Knights and Sagesレポート作成:2008/09/20 プレイ1:08/07/05(BAN-CONテストプレイ) 以上3回のプレイをまとめてレポートします。メインは3回目のBAN-CON'08で、他のプレイにも途中コーナーを作って言及する形をとります。一応メモを元に書いていますが、録音等はしていませんし、肝心のメモもプレイしながらでなく翌日まとめたものですので、うろ覚えの部分が多いです。せりふなどはほとんど捏造。どうぞご寛恕を(>特に参加PLのみなさま) ※ルール用語の解説がポップアップする部分があります。java script を有効にしてご覧ください。 プロローグあるところにマチルダ姫という美しい姫がおりました。何人もの結婚の申し込みがある中で、両親は隣の領主パトリック卿の息子の一人セシル卿に嫁がせようとしたのですが、そのとき彼女はこう言ったのです。 「眠り花の実を取ってきた者になびきましょう」... キャラクター(別窓でこの表を開きます)
…というわけで、今回はきわめて変則的に、セッション中に1PLが2PCを随時切り替える方式をとっています。本来のアルス・マギカでは、セッション単位でキャラクターを切り替えるのが通例ですが、コンベンション単発ということで、全員がマギをやりつつ、コンパニオンもできるように、という意図からの試みでした。 実質キャラ8人でめちゃくちゃ重い進行になりますから、少しでも参加者の負担を減らすために、各PLごとにキャラクターの名前の頭文字を揃えた上、コンパニオンを騎士で統一して過度の複雑化を避け、相関図を配って担当PLを記入してもらったり、他の人のも含めてハンドアウトを全員分いつでも参照できるように手元においたり、といった対策をとりました。 なお、1人のPLが手にするキャラクター2人の間には、必ずしも利害の一致はありません。同じ場面に登場するのをなるべく避けられるようにというのと、コンベンション当日の集まりによって人数を加減できるようにという点からの組み合わせになっています。 あと最後になりましたが、今回のは史実はもちろん、法典の制約とか魔術団の設定といったアルス・マギカ独自の背景設定もほとんど無視しています。基本ルールブック220ページの Researching a Setting が、The Pure Fantasy Saga ってことで。なんちゃって騎士物語です。お読みになるときは、その辺も留意なさってください。 跡目しばらくオープニングが続きます。まずはパトリック卿の二人の子息、セシル卿とベネディクト卿から。 晩餐の席上、父パトリック卿は二人を呼ぶと、こう言いました。 「儂も良い年となった。近頃は節々の痺れを散らすアグリッピナの薬が手放せぬ。であるから、お前たちのいずれかに近々家督を譲りたいと考えておる」 ベネディクト卿「父上、まだそのようなことを申されては困ります」
「しかし儂の見るところ、お前たち二人はまだまだ未熟だ。セシル、そなたは武に溺れて頭が働かん。ベネディクトはといえばその逆だ。兄弟固く手を携えておればまだしも、今のままのお前たちでは、とても当主の座はつとまるまい。臣下の者どももみなそのように考えておろう。」 セシル卿「ギクギク」 「そこで谷の賢者ダリウス殿に一策を案じてもらい、ここに試練を用意した。 「これは騎士としての度量、そして同僚や配下を動かせる人望をも試験するものだ。探求の中で自らを鍛え上げ、見事果たして父の許に戻って参れ!」 セシル卿&ベネディクト卿「はっ! 必ずや父上のご期待に添います」 …この一連の光景を眺めている女が一人。ビアンカがInIm(Aq)の定式呪文"遠見の水盤"を唱えていました(SGからの要請)。 妖精に詳しい彼女のこと、眠り花なる植物にも心当たりがありました。知っていた事柄は以下のとおり(【知性】+〈妖精界知識〉で判定して、達成値によって判明。今回は全部出ました)。
ビアンカ「愛しいセシル様、申し訳ありませんが今回ばかりは、弟君のベネディクト様に協力させていただきますわ」 内幕晩餐が終わって夜の更けたころ、パトリック卿の私室をひそやかに訪れる人影が。 「ダリウス殿、来てくれたか。
ダリウス「(勧められたワインなど飲みながら)必ずや。お二人もこれで大きくなられましょう」 「兄のセシルは人望が厚いのはいいが、人が良すぎて敵に填められかねん。弟のベネディクトはといえば、抜かりない策謀家なのは良いのだが、冷徹さが過ぎて人心を失っておる。足して2で割れればちょうどいいのだがな」(ため息)
