Et tu, Brute!

註釈とあとがき

プレイ:2000/09/15
レポート作成:2003/04/23

■ダンジョン

 今回のコンセプトの一つに、アルス・マギカでダンジョンものをやってみよう、というものがあります。ルールがルールだけに、まともなダンジョンアタックにはしませんでしたが。

 鍾乳洞の地図はこちら、レギオー内の屋敷の間取りはこちらをご覧ください。屋敷の方は、建築の本をたよりに、さわりだけ考証とってあります(だいぶ歪めてますが)。レギオーの内外で微妙に対応しているので、見比べてみると吉。

 文中で鍾乳洞の用語がいろいろ出てますが、詳しくはここらへんをご覧になるとよろしいかと。私自身は百科事典の記述をもとに構成し、プレイ時には国定公園の写真集からとってきた画を見せていました。

『ジュリアス・シーザー』

 お気づきの方もありましょう、シェイクスピアの悲劇『ジュリアス・シーザー』が種本です。
 ソーンの裏切りは、べつに既定の事実ではありません。「おまえもか!」と叫ぶのは、たとえばゲルマニクスだったかもしれないのです。この辺はシナリオをみていただければ。

 ところで、フィリッピの合戦で敗れたブルータスの遺体は、敵将オクタウィアヌスの手で丁重に荼毘に付され、(一時カエサルの愛人だった)母親の許へ届けられました。その後の行方や墓の場所は、現在に至るまで分かっていないそうです。それがプロヴァンスくんだりにあるというのは純然たるフィクションですが、まあ、それ以外の場所にあるという証拠もまたないわけでして。
 また、彼が地獄で責め苦にあっていることは、"中世世界のパラダイム"に含まれていそうです。百年近くあとになりますが、ダンテの『神曲』にそうした場面があったはずですし。逆にカエサルがあんなになってるのは、どーみても違いますね。まぁ劇作上の都合ということでヒトツ。

 "ブルータス"だけが英語読みになっている(ラテン語でそろえるなら"ブルートゥス"のはず)のは、少しでも知名度をもとめたためです。もっとも、うちのトループでは残念ながらこれでも空振りでした。
 なお、"ヘルメス"はローマでは"メルクリウス"。メルクリウス神殿がマギたちのヘルメス教団の前身であることは有名ですね。"ミネルウァ"はギリシャでいえば"アテナ"です。例のパルテノンの像をイメージしてください。(こっちのインスピレーションは、波多野鷹の短篇『私はその鍵を、十年間持っていた』からもらいました)。

■オープンダイス

 私は常にオープンダイスです。理由はいくつかあって、まず「ダイスを振るだけで盛り上がる」(弁の立たない私にとっては、楽に活気が出せてたいそう有り難い)。まあ、私はダイス目が悪いので、どうせPCを殺すような出目はないだろうと高をくくっている面もあるのですが。
 それに何より、「ダイスが物語をみちびいてくれる」という意味があります。腕がなくなったら義手の研究をすればいい。大切な人を眠り姫にしてしまったら、目覚めさせる方法を探せばいい。起きてしまったことは取り返しがつかないけれど、人はそれを受けて様々なことを考え、思い、動きます。それが新たな物語のはじまりなのです。

 というわけで、クライマックスでゲルマニクスが0を振ったのは本当。メーヤ役の外道丸氏がしきりにノロイをかけていたせいにちがいない。あの場合、いったんボッチダイに移行してしまえば、もうなかなか助かりません。なにせ魔法オーラのせいで7個、レギオーなのでさらに倍で、ボッチダイ14個という強烈さですから。

 でも実のところ、本当に大事なのは、ボッチの効果をどうするかなんですよね。それを物語づくりにどう生かせるか。ストーリーガイドの力量、さらにはトループ全体の力量が問われます。今回はストーリーテリング上、正しい判断ができたと思っていますが、私はそういう咄嗟の場面が苦手ですので、あそこで捌けたのは僥倖というよりありません。精進せねば。

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