Intellego-Imaginem
インテレゴー・イマーギネム
ワレ識ル、感覚ヲ
時間をかけてレパートリーに加えた呪文。いわば作り置きの即興呪文で、行使判定が有利。 超常の生物の魔力を示す尺度。
これがそのまま魔法抵抗の値にもなります。
20は中程度の値。
いわゆる「共感則」に基づき、かつて一部だったものは、離れても依然として一部である、というルール。
ここでは、髪の毛さえ持っていれば、本人が目の前にいなくても魔術をかけられます。
ウィースとは魔力の塊のこと。研究素材や呪文増幅に消費しますし、他のマギに頼み事をするときの通貨にもなるので、きわめて貴重な財産です。 Creo-Terram
クレオー・テルラム
ワレ創ル、大地ヲ
大失敗、ファンブル。単一の判定で0を2回続けて振ると発生します。 Perdo-Corpus
ペルドー・コルプス
ワレ滅ス、人体ヲ
Muto-Corpus
ムートー・コルプス
ワレ変ズ、人体ヲ
Creo-Ignem
クレオー・イグネム
ワレ創ル、炎ヲ
Muto-Animal
ムートー・アニマル
ワレ変ズ、動物ヲ
Rego-Herbam
レゴー・ヘルバム
ワレ操ル、植物ヲ
対象の侵入や攻撃を防ぐ結界はRegoで構成できます。
この場合、戦闘数値は前衛のアルバート卿のものを使い、そこにセシル卿の〈指揮〉技能に基づくボーナスが加わります。相手に与える傷は二人分のまま。 ストーリーガイド(storyguide)。
アルス・マギカでは、いわゆるゲームマスターのことをこう呼びます。
Perdo-Herbam
ペルドー・ヘルバム
ワレ滅ス、植物ヲ
棍棒は木製でした。
Creo-Corpus
クレオー・コルプス
ワレ創ル、人体ヲ
Creoは「事物をより良くすること」が本義で、創造の他に治療や成熟も含まれます。
Creo-Imaginem
クレオー・イマーギネム
ワレ創ル、感覚ヲ
前もって作り置きすることなく、即座に構成する呪文。
状況にすぐさま対応できて大変便利ですが、判定値は定式呪文よりキツめ。
Creo-Mentem
クレオー・メンテム
ワレ創ル、精神ヲ
ここでは精神の中に言葉を浮かび上がらせる呪文。
Rego-Corpus
レゴー・コルプス
ワレ操ル、人体ヲ
テレキネシスやテレポートもRegoの領分です。
Creo-Imaginem
クレオー・イマーギネム
ワレ創ル、感覚ヲ
Rego-Corpus
レゴー・コルプス
ワレ操ル、人体ヲ
Perdo-Vim
ペルドー・ウィム
ワレ滅ス、魔力ヲ
ここではいわゆるディスペル・マジック。
Intellego-Imaginem
インテレゴー・イマーギネム
ワレ識ル、感覚ヲ

Knights and Sages

レポート作成:2008/09/20

プレイ1:08/07/05(BAN-CONテストプレイ)
プレイ2:08/08/28(mixi「平日にいきなりTRPG参加者募集中」コミュ
プレイ3:08/09/14(BAN-CON'08

以上3回のプレイをまとめてレポートします。メインは3回目のBAN-CON'08で、他のプレイにも途中コーナーを作って言及する形をとります。一応メモを元に書いていますが、録音等はしていませんし、肝心のメモもプレイしながらでなく翌日まとめたものですので、うろ覚えの部分が多いです。せりふなどはほとんど捏造。どうぞご寛恕を(>特に参加PLのみなさま)

※ルール用語の解説がポップアップする部分があります。java script を有効にしてご覧ください。


プロローグ

 あるところにマチルダ姫という美しい姫がおりました。何人もの結婚の申し込みがある中で、両親は隣の領主パトリック卿の息子の一人セシル卿に嫁がせようとしたのですが、そのとき彼女はこう言ったのです。

「眠り花の実を取ってきた者になびきましょう」

...

