段取り八分の仕事二分
case-2
プレイ:2004/06/27
レポート作成:2004/07/29
キャラクター(作成済みキャラ集より選択)
アーダン (雑集派B)
四大に親しむ元素術師。教団のエリートどもを見返せるか。
PL:はせがわ女史
デル・ピエロ (フランボー派B)
またしても破壊系フランボー。こちらは芹沢博士でありマス。
PL:ヌキヲ氏
…というわけで、フォッソルの猫と機械伯爵のコンビでお送りします。まともな発想は(あらゆる意味で)期待しないように。
下積み
ターゲットとなるドラゴンのデータはこちら。
今回のメンツはこれまで数年のプレイ経験があるので、各々の手段や難易度が具体的な感覚として分かっている。それだけに、まず大まかな作戦ありきで、それを実現しやすいキャラを選んで「勝ち」にいったようだ。そう、キャラ選択の時点ですでに戦いは始まっていたのである(笑)
さて、術法や能力の値が上がるほど、研究の所要時間も短縮されるので、成長に季節を割り振るなら初期の段階の方が望ましい。また、case-1と比べて人数が少ないので、ゲームバランスの観点から期間が5年に伸びている。これらを考慮したこの二人は、最初の二年は完全な下積み生活に明け暮れることにした。蔵書の上限まで読書で伸ばして、それ以後はウィース研究に切り替える、という形で効率にも抜かりがない。
アーダンの目下の役目は一応、火炎ブレスの対策ということになっている。
もっとも、彼自身は初期段階ですでにIgnemの実効値が19あり、【体力】+1とも合わせると、炎なんぞ素でも20点止めてしまう。さらに定番の呪文ReIg25“熱と炎に対する防護”
(熱ダメージを15点減少)があるので、これをかけてあれば、アーダン本人はブレスを浴びてもほとんど無傷なのだ。
それにひきかえ、デル・ピエロは炎にまったく無防備である。+35ダメージのブレスを食らうと一吹きでウェルダンになってしまう。とはいえ、最初からマギのみで潜入しての暗殺狙いではあるが、さすがにアーダン一人では無理がある。デル・ピエロを連れて行くには、何らかの形で守ってやらないといけない。
そういうわけで、アーダンは一年目はひたすらRegoをのばし(5→13)、二年目はこれまたひたすらIgnemを上げた(10→13:《魔術との親和》で実効は22)。年単位なのがじつに漢らしい。
しかし、アーダンがRegoとIgnemを伸ばしているのは、火炎対策のためだけではない。追い追い明らかになるが、とにかく人数が少ないのだから、扱うのはなるべく少ない術法にしぼって、それを多方面に活用したいのだ。それはデル・ピエロも同様で、彼が伸ばすのはAuramとVimである。
ドラゴンの強さをもっとも基礎の部分で支えているのは40点の魔法実力値であり、これを潰すことが勝利につながるというのが、二人の結論であった。実力値が低下すれば、ブレスをはじめとする特殊能力の突破力が低下して、パルマ・マギカで楽に弾けるわけだし、また実力値に比例して魔法抵抗も弱くなるため、アーダンのCrAu35“稲妻の詠唱”が活きてくる。これを実現するのがPeViなのである。
また、Auramを伸ばしているのは飛行対策。二人の秘策を実行するためには、龍を地上に縛りつけておく必要があった。デル・ピエロもいいかげん漢で、4季節ずつ伸ばしてAuramが0→10、Vimが3→12。
こうやってバリバリとウィースを喰う(@ラサ語)と、特定の種類ばかり減っていくのだから、当然、在庫はアンバランスになってくる。これを補うために二人は、メルケーレ派宗主座のハルコーに接近することを考えた。赤帽士を使って頻繁に書状を送り、盆暮れの(?)付け届けもまめにして、友好関係を深めていく。