「さて、乗りかかった船ということで、貴殿にはもう少し骨を折ってもらいたい。
ダリウス「承知つかまつりました。この探求、わたくしがしかと見届けましょう」
逢瀬 時間は少しさかのぼる。マチルダ姫が眠り花のことを布告してから2週間ほどしたとき。 アルバート卿「おお、わが姫よ、お会いしとうございました」 「お慕い申し上げています。貴方も眠り花を探しに行かれるのですか?」 アルバート卿「無論のこと。騎士たる者の本分です」 「ああ、どうか許してください。貴方まで巻き込むつもりはなかったのです。でもあのままではセシル様と結婚させられてしまいそうで。なんとか難を逃れようとあのような無理難題を…」 アルバート卿「そんなふうに仰いますな。探求に旅立つは騎士の名誉というもの。眠り花をこの手で持ち帰り、見事貴女を勝ち得てみせましょう」(姫の手の甲に接吻する) マチルダ姫は別れに髪を一房切ると、アルバート卿に手渡しました。 ちなみにアルバート卿PLのgoldkightさんは、某サークルのAD&Dキャンペーンではパラディンがはまり役でした。さすが往年のエルアルド・ハウントクラウン、騎士ロールプレイが堂に入ってます(^^) 策謀 時間軸を戻して晩餐の数日後、私室でくつろぐアグリッピナに、庭先からひそやかな声が。 「ご報告いたします。マチルダ姫ですが、噂に違わぬ美しさではございました。ただ御気持ちが弱いと宮廷筋の噂で、言うなりの人形にするのもさして難しくはないと思われます」 アグリッピナ「ふむ。それならベネディクトに嫁がせてもかまわぬかの」 「それともう一件、マチルダ姫の館で、それがしアルバート卿をお見かけしました。それどころか、人払いした四阿にて、姫殿下と語り合っておりました。見張りがきつく、内容までは聞き取れませんでしたが…」 アグリッピナ「ほう。(セシル卿と無二の友である)アルバート卿は目障りよの。あの男を見張りなさい」 密偵を見送ると、アグリッピナは使い魔のオウムに、騎士たち四人の髪の毛を集めてくるよう命じました。誘導呪物としての利用を考えているようです。
未だ矍鑠探求の話に重鎮の老騎士デレク卿は、自分も同行しようと準備を始めていました。彼はベネディクト卿の幼少より側近く仕えていましたが、その贔屓目を排してみれば、未来を考えて二人のどちらが当主に相応しいか、いまだに結論を出しかねていたのです。 そんなデレク卿をみて、病気がちな孫娘のリネットが尋ねてきました。 「おじいさま、ベネディクト様は探求に旅立たれるのですか? デレク卿「うむ、それはな、それが騎士というものだからだ」 「殿方の世界は難しいのですね… デレク卿「(うわ、きた)あ、ああ。わしも傳役であったからな。ベネディクト様はわしがお守りするよ」 布告ここは山の魔法鍛冶カリグラの小屋。ちょうど魔術師仲間のダリウスが遊びに来ていました。 ダリウス「お前さんの作った強壮薬、よく効いたと評判だよ」 カリグラ「あたりまえじゃ。このわしの作ったものなんじゃからな」(ふんぞり) そのとき…
ドタガラガッシャーン。地面がみしみしと震えます。 ダリウス「おお、お前さんは運がいい。おあつらえむきの手がある」 眠り花の探求に出る騎士たちを、巨人にけしかけようというのです。カリグラには、手助けになるような品物を作るよう言い置くと、ダリウスはフクロウに変身し、パトリック卿の許へと飛んで戻りました。騎士たちの出立には間に合い、パトリック卿から正式に、巨人退治も探求にふくめる旨、告知を出してもらうことができたのです。
友情オープニングが一回りしていよいよ本編。旅立つ前の各々の動きをみていくと…。 セシル卿は魔法の小瓶を通じてビアンカを呼び出すと、相談をもちかけました。 ビアンカ「(ここで呼ばれるとは予想外だった)何でしょう、わが君?」 この段階での意外な発言にどよめく一同。 SG「セシルがアルバートと姫との仲に気づいているとしたら、二人のそぶりからしかないはずですよね。 そして揃って0を出して負ける恋人たち。 セシル「マチルダ姫が誰か他に思い人がいることは分かった。アルバートが姫のことを気にしているのも分かった。