キャラクター(別窓でこの表を開きます)

探求に旅立つ騎士たち見守る魔法使いたちプレイヤー
A理想の騎士
アルバート卿
妖艶なる魔女
アグリッピナ
goldkightさん
B知謀の騎士にして弟
ベネディクト卿
湖の貴婦人
ビアンカ
沢渡祥子さん
C武勇の騎士にして兄
セシル卿
鍛冶小人
カリグラ
Arashiさん
D往年の騎士
デレク卿
寄合主宰
ダリウス
Stさん
NPC
当主
パトリック卿
探求の与え主
マチルダ姫

…というわけで、今回はきわめて変則的に、セッション中に1PLが2PCを随時切り替える方式をとっています。本来のアルス・マギカでは、セッション単位でキャラクターを切り替えるのが通例ですが、コンベンション単発ということで、全員がマギをやりつつ、コンパニオンもできるように、という意図からの試みでした。

 実質キャラ8人でめちゃくちゃ重い進行になりますから、少しでも参加者の負担を減らすために、各PLごとにキャラクターの名前の頭文字を揃えた上、コンパニオンを騎士で統一して過度の複雑化を避け、相関図を配って担当PLを記入してもらったり、他の人のも含めてハンドアウトを全員分いつでも参照できるように手元においたり、といった対策をとりました。

 なお、1人のPLが手にするキャラクター2人の間には、必ずしも利害の一致はありません。同じ場面に登場するのをなるべく避けられるようにというのと、コンベンション当日の集まりによって人数を加減できるようにという点からの組み合わせになっています。

 あと最後になりましたが、今回のは史実はもちろん、法典の制約とか魔術団の設定といったアルス・マギカ独自の背景設定もほとんど無視しています。基本ルールブック220ページの Researching a Setting が、The Pure Fantasy Saga ってことで。なんちゃって騎士物語です。お読みになるときは、その辺も留意なさってください。

跡目

 しばらくオープニングが続きます。まずはパトリック卿の二人の子息、セシル卿とベネディクト卿から。

 晩餐の席上、父パトリック卿は二人を呼ぶと、こう言いました。

「儂も良い年となった。近頃は節々の痺れを散らすアグリッピナの薬が手放せぬ。であるから、お前たちのいずれかに近々家督を譲りたいと考えておる」

ベネディクト卿「父上、まだそのようなことを申されては困ります」

「しかし儂の見るところ、お前たち二人はまだまだ未熟だ。セシル、そなたは武に溺れて頭が働かん。ベネディクトはといえばその逆だ。兄弟固く手を携えておればまだしも、今のままのお前たちでは、とても当主の座はつとまるまい。臣下の者どももみなそのように考えておろう。」

セシル卿「ギクギク」

「そこで谷の賢者ダリウス殿に一策を案じてもらい、ここに試練を用意した。
 この度マチルダ姫から与えられた眠り花の探求は皆の者存じておろう。どこにあるとも知れぬ、誰も目にしたことのない、伝説の花だ。これを見いだし、それによって美しきマチルダ姫を勝ち得た者であれば、次の当主となるに誰も異を唱えることはあるまい。お前たち兄弟のうちこの探求を果たした者に家督を譲るとここに言いおく」

「これは騎士としての度量、そして同僚や配下を動かせる人望をも試験するものだ。探求の中で自らを鍛え上げ、見事果たして父の許に戻って参れ!」

セシル卿&ベネディクト卿「はっ! 必ずや父上のご期待に添います」
それぞれに旅立ちの支度を始める二人でありました。

…この一連の光景を眺めている女が一人。ビアンカがInIm(Aq)定式呪文"遠見の水盤"を唱えていました(SGからの要請)

妖精に詳しい彼女のこと、眠り花なる植物にも心当たりがありました。知っていた事柄は以下のとおり(【知性】+〈妖精界知識〉で判定して、達成値によって判明。今回は全部出ました)

  • 眠り花は妖精植物の一種。近づいた人間を甘い眠りの香りで眠らせ、養分とする。実力値は20程度。
  • エニシダ峠近くの秘密の谷間に自生している!
  • 谷間に出るための洞窟には、守護者の妖精騎士がいる。

ビアンカ「愛しいセシル様、申し訳ありませんが今回ばかりは、弟君のベネディクト様に協力させていただきますわ」
(彼女は自分の慕うセシル卿を、マチルダと結婚させたくないんである)