その甲斐あって、ウィースの交換交渉は順調に運び、必要な種類を必要な分量手に入れることができた。また、ハルコーのネットワークのおかげで、デル・ピエロは探していたPeVi呪文“悪魔の永遠の忘却”の写本を調達。実力値を攻撃して最終的に地獄へ追い返す、悪魔退治の定番呪文である。この呪文にはさまざまな強度のバリエーションがあるが、彼が探したのはレベル45という高度なもの。並の悪魔なら一撃で強制送還に追いこめるほどで、これの転用を狙っている。
秘策
さて三年目(1223年)。ここからは季節単位に戻ってレポート。
※繰り返すが、PLはあの二人である。彼らに常識的なネーミングセンスを求めてはいけない:-O
■春
アーダンは予定通り耐火薬「サンオイル」を作成。ReIg25“熱と炎に対する防護”
と同じ原理の秘薬で、耐熱吸収値35を付与するので、これでブレスは怖くない。無駄に高い研究値のせいで、3つも作れてしまった。
デル・ピエロが調製したのは、厳重に封をした小瓶の秘薬。
秘薬“オキシジェン・デストロイヤー”
Perdo-Auram
35 R:接触 D:陽径 T:建物
瓶の気密が破れた位置から直径20歩の範囲内の大気を消滅させる。
龍は【体力】が異常に高いし、削るべき疲労レベルも多すぎるので、窒息の効果は端から期待していない。そうではなく、翼があっても大気がなければ空は飛べないというわけで、これは飛行対策なのである。それほどまでにして龍を引きずり下ろす理由とは…冬を待て。
ちなみにこんなやりとりもあったり。
アーダン:ReTe(Mu)15“握る大地の手”っての覚えておいた方がいいかなぁ。
デル・ピエロ:なになに…地面から手が伸びて足首をつかまえる、か。
しかし脱出の判定が【筋力】で難易度15ってんじゃ、ドラゴンをやるのは無理じゃない?
アーダン:いやいや、これは自分用だよ。
デル・ピエロ&SG:へ?
アーダン:オキシジェン・デストロイヤーで真空なったら、気流で引きずり込まれるかもしれないでしょ(笑)
…伝承ヨーロッパに真空は無いでしょうが、ともかくすごい発想です。今回一番笑ったやりとりでした。
■夏
アーダンは次の呪文開発に研究値が微妙に足りなかったので、応急的にTerramのウィース研究。
デル・ピエロは着々と外堀を埋めている。
秘薬“飲む隠れ蓑”
Perdo-Imaginem
25 R:接触 D:太陽 T:個
服用者の映像・音声・匂い・手触りを消す。
4服完成。これで龍に見つからないはず。
■秋
入れ替わりに今度はデル・ピエロがTerramのウィース研究。これも次の呪文開発の期間短縮のため。
アーダンは瞬間物質移送器の呪文を開発した。
“与える人の見えない手”
Rego-Terram
20 R:接触 D:一瞬 T:小 焦点具:手袋(+1)
懐の物体を視界内の任意の地点にテレポートさせる。
ルールブックに出ているReTe15“盗人の見えない手”の逆バージョン。これが今回の作戦の一つの柱となる。要するに、秘薬を小ワープで目標地点に送りこむのである。こうして到達手段を別呪文に分離すれば、個々の効果の射程を高くとるよりも効率がいいという発想。わざわざテレポートまでやらなくともテレキネシスでよさそうだが、作戦上のかねあいで、難易度を上げてまでテレポートを選んだ。
■冬
アーダンはさらに呪文開発。
“土中行進”
Rego-Terram
20 R:伸腕 D:太陽 T:室 焦点具:つるはし(+3)
術者の周囲の土を押しのけ、5歩程度の空間を作り出す。持続中は術者が移動すると有効範囲も移動。金属や鉱脈は動かせないが、石までならOK。