それを聞くや、渋っていた態度をたちまち翻すビアンカ。 ビアンカ「まあ、セシル様、それでしたらわたくし何でもご助力いたしましてよ」 早速眠り花の場所を教わり、意気揚々と旅支度にかかるセシル卿でしたが、ビアンカは心配げに一つ付け加えました。(妖精騎士についての知識判定に最低限だけ成功) ビアンカ「お気をつけあそばせ。洞窟を守る門番は不死身で、蝙蝠を肩に止まらせているそうですわ」 さらに策謀四人の騎士の髪の毛を手に入れたアグリッピナ。守護者のことまでは耳にしていませんでしたが、眠り花の自生地のことは彼女も知っており、ベネディクト卿にその位置を授けました。 その上で、デレク卿を呼び出すと…。 アグリッピナ「(いきなり魔法を使うのも何だから言葉で)。そなたの孫娘、リネットと言ったか。息災であるか」 アグリッピナ「その方の忠義はよく存じておる。こたびの探求でも、わが息子ベネディクトを助けてやってはくれまいか」 かくして、セシル卿+アルバート卿、ベネディクト卿+デレク卿、という組み合わせで、騎士たちは旅立つことになりました。目指すは眠り花のあるというエニシダ峠の谷間。巨人のいる山も通り道です。 旅路、そして裏では 巨人のいる山まで、宮廷から迷わずに行けば10日の道程。しかし初めての行き先で、人里離れて道らしい道もなく、それを反映して、難易度の高い〈地域知識〉の判定をしてもらいました。失敗すると倍の20日間かかることになります。 この期間、マギのキャラクターたちも遊んでいるわけではありません。フクロウの姿でセシル組に同行したダリウスを除き、それぞれに魔術物品の作成や調べ物にあたりました(単位時間短縮のハウスルールを使いました)。それらを順に見ていってみましょう。 まずカリグラは、自慢の刀鍛冶の腕前を活かして、二振りの魔剣を鍛え上げました。一つ目は、PeCoによって、斬った相手を無条件に殺す効果を込めたもの。もう一つは、MuCoによって、斬った相手を小さく収縮させるものです。一応巨人退治を念頭においたもののはずですが、使いようによっては他の騎士も斬れるのがそこはかとなく恐ろしい。 アグリッピナは先の髪の毛を活かすべく、「射程:誘導呪物」なInImを作成。髪の毛をもっている相手の付近が見聞きできるという品です。そして、セシル卿の蝙蝠の予言を成就させようと、誘導呪物先に炎を吹き出させるCrIgの杖。握りには「蝙蝠の」意匠がついています。何かと戦うセシル卿を(一つ目の魔術物品で)見つけたら、敵のかけた魔術のふりをして、自分の関与した証拠を残さずに彼を始末する狙い(ガクブル) 対するビアンカはというと、こちらは予言をねじ曲げて活用するために、蝙蝠を鶏に変えるMuAnを練っていました。今回のアイディアの白眉。蝙蝠に関わらないかぎり、セシル卿は無敵なのですから!
巨人退治敵失で先行したセシル卿たちは、カリグラの小屋に到着します。ノックすると足を引きずった小人が出てきて… カリグラ「(二人の下から上まで見回して)向いてそうだ」とぼそり。 セシル&アルバート「なんだなんだ?」 カリグラ「ここに二振りの剣がある。どちらかを持っていくがええ」 相談した結果、小さくして勝つのは格好悪いという理由で、殺す方の剣に。 カリグラ「そっちを選んだか。我が身の滅びにならんよう気を付けるがええ。ひひひ」 不気味な言葉を振り切って、巨人退治に向かった二人。 巨人「ガハハ、ちびどもが、わしに喰われにきたか!」 セシル卿の指揮下に入ったアルバート卿が前衛を務める形で、巨人にランスチャージ! 出目も振るって、一気に重傷二つを与えます。こうなると戦いは一方的。負傷のペナルティが-5×2=-10ですから、攻撃も防御もダメダメになってしまうのです。カリグラの剣を使うまでもなく、まもなく巨人は土下座して降参し、パトリック卿の領土から出て行くことを誓いました。 善行に満足しつつ、二人は剣を土産にカリグラの許を辞すと、いざ峠へ向かいました。峠までは約10日。