内幕

晩餐が終わって夜の更けたころ、パトリック卿の私室をひそやかに訪れる人影が。

「ダリウス殿、来てくれたか。
貴殿の献策のままに致してみた。これが良い結果を生んでくれることを祈っておるよ」

ダリウス「(勧められたワインなど飲みながら)必ずや。お二人もこれで大きくなられましょう」

「兄のセシルは人望が厚いのはいいが、人が良すぎて敵に填められかねん。弟のベネディクトはといえば、抜かりない策謀家なのは良いのだが、冷徹さが過ぎて人心を失っておる。足して2で割れればちょうどいいのだがな」(ため息)

「さて、乗りかかった船ということで、貴殿にはもう少し骨を折ってもらいたい。
 儂が望むのは、あの子たちが未来の当主としての素養を、探求の中でたくましく身につけてくれることだ。ただなにぶん当主の座がかかっておるゆえ、横槍を入れる者や命を狙う者も出よう。
 たとえば、お恥ずかしいが儂の后のアグリッピナ、あれもおそらくは実の息子のベネディクトに肩入れする気満々でな。目的にそぐわない策謀を排除し、実りのある競争となるよう、探求の終わりまで貴殿が見守ってはくれまいか」

ダリウス「承知つかまつりました。この探求、わたくしがしかと見届けましょう」

◇other case / 別のプレイでは◇

ある時のプレイでは、一方そのころ、アグリッピナが偽物の眠り花を息子にもたせる準備をはじめていました。「誰も見たことがない花」なのであれば、それっぽいのを持ち帰れば勝ちという論理。もっともそれを見越していたパトリック卿は、ダリウスに実の真贋の鑑定を依頼しており、後にそれを耳にしたアグリッピナは、別の方策に転換しました。

逢瀬

 時間は少しさかのぼる。マチルダ姫が眠り花のことを布告してから2週間ほどしたとき。
 当のマチルダ姫は、アルバート卿と密会をしていました。二人はかねてよりひそかに思いを通じ合っていたのです。

アルバート卿「おお、わが姫よ、お会いしとうございました」

「お慕い申し上げています。貴方も眠り花を探しに行かれるのですか?」

アルバート卿「無論のこと。騎士たる者の本分です」

「ああ、どうか許してください。貴方まで巻き込むつもりはなかったのです。でもあのままではセシル様と結婚させられてしまいそうで。なんとか難を逃れようとあのような無理難題を…」

アルバート卿「そんなふうに仰いますな。探求に旅立つは騎士の名誉というもの。眠り花をこの手で持ち帰り、見事貴女を勝ち得てみせましょう」(姫の手の甲に接吻する)

マチルダ姫は別れに髪を一房切ると、アルバート卿に手渡しました。
アルバート卿「これで勝ったも同然だ」(何が?)

 ちなみにアルバート卿PLのgoldkightさんは、某サークルのAD&Dキャンペーンではパラディンがはまり役でした。さすが往年のエルアルド・ハウントクラウン、騎士ロールプレイが堂に入ってます(^^)

策謀

 時間軸を戻して晩餐の数日後、私室でくつろぐアグリッピナに、庭先からひそやかな声が。
「アグリッピナ様、ただいま戻りました」
 方々に放っている忍びの者の一人です。

「ご報告いたします。マチルダ姫ですが、噂に違わぬ美しさではございました。ただ御気持ちが弱いと宮廷筋の噂で、言うなりの人形にするのもさして難しくはないと思われます」

アグリッピナ「ふむ。それならベネディクトに嫁がせてもかまわぬかの」

「それともう一件、マチルダ姫の館で、それがしアルバート卿をお見かけしました。それどころか、人払いした四阿にて、姫殿下と語り合っておりました。見張りがきつく、内容までは聞き取れませんでしたが…」

アグリッピナ「ほう。(セシル卿と無二の友である)アルバート卿は目障りよの。あの男を見張りなさい」

密偵を見送ると、アグリッピナは使い魔のオウムに、騎士たち四人の髪の毛を集めてくるよう命じました。誘導呪物としての利用を考えているようです。

◇other case / 別のプレイでは◇

「ママー、眠り花ってどこにあるのー?」
あるプレイでは、ベネディクト卿がマザコンで、早速母親に泣きつきにきていました。。。
そして、アルバート卿のスキャンダルにカマをかけて寝返らせようと動き出すアグリッピナ。
「お前は何も心配しなくていいのよ」

このときのベネディクト卿、母親に対するときとそれ以外に対するときの態度の違いがすさまじかった。まるで人が変わったよう。というのも、実は同時登場の関係で、本当にPLが入れ替わった「一役二人」だったりして…(笑)

