サガ"フォッソル" 第20話To be, or Not to be...キャペ (コヴナント近隣の領主) アグリッパ (ウェルディーティウス派マギ) ルッキオラ (雑集派マギ) ヴォルテック (ディジョンを縄張りとする義賊) ※今回も簡易レポートにてご容赦をば。頼み今回も新キャラあり。まずはルッキオラ。彼はキャペの長兄がパトロンなのだが、少々事情があって遊歴中に、一門であるキャペのところを訪れたことから、フォッソルに合流した。(ラサがまたフルールの行進で出迎えたのは言うまでもない^^;)。 フユギモソウ騒ぎのあった冬の明けた1232年の春、第13話などの舞台となったオルゴンでは、領主のキャペが妻のエリゼから、礼儀作法の特訓を受けていた。
エリゼ(キャペPL):ほら、そんなに目を合わせては失礼にあたりますよ! 象牙の塔の住人だったキャペも、第11話で結婚して身を固めてからは、政治の勉強をしたり、作法を教わったりして、一人前の領主になろうと頑張っているのだ。 そんなところへ訪れたのは、ブルゴーニュ公国の妃からの使者。ブルゴーニュ公国はキャペの生家のシャンパーニュ伯領と隣り合っており、親しくつきあっている間柄だ。キャペは少年時代に公爵の幼い一人息子アムルとよく遊んでやっていたのだが、彼の様子が近頃おかしく、昔の兄貴分になら心を開いてくれるのでは、というのが使いの内容だった。 キャペはあのアムルのためならと快諾すると、すぐに出発の手配をはじめた。召使いや護衛はもちろんだが、ちょうど折悪く変身止めの呪付物の有効期限が切れかかっていて、そのフォローのためにアグリッパ博士にも同行を頼み、また、相談役として大学講師のルッキオラにも来てもらうことにした。友なる獅子のイオン君はお留守番。奥さんと猫を守ってもらわないと! 北上 プロヴァンスから北上するキャペ様ご一行だが、商工業を扱ったサプリメント『街とギルド』(City & Guild) によると、ローヌ川を遡って、マルセイユ〜リヨンが22-27日、リヨン〜ディジョンが14-18日。よって一ヶ月余の旅路となる。 ブルゴーニュ公国内はおおむね平穏で、順調な旅路だった。途中で仕入れた情報は以下のとおり。
さらに、最近ディジョンでは、ヴォルテック一家という極悪非道な盗賊が跋扈しているらしい。ヴォルテック一家は少し前までは、金持ちや権力者しか襲わず、殺しもしない義賊として庶民の人気が高かったのだが、最近宗旨替えをしたらしく、強盗殺人火付けその他なんでもありの非道な行い。かつての憧れの的だけに、未だ信じられないでいる民もいるが、おおむねヴォルテックの名とトレードマークの三本爪は、いまや地に墜ちているといってよい。 そして、あと一日でディジョンに到着するという夜…。 本物SG:ヴォルテックお待たせ〜。ようやく登場です。キャペの寝室に盗みに入ってください。 手下を見張りに立てた上で、〈隠密〉で姿を隠し〈早業〉で鍵を開け、手際よく忍びこんだヴォルテックは、見事にキャペの寝室から宝飾品を盗んで脱出した。トレードマークの三本爪が壁にくっきりと残されている。人一人傷つけることの無い完全勝利であった。 しかし翌朝キャペは動き出す。普通の宝石や指輪はともかくとしても、大事な変身抑制のお守りが盗まれてしまったのだ。見た目は琥珀のブローチだから、値打ち物と思われてしまったに違いない。アグリッパ/ルッキオラの両先生に相談すると、ルッキオラは壁に刻まれたトレードマークを誘導呪物としてInCo"容赦なき探索"を唱え、犯人の居場所を割り出した。 一方そのころ… 子分(SG):親分、昨夜は大漁でしたね。見てくださいよ、このブローチ! ねぐらの洞穴では、ヴォルテックと6人の子分が盛大な酒盛りを始めていた。ルッキオラから位置を聞いたアグリッパが、地中から様子を窺っているとも知らずに…。 