「超常」分類の美点

 ヘルメス魔術以外の超常の力を与えてくれる美点群です。

 これらの超常の力は必ず、魔法界・妖精界・神聖界・地獄界のいずれかを源としています。善い妖精の贈り物だったり、悪魔と取引して得たものだったり、神の授けたもうた奇蹟だったり。もちろん、魔術団に属していない土着のまじない師たち(hedge wizards)の伝統もあります。この美点にはこの界という制約はほとんどありませんので、キャラクターの設定を優先して考えるところだと思います。
 なお、ちょうどヘルメス(小)の《妖精魔法/Faerie Magic》がそうだったように、こうした超常の美点をもつキャラクターも対応する界に調和し、その界のオーラなら中にいても歪曲値が増えずにすみます。超常能力の判定にもボーナス/ペナルティとして作用しますから、マギ並にオーラのことを意識したいものです。

 なお、超常能力の対象にされたキャラクターは、魔法抵抗が可能です。もっとも、基本ルールのリストの中だと、抵抗を抜く必要のある超常の美点って、案外少ないですが。突破力の計算方法はp.184を参照のこと。傾向としては、マギのヘルメス魔術に比べて、特性値(characterristic)や〈突破/penetration〉の占める割合が大きくなっています。ともかくまあ、突破力についてはそんなに悩む必要はないんではないでしょうか。どうせ玄人(マギとか妖精とか)にはかないませんし、俗世の素人さんを相手にしましょう。

 また、マギが地位の美点欠点を《魔術団のマギ/Hermetic Magus》から動かせないように、超常の美点をもったキャラクターも、まともな地位には居づらいケースが多いはずです(もちろん例外はありますが)。《賢人/Wise One》や《追放者/Outchast》あたりが王道でしょうか。うまくはまれば《落伍した徒弟/Failed Apprentice》も綺麗です。

 最後に、超常の美点をマギにもたせる際には、特別の注意が必要です。いわば他流・自己流で身につけていた超常の力を、ヘルメス魔術の筋に直すためには、師匠の指導がたいへん難しいのです。InViに優れた師匠でなければ、修業の過程で超常の美点を失ってしまったり、あるいは矯正しきれず一人前のマギになれなかったりします(詳しくはp.106を参照)。
 超常の美点のうち、大のものを保ったままヘルメスの術法にも開眼させるには、師匠はInViの研究値が少なくとも60(!)必要です。InViを得意とする《有能な師匠/Skilled Parensか、ないしは俗魔法を対象にした《魔術の専門分野》でもないと、ちょっと無理でしょう。実際このバランスから想像するに、ボニサグス派には俗魔法とヘルメス魔法との学際研究をテーマにしたマギがいて、超常の美点をもつ徒弟を他流派から引き取っては(法典で定められたボニサグス派の特権:p.13)、育てながら理論の研究を進めているのではないでしょうか。
 一方、小の方なら20〜で保持できます。これなら並のマギでも大丈夫。これらの値をクリアした場合でも、直接保たれるのではなく、何らかのヘルメスの美点に転化するケースもあります。雑集派ではそうしたケースも多いことでしょう。

■大の美点

■小の美点

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