未だ矍鑠

 探求の話に重鎮の老騎士デレク卿は、自分も同行しようと準備を始めていました。彼はベネディクト卿の幼少より側近く仕えていましたが、その贔屓目を排してみれば、未来を考えて二人のどちらが当主に相応しいか、いまだに結論を出しかねていたのです。

 そんなデレク卿をみて、病気がちな孫娘のリネットが尋ねてきました。

「おじいさま、ベネディクト様は探求に旅立たれるのですか?
どうしてそんな雲を掴むようなものを探しに、辛い旅にゆかねばならないのでしょう?」

デレク卿「うむ、それはな、それが騎士というものだからだ」
(あまりに切れ味のいい言い切られ具合に一同笑)

「殿方の世界は難しいのですね…
おじいさまはもちろんあの方を助けて差し上げるのでしょう?」

デレク卿「(うわ、きた)あ、ああ。わしも傳役であったからな。ベネディクト様はわしがお守りするよ」
咳き込むリネットに、「さあ、美味しいものを食べて大事にしなさい。ベネディクト様のことなら心配いらん。わしもまだまだ若い者には遅れはとらんからな」

布告

 ここは山の魔法鍛冶カリグラの小屋。ちょうど魔術師仲間のダリウスが遊びに来ていました。

ダリウス「お前さんの作った強壮薬、よく効いたと評判だよ」

カリグラ「あたりまえじゃ。このわしの作ったものなんじゃからな」(ふんぞり)

 そのとき… ドタガラガッシャーン。地面がみしみしと震えます。
 驚いてダリウスが尋ねるに、山の巨人の仕業だといいます。カリグラと巨人は、ウィース源の鉱脈をめぐって宿敵同士なのです。しかし荒事の苦手なカリグラには退治はできず、ほとほと困り切っているとのこと。

ダリウス「おお、お前さんは運がいい。おあつらえむきの手がある」

 眠り花の探求に出る騎士たちを、巨人にけしかけようというのです。カリグラには、手助けになるような品物を作るよう言い置くと、ダリウスはフクロウに変身し、パトリック卿の許へと飛んで戻りました。騎士たちの出立には間に合い、パトリック卿から正式に、巨人退治も探求にふくめる旨、告知を出してもらうことができたのです。

◇other case / 別のプレイでは◇

ダリウスを頼らなかったケースもあります。そのときカリグラは、山の周り中に看板を出しました。

「巨人が暴れて困っています。退治してくださった方に金80ポンド進呈します」

黄金を創造するCrTe儀式"ミダス王の手"を利用した方法でした。首尾は上々で、《思いやり深い》セシル卿がさっそく押しかけてきて、無償で退治を請け負ってくれたり。

友情

 オープニングが一回りしていよいよ本編。旅立つ前の各々の動きをみていくと…。

 セシル卿は魔法の小瓶を通じてビアンカを呼び出すと、相談をもちかけました。

ビアンカ「(ここで呼ばれるとは予想外だった)何でしょう、わが君?」
セシル卿「かくかくしかじかで探求が始まるのだが、私はアルバートに手柄を譲ろうと思っているのだよ」

 この段階での意外な発言にどよめく一同。

SG「セシルがアルバートと姫との仲に気づいているとしたら、二人のそぶりからしかないはずですよね。
  それでは、セシルの〈人間知識〉と二人の〈詐術〉で対抗判定してみましょうか」

 そして揃って0を出して負ける恋人たち。

セシル「マチルダ姫が誰か他に思い人がいることは分かった。アルバートが姫のことを気にしているのも分かった。
    それなら二人は恋仲に違いない。ここで私が探求に成功しても、二人を不幸にしてしまうばかりだ」

 それを聞くや、渋っていた態度をたちまち翻すビアンカ。

ビアンカ「まあ、セシル様、それでしたらわたくし何でもご助力いたしましてよ」

 早速眠り花の場所を教わり、意気揚々と旅支度にかかるセシル卿でしたが、ビアンカは心配げに一つ付け加えました。(妖精騎士についての知識判定に最低限だけ成功)

ビアンカ「お気をつけあそばせ。洞窟を守る門番は不死身で、蝙蝠を肩に止まらせているそうですわ」
(セシル卿も美点《死の予言》のおかげで、基本的に死亡ダメージを喰らわないのですが、蝙蝠というキーワードだけは別なのです)

