アルスマギカ×ペンドラゴン

冬の女王

千葉/埼玉/新潟の各地から集まっての2012年5月山荘合宿で行ったセッションの簡易レポートです。

当初このセッションではアルスマギカで行くつもりでしたが、どんなシナリオにするか迷ってはいたのです。小学校6年生のじゃすみんちゃんもPLすることを考えると、あまり難しい漢字や歴史ネタは出したくありませんし、大人に交じって意思決定を単独で求められるようなPC間対立ものも不向きです。

そうこうしているうちに、30日の例会の席で金色羊さんから、とりさんがペンドラゴンをやりたがっておられたと伺い、あれこれ考えているうちに、混ぜれば一石二鳥じゃね?という悪魔の囁きが。見るからに地雷で、自分でもこれまで無意識のうちに端から検討外に置いていたアイディアですが、でも今回のメンツを考えると意外と合いそうな気がして、あえて踏み込んでみました。

運用としては、騎士PCはペンドラゴンのルール、魔術師PCはアルスマギカのルールで処理するのを原則に(なんか世界法則がばらばらなTORGみたいな切り分けですな)、ダメージスケールはかなり近いので同一の値で共有、というくらいでしょうか。どちらのルールでも騎士はどうせ魔法に抵抗の余地なしだし。アルスマギカのコンパニオンPCがペンドラゴンのPCに入れ替わる(あるいはペンドラゴンの魔術師NPCがアルスマギカのマギPCに入れ替わる)だけなので、シナリオの組み立てはかなり楽です。

今回はPLのみなさんが互いに気心の知れた間柄であり、お一人お一人それぞれに心を配ってもくださいましたから、実際の進行も非常にスムーズで、両ルールの説明とキャラの詰めに1時間、昼食休憩に1時間、セッション4時間で綺麗にオチがつきました。簡単なプレイレポートは以下のとおり。


騎士たち(Pendragonサイド)
  • 大男サミュエル(PL:金色羊さん)
  • 小男ファレル(PL:じゃすみんちゃん)
  • 色男セバスチャン(PL:むぎわらさん)
魔術師たち(Ars Magicaサイド)
  • 自然使いゲオルギウス(PL:とりさん)
  • 人使いミーティス(PL:水葉さん)
GM/SG:Regulus(わたし)

5月の候、騎士たちは主君のプロヴァンス伯に呼び出され、前年の秋に冒険に出たまま消息を絶っている騎士ナバール卿の捜索を命じられました。サミュエルがクリティカルを連発して得た情報によれば、ナバールは「冬の女王に会いに行く」といって出かけ、その女王はヴォークリューズの泉に住まいする由。ただ女王が泉にいるのは秋から冬までで、いまは春の娘が泉を支配しているという伝承なのです。

代官を送ってあるとはいえ、あまりいつまでもナバール卿の領地を宙ぶらりんにしておくわけにもいきません。この5月に、冬の女王に会う方法が無いものか。騎士たちは助言を求めて魔法使いの谷に向かいました。

伯爵からは、魔法使いのミーティスには東洋の絹の衣、ゲオルギウスにはアラビアの蒸留酒を贈り物として預かりました。途中、〈節制〉の性格判定に一人失敗したサミュエルが、誘惑に負けてその酒を内緒でなめてしまったのですが…。


谷の庵で迎えた魔法使い二人は、自分たちよりも若いような青年と娘でした。もっともこの青年(ゲオルギウス)は本当はすでに150歳を越えており、娘(ミーティス)の方も相応のお歳です。

ミーティスは貴重な衣をもらって大喜び。〈好色〉なセバスチャンはくらっと来ました(憧れの感情を取得)。ゲオルギウスも大好物の酒を受け取って喜びますが、酒飲みの根性で(自信値を使用)気づきます。

「ビミョーに減っている…」

ゲオルギウスはIntellego-Mentem(精神を識る)の魔法をかけて、騎士たちに順番に問いかけました。

「お前はこの酒を開けてはいないか?」
セバスチャン(目を見返して)「これは主君から預かった贈り物だ。誰が開けるものか」

「お前はこの酒を開けてはいないか?」
ファレル(同じく正面から)「どんなに美味しくても、呑んでいけないものはいけない」

「お前はこの酒を開けてはいないか?」
サミュエル(目をそらす)「ごめんなさい。開けました〜」

というわけで下手人が判明。ゲオルギウスは「相応の報いを与えねばならんな」と告げると、なにやらサミュエルに魔法をかけました。

PCのサミュエル本人には何も告げられませんでしたが、Muto-Corpus(人体を変える)の魔法で、嘘をつくと鼻が伸びるようにしたのです。これ以後、サミュエルに嘘をつかせようと、卓の会話の端々に罠が仕掛けられるようになったり(笑)