上が寝静まるのを待って、アグリッパは魔術物品「遠き潮騒の巻き貝」でルッキオラに連絡。キャペにも伝えて、一行からひそかに兵士を派遣させた。当地の官憲に知らせれば楽なのだが、そうすると、まんまと盗まれた不名誉が明るみに出てしまう。 兵士(SG):ヴォルテック、御用だ。尋常にお縄につけ! 〈酒豪〉判定をしてみたところ、起きてこられたのはヴォルテックの他は子分一人だけ。これは勝負ならずとヴォルテックは降参した。しかしただでやられる法はない。一番の値打ち物だった琥珀のブローチだけは、衣服の隠しに入れて…。 兵士(SG):(〈早業〉と〈認識〉の対抗判定に負けた)ルッキオラ様、身体検査もしましたが、ブローチは見つかりません! キャペの前に引き出されたヴォルテック。キャペから盗みを働いたことは認めたが、最近の非道な犯罪は偽物の仕業だと言い張って、頑として認めない。しかも、官吏に問い合わせてみれば、他ならぬ昨夜ディジョンで、ヴォルテック一家による強盗殺人があったとの由。ではここにいるのは? さらにInMe魔法で取り調べた後、"偽物の"ヴォルテックを退治するという条件で、キャペは今回の盗みを許し、随員に変装させて一行に加えることにした。 気配翌日とうとうブルゴーニュ公国の都ディジョンに到着。城門には交易商人や巡礼の旅人たちが大勢来ている。みんなごみごみした列を作って、猥雑とした賑わいがあった。キャペの紋章を見て取ってか、さっそく迎えの者が来た。見るからに老練の古強者で、武人らしい髭面をしている。 タットン(SG):ようこそお越しくださいました。キャペ様、憶えておられますかな。公爵様の下で軍務を司ります、タットンと申します。 ディジョンの門をくぐった瞬間、アグリッパとルッキオラは、パルマが何かの魔法効果を弾いた感触に驚いた。だが見たところ何も起こっていない。いったい何だ? タットン(SG):(アグリッパを不審げに見ながら)ところでキャペ様、そちらの方は…? ルッキオラ:魔術師って言い切っちゃってるのかよ。それも宮廷魔術師。 タットン(SG):ヴィラール・ド・オヌクール殿といいます。ご存じですか。 謁見謁見の間では、公爵夫妻が待っていた。赤い絨毯沿いにずらりと並んだ近衛兵。ローデン公爵は仰々しい豪華な衣服に、腰にはブルゴーニュ公爵の地位を示す重厚な装飾の宝剣を差していた。公爵の脇にはなにやら黒マントの人影が。タットンの紹介によると、彼が「大建築家にして宮廷魔術師」ヴィラールだという。 ローデン(SG):伯爵殿には先だっての儂らの結婚式にも列席していただいた。その後も息災か? ローデン(SG):ところでわが妃レノーラの息子、今はわが息子でもあるが、そのアムルだ。出家して修道院に入ると言い張って、宮殿内の礼拝堂にこもりきり。押しても引いても、儂らには本心を話してくれん。まったく困った奴だ。 キャペ:なにかお心当たりはおありでしょうか? キャペが謁見に行っている間、ヴォルテックは随員に適当な言い訳を残して(〈詐術〉成功)、宮殿の三階隅へ潜んでいった。アグリッパのウィース探知機にそこが反応したのである。 なにやら奇妙な紋章が描かれた扉には鍵がかかっていたが、ヴォルテックの〈早業〉にかかればお茶の子さいさい。簡単に鍵を開けると、中を覗いてみた。中は奇怪なもので、棚にはポットや鉢、るつぼといった器具、そして机や青銅の鏡台、そして傷一つない石塊などが置かれていた。 気味の悪くなったヴォルテックは、深入りせずに扉を閉めた。そして元通り鍵をかけようとしたのだが、ボッチしていてどうしてもかからない! 仕方なくそのままにして帰ってきた。 対面キャペはさっそく礼拝堂にアムルを訪ねた。 アムル(SG):キャペ兄さん、お久しぶりです!(握手) 今日はまたどうして…? キャペは言葉を尽くして説得したが、【魅力】や【交渉】の低さも祟り、アムルは何も話してはくれなかった。 アムル(SG):ただ決心しただけです。