さらに策謀

 四人の騎士の髪の毛を手に入れたアグリッピナ。守護者のことまでは耳にしていませんでしたが、眠り花の自生地のことは彼女も知っており、ベネディクト卿にその位置を授けました。

 その上で、デレク卿を呼び出すと…。

アグリッピナ「(いきなり魔法を使うのも何だから言葉で)。そなたの孫娘、リネットと言ったか。息災であるか」
デレク卿「ご心配痛み入ります。まだ病弱の身にて…」
アグリッピナ「その方が望むなら、わらわが良き嫁ぎ先を見つけてやってもよいぞ」
デレク卿「ありがたき幸せ。なれど宮廷にも出仕できぬ身、まだ早いかと」

アグリッピナ「その方の忠義はよく存じておる。こたびの探求でも、わが息子ベネディクトを助けてやってはくれまいか」
デレク卿「そうしたお話でしたか。それがしも傳役であった身、言われずともお任せあれ」

 かくして、セシル卿+アルバート卿、ベネディクト卿+デレク卿、という組み合わせで、騎士たちは旅立つことになりました。目指すは眠り花のあるというエニシダ峠の谷間。巨人のいる山も通り道です。

旅路、そして裏では

 巨人のいる山まで、宮廷から迷わずに行けば10日の道程。しかし初めての行き先で、人里離れて道らしい道もなく、それを反映して、難易度の高い〈地域知識〉の判定をしてもらいました。失敗すると倍の20日間かかることになります。
 早くも脳筋ぶりが伝染しはじめているセシル/アルバート組は順当に(?)失敗しましたが、頭のいいベネディクトがここでまさかのボッチ! さらに迷って30日間かかることになってしまいました。

 この期間、マギのキャラクターたちも遊んでいるわけではありません。フクロウの姿でセシル組に同行したダリウスを除き、それぞれに魔術物品の作成や調べ物にあたりました(単位時間短縮のハウスルールを使いました)。それらを順に見ていってみましょう。

 まずカリグラは、自慢の刀鍛冶の腕前を活かして、二振りの魔剣を鍛え上げました。一つ目は、PeCoによって、斬った相手を無条件に殺す効果を込めたもの。もう一つは、MuCoによって、斬った相手を小さく収縮させるものです。一応巨人退治を念頭においたもののはずですが、使いようによっては他の騎士も斬れるのがそこはかとなく恐ろしい。

 アグリッピナは先の髪の毛を活かすべく、「射程:誘導呪物」なInImを作成。髪の毛をもっている相手の付近が見聞きできるという品です。そして、セシル卿の蝙蝠の予言を成就させようと、誘導呪物先に炎を吹き出させるCrIgの杖。握りには「蝙蝠の」意匠がついています。何かと戦うセシル卿を(一つ目の魔術物品で)見つけたら、敵のかけた魔術のふりをして、自分の関与した証拠を残さずに彼を始末する狙い(ガクブル)

 対するビアンカはというと、こちらは予言をねじ曲げて活用するために、蝙蝠を鶏に変えるMuAnを練っていました。今回のアイディアの白眉。蝙蝠に関わらないかぎり、セシル卿は無敵なのですから!

◇other case / 別のプレイでは◇

眠り花のもつ眠りの魔力への対抗策を、早くから模索したプレイがありました。方法論としてはやはりReHeの結界に落ち着いたのですけれど、どの騎士にそれを授けるかで大揉め。

また、アグリッピナがデレク卿でなく、アルバート卿を脅してベネディクト側につけさせたケースもあります。巨人のところに行った騎士は自分の差し向けたものだと根回しして、カリグラに魔術物品を作らせようとしたり。

巨人退治

 敵失で先行したセシル卿たちは、カリグラの小屋に到着します。ノックすると足を引きずった小人が出てきて…

カリグラ「(二人の下から上まで見回して)向いてそうだ」とぼそり。

セシル&アルバート「なんだなんだ?」

カリグラ「ここに二振りの剣がある。どちらかを持っていくがええ」

相談した結果、小さくして勝つのは格好悪いという理由で、殺す方の剣に。

カリグラ「そっちを選んだか。我が身の滅びにならんよう気を付けるがええ。ひひひ」

 不気味な言葉を振り切って、巨人退治に向かった二人。

巨人「ガハハ、ちびどもが、わしに喰われにきたか!」
アルバート卿「世を騒がす不埒な巨人め、このアルバートが成敗してくれる!」

 セシル卿の指揮下に入ったアルバート卿が前衛を務める形で、巨人にランスチャージ! 出目も振るって、一気に重傷二つを与えます。こうなると戦いは一方的。負傷のペナルティが-5×2=-10ですから、攻撃も防御もダメダメになってしまうのです。カリグラの剣を使うまでもなく、まもなく巨人は土下座して降参し、パトリック卿の領土から出て行くことを誓いました。

