「一般」分類の欠点(大)
《盲目/Blind》
内容:
視力がほとんど(あるいは全く)ありません。
第四版からの変化:
コストが−5から−3相当へ値下げ。また、以前はコンパニオン専用だった(そのためこんな工夫もあった)のが、今度はマギでも堂々と取れるようになりました。「誘導呪物の限界」に関する記述が微妙に改められたのと関係しているのかも。
コメント:
正義の女神が目隠しをしているのをはじめ、目の見えない人は世俗の光景と引き替えに、心眼でもって真理を見抜いている、という伝説があります。その筋のマギやコンパニオンを作るなら欠かせません。これをさらに進めて、あえて視覚を捨てたなんて設定もエキセントリックに格好いい(?)ですかね。
マギであれば、視覚の代用となる魔法を準備し、常用していくことになると思います。視覚以外の感覚の対象をとる呪文を多用しましょう。まずは存在を認識できていないと、次の呪文をかけることもできませんから。その際、ボッチ数を減らす習熟は必須でしょうし、《神秘の血脈》の特殊能力を充てることも検討しておきたいところ。また、文字を読めない(=読書で成長できない)のも致命的ですので、その辺のInImも是非手配すべし。
それに、どうせ見えないんですから、いつも灯りを点けずに暗闇の中に暮らしているとするのも、キャラ立てとして有力です。いざ急場となった時も戦場全体を闇で覆ってしまえばよし。周囲が困っている中で、すっと振る舞えたら、なかなか良いシーンでしょう。
コンパニオンだと、ちょっとペナルティがきつすぎて、実際のプレイが苦しそうな気がします。トループ全体で障害を甘めに見てあげないと(PCとしては)難しいでしょう。今昔物語の蝉丸と源博雅とか、ジッドのジェルトリュードとか、魅力的なネタはあるんですけどね。
《足が不自由/Crippled》
内容:
両足が無いか、使えない状態です。
第四版からの変化:
新規参入組。ありそうで無かった欠点かも。
コメント:
松葉杖などがあればゆっくりな平地の移動はOKでしょうから、ベテランの細工師や書記役のコンパニオン/グロッグなんかだと良いかもしれません。
マギであれば、3版の"HoH"には、黄昏がもたらした痛みのために、思念で命じたとおりに歩く椅子を魔術物品として開発し、それに座って生活しているクリーアモン派マギがいました。障害を単なる不自由ではなく、行為を深く自覚する呼び水とするのが信条だそうで、目隠しをして
Intellego を修業したり、身体を縛り付けた上で手の届かないところに食べ物を置くことで
Rego
を向上させたりするとか。こうした造型もありでしょう。
また、こうした障害の治癒は、マギであれば自らの研究課題に、コンパニオンやグロッグであればマギへの奉仕の代価に、それぞれなりえます。単なる四肢の喪失なら
CrCo30 (基本25, +1接触)の儀式と、さして難しくはないですが、事が呪いにかかわっていたり、あるいは本人の本性(essential
nature)になっていたりすると厄介ですね。その辺はサガにおける位置づけに鑑みてどうぞ。
《耳が不自由/Deaf》
内容:
耳が聞こえません。呪文の詠唱時にもボッチダイス追加。
第四版からの変化:
意外や意外、これも新規参入組。
コメント:
耳が聞こえないことによる直接の不便は、視界に入らない角度の状況が把握しづらいことや、会話による意思伝達を受け取ることができないこと。背中にも目をつける魔術物品(InIm8:基本1,
+1接触, +2太陽, +1L回数, +3L環境発動)やら、周囲の会話が文字になって見える呪文(InIm15:基本1,
+2太陽, +4視覚)やらを考えてみたいところです。もちろん、ただでさえボッチダイスが増えていますから、習熟をはじめボッチダイス減少手段の併用は必須でしょう。
コンパニオンとしては……物語のネタになりそうなのは、音を失った楽士とか? ただこれも、失ったという結果ではなくて、そこに至るまでの苦悩がミソなので(ひでぇ)、まともなTRPGで扱うのは難しいかも。
#ちなみに、視力の方を失った音楽家はバッハとヘンデル。
《矮人/Dwarf》
内容:
体格が子供と同じくらいしかありません。サイズおよび、【筋力】・【体力】(とその下限値)が低下します。
第四版からの変化:
コンパニオンでは−4、マギでは−5というコストでしたが、コストシステムの簡略化に伴って、−3相当に統一されました。同様にシステム全体の変更の余波として、4版ではサイズの減少は耐久度だけでなく疲労度にも関わっていましたが、5版では耐久度しか削られずに済みます。また、この欠点単独でみると、武器の使用制限が消えた一方で、【筋力】と【体力】の減少が加わりました。総じて、まずまずの取引かと。
コメント:
《巨人の血脈/Giant
Blood》の鏡像。取得したキャラクターは、サイズが下がったことで、非常に打たれ弱くなります(通常人のおよそ2/3のダメージで死亡)。もし設定が許すなら、《強靱/Tough》などの対策を検討したいところです。
もっとも、小さいことは必ずしも悪いことばかりではなく、狭いところに入れたり、重宝される状況もあるでしょう。コンパニオンなら旅芸人一座の曲芸師としたり、宮廷の道化としたりでしょうか。また、5版基本ルールブックに載っているウェルディーティウス派マギのテンプレートのように、《妖精の血/Faerie
Blood》との組み合わせで、伝統的なドワーフにするのも王道でしょうね。
なお、こうしたキャラクターは、俗世では好奇の目や偏見にさらされることも多いかと思います。まともに相手せずに飄々と受け流すような世慣れも欲しいですね。
《虚弱体質/Enfeeble》
内容:
激しい肉体行動を行えず、関連する技能も取得できません。さらに呪文行使時の疲労が倍付け。
第四版からの変化:
内容は同一ですが、コストがほぼ半減してしまいました。システムの構成変更に伴うもので、本来的には以前のコストの方が妥当なのでしょうけれども。
コメント:
大の一般欠点の中でも、《盲目/Blind》と並んでトップクラスのペナルティを誇ります。ほとんど外出もせずに、机に向かって専門分野に没頭するような学者や、引退した老人などになるでしょうか。他のキャラクターにサポートしてもらう手もあるにせよ、基本的には、表舞台に立つのはコヴナントや街など住んでいる場所で行われるシナリオだけで、それ以外は知恵袋として振る舞うことになりそうです。
マギであればペナルティはさらにキツく、呪文行使の部分だけを考えても《苦痛を伴う魔術/Painful
Magic》をおそらく上回っています。疲労する行使が3回あったらもう気絶で、常套手段の「1回使って2分休む」も使えないわけですから、行動を制限されることおびただしい。一応、"Mysteries
RE"所収の美点《行使負荷軽減/Withstand
casting》を取れば多少は緩和できますし、ウェルディーティウス派にして徹底的に呪付物でこなせるように準備すればかなり回避できますが。
旅行の制限については、いっそ自分は研究室から動かないことにして、グロッグに持たせた誘導呪物を通して情報を取ったり、場合によってはReCoのテレポートで現場に跳んだりするのも一案です。いろいろ工夫して乗り越えたいところ。
《低い自己評価/Low Self-Esteem》
内容:
自信度が0、自信値も持てません。
第四版からの変化:
コストが3倍に出世です。自信のルールが完全に書き換えられたので一概には言えませんが、以前は威力が弱いだけで一応は使用できました。今回はまったく使えなくなるわけですから、このくらいで相応なのかもしれません。
コメント:
小の一般美点《確固たる自信/Self-Confident》の裏返し。「ボクはいらない子だから…」とかいじけてそうです。そうでなくとも、本番度胸が弱くて、いざというとき踏ん張りがきかないのかも。生い立ちや性格欠点と有機的に結びつけて考えるところだと思います。コンプレックスを上手に演出して、他のキャラと絡みましょう。殴ってでもポジティヴな方向に向かわせてくれる仲間がいてくれるとグッド。
《魔法の雰囲気/Magical Air》
内容:
天禀持ちと同等の社交ペナルティを受けます。
第四版からの変化:
これまた3倍出世。天禀の社交ペナルティが大きくなりましたから、それに合わせてのことでしょう。
コメント:
基本的に超常の力をもたないコンパニオンやグロッグが取るわけですが、これ一発で平凡な人生の幸せを失くします。俗世には居づらいですから、《追放者/Outcast》となって隠遁するか、コヴナントに身を寄せるくらい。マギと行動を共にする理由付けにはきわめてお手軽です(むしろ手軽すぎる?) このような目に遭う原因としては、なにかの呪いや憑き物が第一感ですが、CrViにみられるように、何かのきっかけで魔法に"汚染"されたというような可能性もあるでしょうか。
なお、天禀の社交ペナルティをめぐる美点欠点については、《露骨な天禀/Blatant
Gift》の項でまとめていますので、そちらも参照なさってみてください。
《喋れない/Mute》
内容:
喋ることができません。唸ったり聞いたりは可能です。
第四版からの変化:
ヒアリングや読み書きおよび呪文関係についてルールの明確化が加わっただけで、内容自体にはまったく変化ありません。コストも同一。
コメント:
《盲目/Blind》《耳が不自由/Deaf》《喋れない/Mute》と揃うとヘレン・ケラーですね。こうした障害について一般に言えることは、《盲目/Blind》や《足が不自由/Crippled》の項でおおむね書いてしまいましたので、そちらをご覧になってみてください。
《手が無い/No
Hands》
内容:
両手がありません。呪文の身振りも不可。
第四版からの変化:
これまた新規参入組。こういう障害系のは何かと嫌われていたんでしょうか。
コメント:
腕を失ったのには、過去に大きな事故/災厄に遭ったり、刑罰を受けたりといった理由があるでしょうが、これだけの大きな障碍となれば、人生の進路変更を余儀なくされたり、悩みはさぞ深かったものと思います(特に後天的な場合)。単なる不自由に留まらずに、そうしたところまで思いを馳せると、キャラクターに厚みが出ます。
マギであれば Rego
を中心に上げてテレキネシスでフォローする発想が普通でしょうが、Creo
で自らの義肢を作ることもできそうです。キャラによってはその日の気分で、着ける義手を衣服のように選んだり(^^;)
《貧乏/Poor》
内容:
所属する身分の中では貧乏なほうです。生計を立てるために必要な季節数が多くなり、成長などに充てられる自由時間が減ります。マギなどコヴナントの住民は取得不可。
第四版からの変化:
装備から季節へとペナルティが変更になりました。その意味では《義務/Obligation》の後継と捉える方が正しいのかも。コスト評価は全般に重めに。
コメント:
《富裕/Wealthy》の逆位置。属する身分の中で比較的貧乏というだけで、実際の羽振りの良さは一緒にとる地位分類の美点/欠点によって変わるというのも同じ。ゲームシステム上は、主として成長を遅らせる機能をもっており、趣味も勉学も許されないワーキングプアの境遇を痛感させられます。
もっとも、二宮金次郎じゃないですが、そうした逆境の中で営々と努力を積み重ね、ついにひとかどの人物として世に出るというのはサクセスストーリーです。貧乏はキャラの個性付けとしても何かと身近で表現しやすいですし、なかなか使いやすい欠点といえるでしょう。
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