私にもお召しがあったんだと。出家して修道院に入り、父上や皆の御霊のために主に祈りたいのです 去り際にキャペは、アムルがトルコ石の嵌った無骨なペンダントをしていることに気づいた。お洒落な衣裳にいかにも不似合いだ。尋ねてみれば「これは父上の形見なのです」という。「アグリッパ博士に見せてみたいな」と口にすると、アムルはやや顔色を変えた。 アムル(SG):キャペ兄さん、それはいけない。あのヴィラールもそうだけど、魔法使いは悪魔の使いです。早く手を切った方がいい。 火花キャペの戻りを待って、宴席が開かれた。キャペはルッキオラにも随伴してもらったのだが、そこへ黒マントのヴィラールがやってきた。 ヴィラール(SG):これはこれはキャペ様、遠路お疲れさまでした。(と言いながら目をじっと見る) ヴィラール(SG):ときにそちらの方は…? ルッキオラ:なに、魔法抵抗? 大丈夫だけど。 ヴィラール(SG):(ムムムといった顔) ルッキオラ:ハッハッハ、ヴィラール先生のご高名には到底及びませんよ(余裕) ヴィラール(SG):すみません、急用を思い出しました。失礼。 そのころアグリッパは、街に入ったときの魔力について考えていた。こうした「対象:境界」の効果は、呪文で行うなら必ず儀式呪文となり、しかも一年ごとにかけ直しが必要だから、コストが相当なものになる。魔術物品なら効果を永続化できるが、今度は「対象:境界」を取ることができない。この両者を兼ね備えた方法とは…? そんなふうに考えをめぐらしていると、ルッキオラが興奮した様子で帰ってきた。 ルッキオラ:ヴィラールから攻撃を受けました! しかも弾いたから、彼は私に魔法抵抗があることを知ったはずです。 亡霊 宴席がお開きになると、キャペはアムルと一緒に泊まり込んで話をきくといって、ルッキオラを連れて再び礼拝堂に向かった。 ジャック(SG):お互い苦労してるよな。恨みってあるだろ。 ジャック(SG):お前さんも毒かよ〜! 俺もこいつ(ルッキオラ)に飲ませられたんだ。 ルッキオラがInMeで問いただすと、死んだラムデン公の幽霊と話しているという。午睡の折りに弟に毒を盛られた。毒を盛ったローデンと、毒を作ったヴィラールが憎い。あの女予言者の言うとおりになってしまった。そう話していた。 こうした話をそれとなく織り交ぜて話したりしたら、とうとうアムルも頼る気持ちになってくれたようだ。 アムル:叔父上と母上の結婚式の夜に、父上が夢枕に立たれたのです。そしてまさにそのような話を。目が覚めると、胸の上にこのペンダントが置かれていました。 一方そのころ、ヴォルテックは街に手下を放った上で、自分は使用人たちに交ざって噂話を聞きにいった。それらを総合すると、先代ラムデン公の召し抱えていた女占い師が、「私は未来を見た。あなたは弟君に殺されるでしょう」という予言をしたところから始まっていたらしい。ラムデン公は予言を信じずに彼女を追放、その後は占い師や魔術師のたぐいは一切関わらなかった。 アグリッパ:ローデンに取り入ってからおよそ3ヶ月でラムデンは死亡か。3ヶ月…1季節あれば充填品で毒が作れる…。 偽物アグリッパとヴォルテックは、MuCoで猫目をつけた上で、夜のノートルダム教会を調べに行った。薄ら寒い地下の納骨堂に入ると、アグリッパはInViの魔力探知をして、付近に魔術物品がないか調べたが、残念ながら反応なし。街を覆う呪付の核はここではないのか…? と、そのとき、ヴォルテックが物音に鋭く反応した。階上に残してきた見張りの部下からの警戒信号があったのだ。まもなく、上から手傷を負った子分たちがナイフを手に駆け下りてくる。それを追ってくるのは、同じような風体をしたならず者たち6人。 アグリッパはすばやく土雷砲で階段を発破し、降り掛けていた敵を中央で分断した。そこに怒りに燃えたヴォルテックが手下を率いて襲いかかる。 ヴォルテック:全部は殺すなよ! 