正体ベネディクト卿「どうしたんだデレク、全然着かないではないか!」 10日遅れの有様に、アグリッピナが誘導呪物を利用したCrImの即興呪文で介入。映像と声で道案内をします。これで二人は山をショートカットし、近道を通って、セシル組にわずかに先んじて峠に着くことができました。 峠の洞窟に分け入ると、キィキィという声やバタバタと羽ばたく音が暗闇にこだましています。 ベネディクト卿「蝙蝠か! 吉兆だぞ!」 じきに出口の明かりが見えようかというころ、通路を塞ぐようにして、チェインメイルの全身鎧を身につけた大柄な騎士が、ロングソードとヒーターシールドで仁王立ちしていました。紋章は蝙蝠で、また大きな蝙蝠を肩に止まらせています。 「眠り花の谷間を荒らす人間か。通りたくば吾輩を倒していくがよい」 ここで黙って後戻りする二人。何をするのかと思えば…? ベネディクト卿「母上、母上、聞いておられるか。守護者がおりました。知恵を授けられよ」 「通りたくば吾輩を倒していくがよい。貴公らに一人ずつ決闘を申し込む!」 デレク卿「あ、汚い。指揮ボーナスを潰してる」 しかし老いてますます盛ん、老化で特性値は下がっても技能の高さは随一で、デレク卿の剣の一撃は、過つことなく蝙蝠を捉え(サイズが小さいので簡単に即死)、騎士の身体はたちまち動きを止めたのでした。 そのころちょうど洞窟に入ってきたセシル卿たちの物音が背後から聞こえます。 ベネディクト卿「母上、この騎士の身体を利用して、兄上たちを足止めされよ」
眠りの魔力セシル卿とアルバート卿が進んでくると、アグリッピナは即興のReCoで蝙蝠騎士の身体を起こし、同じく即興のCrImで同じことを喋らせました。剣を抜いて立ち向かうセシル卿ですが…。 アグリッピナ「山から峠までの間に作っておいた魔術物品起動。ReCoでセシル卿を動けなくします」 SG「魔法抵抗ないので無条件にかかります。ピキーン、金縛り」 ビアンカ「それなら…PeViを即興して、アグリッピナのReCo効果を打ち消します!」 アグリッピナ「ちっ!」 セシル卿が一撃入れただけで、騎士の身体はがらがらと倒れました。 一方そのころ、ベネディクト卿とデレク卿は、ついに眠り花の谷間に足を踏み入れていました。緑の草木が一面に生い茂る谷間。同じ植物群で、風もないのにさわさわと鳴っています。中央の株だけが大輪の桃色の花を一つつけていました。 ベネディクト卿「あれだ!」 駆け寄るベネディクト卿でしたが、花に手をかけた瞬間、花は恐ろしい眠りの魔力を発動しました。魔法抵抗をもたないベネディクト卿はたちまちすやすや状態。続いていたデレク卿まで、イニシアティブ勝負で危うく眠らされかける始末。デレク卿はベネディクト卿を背負うと、なんとか洞窟の出口まで連れ戻しました。 手にする者はアルバート卿「セシル、今回の探求はなんだか楽でいいなあ!」 抜け殻の騎士を倒し、のんきに進んできたセシル卿とアルバート卿。洞窟の出口で、眠るベネディクト卿とそれを世話するデレク卿に出くわし、話を聞きます。 ここでセシル卿がビアンカを呼んで、はじめて眠りの魔力に対する助力を求めます。 アルバート卿「セシル、本当によいのか? ここはやはりお前が…」 セシル卿「いや、黙って受け取ってくれ。私は眠る弟を背負って帰らねばならん。眠り花など持っていくゆとりはない」 ベネディクト卿(睡眠中)「眠り花はわたしのものだ〜むにゃむにゃ」 ビアンカ「それではアルバート様、マチルダ様と幸せにおなりなさいませ!」 ReHeの結界を《生命直結魔術》で命削って出すことで実現。アルバートは花を手にしました。 エピローグ眠り花を見事持ち帰ったアルバート卿は、晴れてマチルダ姫と結ばれました。 ところで、実は洞窟に入ってからの一部始終は、フクロウの姿で同行していたダリウスがInIm呪文で何もかも見守っていました。ダリウスは二人に先立ってパトリック卿に復命、セシル卿が譲ったことまで伝えました。 「友の心情を慮って手柄を譲ったセシルの心意気は見事あっぱれ。家督はそなたに譲るとしよう」 セシル卿「いいえ父上、心苦しいのですが私は当主の器ではございません。このような平和な土地に、私のような無骨者は不要。どうぞ弟にお譲りください」 彼の意思は固く、パトリック卿でも覆せませんでした。 セシル卿「西の山に民草を苦しめるドラゴンがいるとか。その征伐に行くことをお許しください」 「ハハハ、大きくなったな、セシル。そなたの思うようにするがよい」 こうして、セシルは武勲をもとめる旅に出立し、とうとう死ぬまで国には戻りませんでした。しかし各地で、奇妙な剣を駆使するセシル卿の勇敢な逸話が伝わっています。家督はベネディクト卿が継ぎました。アグリッピナは「結局何もしないでいても良かったのかのう」と、ビアンカは「次から次へと。身が持たねぇ〜」と、それぞれにぼやいていたとか。どっとはらい。
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