これまでに作った「サンオイル」や「飲む隠れ蓑」はただの保険で、今回の防御面のキモはこっち。土の中にいればまず発見されないし(ドラえもんにもそんな道具があったような)、しかも地面が天然のバリアになるから、ブレスも咆吼も通らない。
“与える人の見えない手”がテレポートだった理由もこれで明らかだろう。土中からドラゴンまで届けるには、テレキネシスだと地面に遮られてしまうのである。ちなみに、「サンオイル」・“与える人の見えない手”・“土中行進”と、すべてRegoによって実装している。まことに効率がいい。
そして、デル・ピエロはトドメの秘策を披露。
“平安京エイリアンの法”
Perdo-Terram
25 R:伸腕/遠距離 D:一瞬 T:特殊 焦点具:鍬(+3)
直径20m×深さ25mの土を破壊し、地面に巨大な穴を開ける。
これでドラゴンの足下を崩し、穴の壁面を崩落させるReTeの即興呪文と連携して、ドラゴンを生き埋めにする作戦。「オキシジェン・デストロイヤー」で飛行を封じたのはこのためだ。これら呪文/秘薬はどれも龍には触らず、周辺環境に徹している点がポイント。直接作用してくるのでないかぎり、魔法抵抗は行えないのだ。次季節に完成予定。
穴埋め
四年目(1224年)。作戦の根幹はすでに成立しており、あとは細かいフォローやバックアッププランになる。
■春
デル・ピエロは冬から着手していた定式呪文の開発を完了。彼も「オキシジェン・デストロイヤー」・「飲む隠れ蓑」・“平安京エイリアンの法”と、すべてPerdoを介して実現していて無駄がない。キャラの長所をよく活かしている(というかこれを想定してキャラを選んだのだろう)。
地面の下にいると地上が見えず、見えないと呪文をかけられないので、アーダンはその視界を確保。
秘薬“大地透過目薬”
Intellego-Terram
25 R:接触 D:直径 T:室
この目薬を点した者は、土に視界を遮られなくなる。
これまたTerram。2人分仕上がった。
■夏
デル・ピエロは、ハルコーから仕入れておいたPeVi45“悪魔の永遠の忘却”を修得した。類似呪文として次季節の踏み台にする狙いで、これだけ高レベルになるとボーナスも9点と莫大である。(厳密にいうと、秘薬には類似呪文の適用は書かれていないが、定式呪文に準ずるというSG判断)。
アーダンはさらにフォロー作業。先に開発した“土中行進”は、土を押しのけて物理的な空間を作っているだけなので、その中ではいずれ息がつまる。大気の浄化が必要だ。
秘薬“オキシドールと石灰岩の薬”
Muto-Auram
10 R:接触 D:太陽 T:室
二種混合して放置すると、室内の大気を呼吸しやすい状態に変える。
何度も言うが、この二人のネーミングにツッコんではいけない。
■秋
デル・ピエロは先の呪文を参考にして、悪魔ではなく幻獣に作用する霧薬を調製した。
秘薬“龍コロリ”
Perdo-Vim 45 R:近距離
D:残存 T:個
〔クォリティダイス+40〕と幻獣の魔法実力値を比較して、差分だけ減少させる。
ウィースで研究値を上乗せして、ここでも4発作成。いいかげん秘薬がふえてきて誤飲しそうだったので、二人はラベルを貼ることにした。「オキシジェン・デストロイヤー」はドクロマークで、「龍コロリ」はドラゴンマークだとか。
アーダンは昨年開発したReTe“与える人の見えない手”の練習を開始。次季節に習熟の予定。
■冬
まずアーダンの習熟が完了。これにより呪文の行使判定が安定するだけでなく、複数投射のオプションがとれるようになる。もちろん今回の狙いは後者で、秘薬を一度にたくさん送りこむことができるわけだ(多弾頭砲)。これまで秘薬を複数作ってきたのは、このためである。
デル・ピエロは〈呪文操作〉を練習して2→3に伸ばす。平安京エイリアンの穴開け位置の精度を上げるのが目的。