話を聞いたマギ二人はごにょごにょと内緒話。実のところ、昨年の秋にそのナバールとおぼしき騎士が谷を訪れ、「さる高貴なご婦人の名代として」「雪雲を起こす品物」を求めてきました。「溶けないつらら」のウィース(魔法資源)を代価に、ゲオルギウスはそうした宝珠を作ってやったのです。

またちょうど先頃、問題の泉の麓の村から猟師が来て、「春が来なくて困っています!」と泣きつかれてもいました。つまり冬の女王がまだ居座っているということ。

ゲオルギウス「あのときは依頼人の立場を考えてあえて探らなかったのだが」
ミーティス「でも放っておくと、あなたがあれを作ったこともいずれバレますよ?」

そういうわけで、二人は騎士たちに同行して力を貸すことになりました。


麓の村に着くと、一行は支度を調え、泉に向かって冬山登山を始めました。ランスを得意とするファレルだけは、ゲオルギウスのRego-Terram(大地を操る)魔法で整地して馬を乗り入れています。

途中、雪だるまの妖精に雪玉を投げつけられ、色々挑発されましたが、騎士たちはよく我慢し、雪合戦くらいでなんとか(キレて駆け上がってきたら、雪崩を起こそうとGMは狙っていたんですが)。そのうちゲオルギウスがCreo-Auram(大気を創る)魔法で突風を起こし、雪だるまたちを追い払いました。

疲れながらそれでも泉まで上り詰めると、そこには氷の宮殿と、二足歩行で鎧を着た白熊の門番ががが。

白熊には幸いにも言葉が通じ、贈り物を口実に押して、テラス越しながら冬の女王への謁見に漕ぎつけました。冬の女王は魔性の美しさで、セバスチャンはまたもや憧れの感情を取得(笑)

セバスチャン「貴女のために!」(目をキラキラさせて)

ミーティスの魔法で(春の娘向けの贈り物のはずだった)衣を、冬の女王好みのデザインにバッチリ変えてあったのです。セバスチャンはこれを差し出して〈誘惑〉で情熱的に迫り、冬の女王も(若干引きながらも)まんざらでないご様子。

すると女王の傍らに一人の騎士が姿を現し、彼女に訴えます。
「私という者がありながら、なぜあのような男に色目をつかうのだ!?」
それは行方不明になっていたナバール卿でありました。


ナバール「女王の愛をかけて決闘だ!」
セバスチャン「望むところ!」
サミュエル「ならば私が立会人を務めよう」
というわけで、二人は剣を抜いて対峙します。

一合、二合と続く打ち合い。まもなく二人とも女王への憧れの感情値で剣技能にブーストをかけ、決闘はさらに白熱しますが、ダイスの神様はセバスチャンには微笑まず、形勢はナバール有利に傾きます。

セバスチャンをHP一桁まで追いつめたナバールは
「言っておくがセバスチャン卿、私の〈冷酷〉は19だからな」(→勝ったらトドメ刺すぞ)
とプレッシャーかけるも、
「そう思って審判に入っておいたのよ〜! 『そこまで』と言われたら止めないといけないでしょ」
というサミュエルの深慮でハズレ。

これに力を得た(?)セバスチャンに対してあと一打が出ず、ファレルによる実況解説でギャラリーが大盛り上がりする中、延々と粘られてしまいました。レフリーストップぎりぎりの20ラウンド目にようやく倒したのですが、その間にマギたちはひそかに人の輪から離れて…。

決闘が長引いたため疲労を回復する時間すら充分あり、ファレルの煽ったあの盛り上がりようでは、詠唱の声など誰も気づきません。マギたちは邪魔されることなく、充分に手を尽くして魔法を編みました。ミーティスがIntellego-Vim(魔力を識る)を唱えて宝珠の在処を探知し、それをゲオルギウスがPerdo-Vim(魔力を滅す)でディスペル! 宝珠は魔力を飛ばされ、雪雲の補充が無くなりました。


決闘に勝利して「主君の下には戻らず、女王への愛に生きる」というナバールから、証拠として印章入り指輪を受け取ると、ミーティスのCreo-Corpus(人体を創る)で回復したセバスチャン(美しいご婦人の癒しの手で…また後が心配^^;)に肩を貸して、一行は下山しました。去り際にゲオルギウスは謎めいた笑みを浮かべてナバールに告げます。

「そなたの冬はそう長くはあるまいよ」

そしてその予言のとおり、空を覆っていた雪雲は数日のうちに消え去り、この山にもついに春が訪れました。女王の寵を失ったであろうナバールの末路は言わぬが花。サミュエルの鼻が伸びたかどうかは言わぬが鼻。よって件の如し。


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