浮き足だった上の敵たちは声をかけあって階上に上り、追撃してくるヴォルテックたちを待ち伏せてナイフを投げつけてきた。しかしそこへ、土中歩行器で後ろに回り込んでいたアグリッパが… アグリッパ:一人だけ外して土雷砲発射! 1だ、回った、また1だ、全部で42ダメージ! 最後の一人はちびりながら降参した。下っ端のため引き出せる情報は少なかったが、どうも連中がヴォルテックの偽者一味だったらしい。 やはりこの教会に何かあるとみた三人は、ヴォルテックの手下を見張りに立てると、今度は時計塔に昇っていってみた。狭い螺旋階段を延々と上ると、時計堂の真下に位置する小部屋に出る。人払いのReCo魔法円が描かれていたが、魔法抵抗で押し通ったマギ二人が魔法円を消して解除した。 さまざまなカラクリが部屋中で動き、上階に通ずるピストンもいくつか。そして部屋の中央、カラクリの集約するところに錘の永久機関が。 アグリッパ:(InViして)これが街の呪付の中枢か。 対決深夜0時。三人はヴォルテックの手下の半数を教会に残すと、宮殿のキャペとアムルを訪ねた。手下には、2時の鐘とともに永久機関を壊すように命じてある。あとはそれに合わせてローデンとヴィラールを一気に押さえるのだ。 おそらくヴィラールはすでに警戒を、悪くすれば逃亡すら始めていかねない。アムルは素早く手配をすると、自らはキャペたちとともにヴィラールの居室の前に陣取った。ドアの紋章は紛うことなき魔術団の研究室の印。アグリッパがエロメガネで透視すると、中には濃い霧が立ちこめていて何も見えない。そしてなにやら呪文の詠唱などが聞こえてくる。 何にせよ詠唱を終えさせては厄介だ。ヴォルテックと手下がドアを体当たりで破り、そこへアグリッパが魔術物品の角笛で突風を送り込み、霧を吹き払った。 次ラウンド、当然のように先制をとったヴィラールは、ReCoの呪文を詠唱。その場から姿を消す。虚を突かれてみな居場所を探るが、気づいたのはヴォルテック。下の庭から詠唱が聞こえてくる。はっとして窓に駆け寄るも、その目に映るのは、ヴィラールが鴉に変身し、悠々と飛び去っていく姿であった。 その後黒幕こそ逃がしてしまったものの、街の呪付が解けてしまえばアムルのクーデターは成功。ローデンは失意のうちに退位せざるをえなかった。 ヴィラールのことは、このような行いをした魔法使いがいたという形で広く噂を流し、自然と審問士の耳に入るのを待つ形をとることにした。外様の管区の人間が口を挟むのは反感を買うだろうという判断からだ。 マギたちはいくつかの魔術物品とウィースを押収した。石塊をReTeして取り出すと、中からは瓶に収まったワインの入った瓶と、「お売りするのは私の貧乏」というラベルのついた小瓶が。後に判明することだが、ワインの方はウィースで、それもミケラントスの研究している Tempus のウィースだった。もしヴィラールもまたその使い手だったとしたら、倍速で動いていたのも不思議はない。また、衣裳棚からは女物の衣類もいくつか見つかり、それには Tempus の魔力の香りが濃く残っていた。 アグリッパの楽しみにしていたヴィラールのノートは、表紙に朱色で「見たら目が潰れます」と落書きがしてあった。ブラフだろうと思いつつも腰が引けて、それならと、捕らえてあった偽ヴォルテック一味の一人に、無罪放免と引き替えに開けさせてみた。 ならず者(SG):目が〜。目が〜。 ルッキオラの〈医学〉の診察によると、重傷扱いで治療判定となるらしい。不治の病でないならと、治療を受けさせながら奉仕活動をさせることにした。ノートの方は研究室に持ち帰って、改めて調べてみることに。 後に分かることだが、ヴィラールの名はノルマンディ管区のマギ名簿には載っていなかった。これが意味するのは? そして彼(それとも彼女)が Tempus を心得ていたのは? 次回を待て。 [戻る] |