 善行に満足しつつ、二人は剣を土産にカリグラの許を辞すと、いざ峠へ向かいました。峠までは約10日。

◇other case / 別のプレイでは◇

巨人の強さは、指揮官をおいた集団戦術をとらずに一人で立ち向かったときに、だいたい叩き合いになるように調整しています。実際、アルバートがベネディクト側についたために、セシル一人で戦った事例では、ビアンカらの必死の援護があってさえ、かなりの怪我を負いました(途中、ビアンカがPeHeで巨人の棍棒を破壊したのが逆転の契機で、それがなければ負けてたかも)

その際、セシルが大怪我してほくほく顔だったアグリッピナですが、カリグラのCrCo儀式による驚異の治癒力に、笑みを消すことになりました。あれがなければ、ライバルのいない間に悠々勝利だったのにねぇ。

正体

ベネディクト卿「どうしたんだデレク、全然着かないではないか!」
デレク卿「いえでも、ベネディクト様の仰るとおりに進んでいるのでは…」
ベネディクト卿「お前がこっちだと言った!」(かんしゃく)

 10日遅れの有様に、アグリッピナが誘導呪物を利用したCrIm即興呪文で介入。映像と声で道案内をします。これで二人は山をショートカットし、近道を通って、セシル組にわずかに先んじて峠に着くことができました。

 峠の洞窟に分け入ると、キィキィという声やバタバタと羽ばたく音が暗闇にこだましています。

ベネディクト卿「蝙蝠か! 吉兆だぞ!」

 じきに出口の明かりが見えようかというころ、通路を塞ぐようにして、チェインメイルの全身鎧を身につけた大柄な騎士が、ロングソードとヒーターシールドで仁王立ちしていました。紋章は蝙蝠で、また大きな蝙蝠を肩に止まらせています。

「眠り花の谷間を荒らす人間か。通りたくば吾輩を倒していくがよい」

 ここで黙って後戻りする二人。何をするのかと思えば…?

ベネディクト卿「母上、母上、聞いておられるか。守護者がおりました。知恵を授けられよ」
アグリッピナ「(知識判定に成功して)あの騎士の本体は肩の蝙蝠、騎士の身体は操り人形じゃ」
ベネディクト卿「それで不死身というわけか。蝙蝠を狙えばよいのだな。よし!行くがいい、デレク卿!!
一同「自分は行かないんかい!(笑)」

「通りたくば吾輩を倒していくがよい。貴公らに一人ずつ決闘を申し込む!」

デレク卿「あ、汚い。指揮ボーナスを潰してる」

 しかし老いてますます盛ん、老化で特性値は下がっても技能の高さは随一で、デレク卿の剣の一撃は、過つことなく蝙蝠を捉え(サイズが小さいので簡単に即死)、騎士の身体はたちまち動きを止めたのでした。

 そのころちょうど洞窟に入ってきたセシル卿たちの物音が背後から聞こえます。

ベネディクト卿「母上、この騎士の身体を利用して、兄上たちを足止めされよ」

◇other case / 別のプレイでは◇

セシル/アルバート/ベネディクトの三人が一緒に旅したプレイがありました。このときのベネディクトが実に狡猾で、蝙蝠騎士との戦いで「騎士の名誉の一騎打ちに介入は」云々の口実でセシル一人を戦わせていたのに、CrMeで本体の情報を入れ知恵された途端に「しかし弟の危機は見過ごせん」と言い出すちゃっかりっぷり。

そもそもの最初でも、「家督争いはあくまで本人同士で競争すべきではないか?」と親友の関与を牽制し、さらに搦め手から「アルバート、君の名誉にふさわしい話をもってきた」と巨人退治に押しやるとか。

眠りの魔力

 セシル卿とアルバート卿が進んでくると、アグリッピナは即興のReCoで蝙蝠騎士の身体を起こし、同じく即興のCrImで同じことを喋らせました。剣を抜いて立ち向かうセシル卿ですが…。