さらに最後の五年目(1225年)へ。
■春
もうあらかた準備ができたので、予定を繰り上げて夏に決行することになった。一応話を通しておいた方がよかろうと、これを告知する書状を周囲のコヴナント宛に書いて、赤帽士に届けてもらう。骨を拾ってもらう必要が出るかもしれないし(^^;)
余ったこの季節に、デル・ピエロは龍を探す呪文を開発。
“魔物探知”
Intellego-Vim
10 R:自身 D:集中 T:境界 焦点具:はしばみの実(+1)
魔法実力値40以上の幻獣の気配を感じ取る。
ドラゴンは実力値が高い=気配が強いので、感度の悪いこんな荒削りの呪文でも間に合ってしまう。
アーダンは地中の灯りを確保。
“照明弾”
Creo-Ignem
15 R:近距離 D:太陽 T:室 焦点具:蝋燭(+4)
蝋燭程度の薄明かりで室内を照らす。
本物の火と違い、これなら大気を悪化させることもない。
退治
PeImした船でシチリアに上陸した二人は、グロッグたちを海岸に残すと、InVi“魔物探知”を随時発動しつつ、気配のある方向へ歩いていった。どうやら島の中央の山地に居座っているらしい。
翌朝、日の出とともにReIgの「サンオイル」を塗布。さらにReTe“土中行進”などで地中潜行し、接近を開始した。妖気アンテナを頼りに険しい山地(の地下)を登り、多少疲労したものの、龍までおよそ100mの地点に到着。InTeの目薬をさして地下から目視したが、龍はのんきに昼寝しており、気づいた様子はない。いよいよ仕掛けだ。
第1ラウンド、アーダンがReTe“与える人の見えない手”を唱えて、「龍コロリ」を4本まとめて送り込んだ。ドラゴンの直上に転移した瓶は、背中に落下して割れ、出てきた霧が巨体を包みこむ。シューシューと煙が上がり、魔法実力値はあっという間にゼロになった。もだえ苦しむドラゴン。
第2ラウンド。まず真打ち登場でデル・ピエロがReTe“平安京エイリアンの法”を詠唱した。先のラウンドの毒霧に続き突如足下が消失したドラゴンはパニックを起こし、咄嗟に飛び立とうとするが、そこへアーダンがまたもや秘薬を転送。今度は「オキシジェン・デストロイヤー」で、翼を振れども振れども体は浮かばず、穴の底へ真っ逆さまに墜落した。
第3ラウンド。デル・ピエロがダメ押しに、即興のPeAnを唱えて龍の翼をぼろぼろにしてしまう。実力値がないからじぇんじぇん抵抗できないのだ。仕上げにアーダンが同じく即興のReTeで、穴の両脇の土を崩した。もともと不自然な成り立ちの脆い穴のこと、すぐさま土砂崩れにひろがって、ドラゴンはすっかり生き埋めに。
しばらく中で暴れていたらしく、二人も残心をとって次の攻撃を待機したが、結局かき分けて出てこられる量の土砂ではなかったようだ。窒息は【体力】判定で、疲労レベルから順に減っていく。日暮れまでもったのは龍の生命力おそるべしだが、いずれは限界である。夏の長い日が沈むころには、辺りはすっかり静かになっていた。
…
龍退治はこれにて完了だが、二人にはまだ大事な仕事が残っている。魔法資源の宝庫である死骸を回収しなくては!
一晩おいて翌朝、InAnで生命反応がないのを確かめた上で、PeTeを使って掘り返してみた(死骸はAnimal対象だから、土だけ消えてそっくり残るのである)。さすがに重く、穴から引きずり上げるのは容易ではない。しばらくはここに逗留して、少しずつ切り出していくしかないだろう。腹が減ったらドラゴンステーキや龍タンがあるし、まずはめでたしめでたし。
#ちなみに現代でも、煮る容器の無いような巨大動物の骨格標本は、地中に埋めて作るんだそうです…。
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