教本アルス・マギカの成長ルールでは基本的に、キャラクターたちは季節単位の行動によってのみ経験値を得られますが、その中でも読書はもっともコストパフォーマンスに優れる手段です。ここでは基本ルールの範囲に絞って、関連するルールの動きを考えてみたいと思います。ルールブックでは主に第6章と第10章に書かれています。 ■前提まず基礎的なルールをおさらいしておきましょう。
〈ラテン語〉と〈自由学科〉が学術技能なため、各種の地位美点(《マギ/Hermetic Magus》や《知識階層/Clerk》など)がないと取得できない点に注意。それ以外の身分で読書できるようにしたい場合には、一般美点《教育/Educated》を取ればOKです。 ■技芸書技芸書/tractatus は一回しか学習できないかわりに、読者のレベルに制限を受けないのがメリット。そのため、初歩の段階ではなるべく大全書を用いて、技芸書は後々に取っておくのが賢い。特に、術法値20/技能値8を越える大全書はまず無いのですから、それ以上に上げようと考えている場合には、技芸書は貴重な存在になります。 コヴナント作成時に建設値消費で取得する技芸書では、品質の上限は11です。これを著すには、【交渉】+5(すなわち人類最高)または、【交渉】+2と《教え上手/Good Teacher》の組み合わせを持つ者のみ。また、書ける冊数は該当分野の術法値/技能値に依存しますから、そちらもそれなりに必要です。品質が12以上な書籍をものするには、《教え上手/Good Teacher》は必須で、さらに人並み外れた【交渉】も要ることが分かります。 ■大全書大全書/summa は読者のレベルに上限があるかわりに、技芸書と異なり何度でも学習できるのがメリット。読書の主力となります。 建設値消費で取得できる品質の上限は22。この内訳を考えると、執筆の際の品質基本値の算出は技芸書と同じなので、残りは上限レベルをあえて下げることで確保していることになります。コヴナント作成時の品質上限はこれを表現していて、たとえば品質22の書籍は上限レベルが術法で9、技能で4にしかなりません。これらの術法値/技能値に達するのは、この書籍(建設値31/34)で3回学習したときですから、技芸書(建設値11)3冊とほぼ等価、読者層が限られるかわりに学習速度で優る結果です。 そう、大全書ではレベルと品質のバランスが悩みの種。技芸書の上限と同じ品質11まで落とすと、レベルは術法で20、技能で8となって、コヴナント作成時のレベル上限と一致します。PCの術法値/技能値がそれぞれ初手で10/4程度とすれば、13〜15回学習できる計算で、充分に元がとれます。 上記はコヴナント作成の建設値で取得する場合ですが、プレイ中に手に入れたりする場合のことも少し考えておきます。まず、蔵書交換時の相場については、建設値と同じ計算式で扱えばよいと思います。ただし、振り切れたレベルや品質をもつ書籍などは、それを上回る価値をもつのが普通でしょう。 ■その他 キャラ作成時のミニテクですが、〈ラテン語〉の専門を「魔術用語」にしておくと、魔術関係については技能値4でも著述ができることになります。基本ルールブック第3章のサンプルキャラもみんなやっている抜け道。これで経験値が25点浮くんですから大きいです。 〈魔術理論〉と〈パルマ・マギカ〉に関しては、良い蔵書を優先的に手配しておくと便利かと思います。〈魔術理論〉はマギならみな初期値がある程度あるはずで、レベルの高いものが必要となり、建設値的にはちょっと大変かもしれませんが、なにしろ使用頻度がダントツですからね。 また、書籍の複製に必要な技能〈職能:写本〉は、マギ自身が持つよりは、専門の写字生を一人お抱えにしておくべきです。技能値6の熟練工でも建設値6しかかかりませんから、季節行動を浮かせるコピー機としては安いもの。後述のコヴナント本に掲載のサンプルキャラでは、《落伍した徒弟/Failed Apprentice》がこれを担っています。写本には該当分野の基礎知識が必要なことからも妥当な人事。 ■サプリメントの導入サプリメント"Covenant"(通称コヴナント本)には、書籍のルールに一章が割かれており、さらに具体的な描写をもち、さらに強力な書物を作ることができます。網羅的で充実したルール記述になっているためここでは触れませんが、機会があれば是非導入をオススメします。 また、ここで記している教本のたぐいとは異なりますが、コヴナント本の同章には「呪文牌/casting tablet」といって、第四版での「書巻からの行使」のように、未修得の呪文を本から直接行使するルールもあります。これにも注目。 [戻る] |