アグリッピナ「山から峠までの間に作っておいた魔術物品起動。ReCoでセシル卿を動けなくします」

SG「魔法抵抗ないので無条件にかかります。ピキーン、金縛り」

ビアンカ「それなら…PeViを即興して、アグリッピナのReCo効果を打ち消します!」

アグリッピナ「ちっ!」

 セシル卿が一撃入れただけで、騎士の身体はがらがらと倒れました。

 一方そのころ、ベネディクト卿とデレク卿は、ついに眠り花の谷間に足を踏み入れていました。緑の草木が一面に生い茂る谷間。同じ植物群で、風もないのにさわさわと鳴っています。中央の株だけが大輪の桃色の花を一つつけていました。

ベネディクト卿「あれだ!」

 駆け寄るベネディクト卿でしたが、花に手をかけた瞬間、花は恐ろしい眠りの魔力を発動しました。魔法抵抗をもたないベネディクト卿はたちまちすやすや状態。続いていたデレク卿まで、イニシアティブ勝負で危うく眠らされかける始末。デレク卿はベネディクト卿を背負うと、なんとか洞窟の出口まで連れ戻しました。

手にする者は

アルバート卿「セシル、今回の探求はなんだか楽でいいなあ!」
一同「たしかに…」

 抜け殻の騎士を倒し、のんきに進んできたセシル卿とアルバート卿。洞窟の出口で、眠るベネディクト卿とそれを世話するデレク卿に出くわし、話を聞きます。

 ここでセシル卿がビアンカを呼んで、はじめて眠りの魔力に対する助力を求めます。

アルバート卿「セシル、本当によいのか? ここはやはりお前が…」

セシル卿「いや、黙って受け取ってくれ。私は眠る弟を背負って帰らねばならん。眠り花など持っていくゆとりはない」

ベネディクト卿(睡眠中)「眠り花はわたしのものだ〜むにゃむにゃ」

ビアンカ「それではアルバート様、マチルダ様と幸せにおなりなさいませ!」

ReHeの結界《生命直結魔術》で命削って出すことで実現。アルバートは花を手にしました。

エピローグ

 眠り花を見事持ち帰ったアルバート卿は、晴れてマチルダ姫と結ばれました。

 ところで、実は洞窟に入ってからの一部始終は、フクロウの姿で同行していたダリウスがInIm呪文で何もかも見守っていました。ダリウスは二人に先立ってパトリック卿に復命、セシル卿が譲ったことまで伝えました。

「友の心情を慮って手柄を譲ったセシルの心意気は見事あっぱれ。家督はそなたに譲るとしよう」

セシル卿「いいえ父上、心苦しいのですが私は当主の器ではございません。このような平和な土地に、私のような無骨者は不要。どうぞ弟にお譲りください」

 彼の意思は固く、パトリック卿でも覆せませんでした。

セシル卿「西の山に民草を苦しめるドラゴンがいるとか。その征伐に行くことをお許しください」

「ハハハ、大きくなったな、セシル。そなたの思うようにするがよい」

こうして、セシルは武勲をもとめる旅に出立し、とうとう死ぬまで国には戻りませんでした。しかし各地で、奇妙な剣を駆使するセシル卿の勇敢な逸話が伝わっています。家督はベネディクト卿が継ぎました。アグリッピナは「結局何もしないでいても良かったのかのう」と、ビアンカは「次から次へと。身が持たねぇ〜」と、それぞれにぼやいていたとか。どっとはらい。

◇other case / 別のプレイでは◇

蝙蝠騎士を倒すまでにセシルが深手を負い、ここを好機と見てベネディクトが叛乱を起こすプレイがありました。ビアンカの介入を許して必殺の一撃を妨害された上、自信値や信仰値、それに《真の友》の友情パワーを総動員したアルバートの反撃に沈みましたが。

また別のプレイで、ビアンカの(泣きながらの)手助けでセシルが一人で先に花を取ったケース、アルバートとマチルダ姫の仲に気づいていなかったセシルに、ベネディクトが入れ知恵してアルバートに譲るようにあおり立て、ドローに持ち込んだ事例もあります。「アルバートのことをあんなに配慮していたとは、弟は案外良い奴だったんだ」とセシルは騙されていたとか。

[戻る]