしょうけど。

《放浪者/Wanderer》

内容:

 どこの共同体にも属さずに暮らしています。

第四版からの変化:

 変化なし。

コメント:

 士農工商に収まらないなら、これにしておくと無難でしょう。《農夫》とは逆で、人口比は少なくともキャラクターとしては扱いやすく、四版時代にコンパニオンのデフォルトと書かれていたのもむべなるかな。

 余談ですが、《富裕》を併せて取ると「何らかの人物や組織から支援を受けているが、支援者は行動に口を挟まない」って、相手が自分の才能に惚れこんでいるのをいいことに、菓子屋のラグノオにたかりまくっていたシラノ・ド・ベルジュラックはコレですな。

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