魔術手段の各種呪文と魔術物品はどちらも「魔法効果を起こすもの」として、術式の構成や研究目標値など大半が共通の基盤に立っています。ここでは個々の位置づけを考えてみます。 各々の想定される使い道で、開発期間まで込みにした大雑把なコストを軸に考えてみると、主として時間的なコストの低い方から高い方へ、 即興呪文<祭式詠唱<充填品<簡易呪付物<定式呪文<呪付物 といった印象になります。定式呪文の位置づけは、開発する呪文レベルの相対的な高さによってだいぶ前後しますが。 即興呪文は、時間的コストが完膚無きまでに最小であること、これに尽きます。数十分〜数時間の詠唱を追加した次の祭式詠唱オプションまで含めて、マギが短期間のうちに行える事柄を表現しています。 充填品は、「行使に1季節かける代償に、行使値倍加&物品化した即興呪文」もしくは「発動回数を有限にするかわりに、開発期間を1季節に短縮&物品化した定式呪文」というような機能を担っています(研究値依存なので厳密には異なりますが、全体の中での位置づけとしては)。短期間にできる事柄を受けもつ即興呪文や祭式詠唱が存在するゆえに、充填品以降の研究作業が季節単位に設定されているのではないかと思います。 時間コストでみると、数時間(祭式詠唱)の上が一足飛びに1季節(充填品等)になっていて、これは人によっては違和感を受ける箇所かもしれません。どうしてもという場合は、たとえば、「祭式詠唱を〈魔術理論〉の回数まで重ねられる」といったハウスルールを導入することを検討してもよいかも。所要時間が通常〜3日〜6日〜10日〜15日…と増えていき、また、行使値は素の2倍を超えられない、とすれば、季節行動への差し支えも含めて、悪くないバランス取りになると思います。 定式呪文は、術者の得意技という位置づけになります。疲労対効果および行使値対効果の効率がよく、突破力も高くしやすい。周囲の条件がマギによる発動に(いろいろな意味で)差し支えないもので、なおかつ開発の時間がとれるなら、定式呪文はもっともコストパフォーマンスに優れる手段となります。 ところで、プレロールドキャラを用意するとき、定式呪文をどうするかはいつも悩みます。使いどころのない定式呪文を持たせても仕方ないし、かといって定式呪文一発で解決してしまうようだと、お仕着せのルートのようでつまらない…。 簡易呪付物は、「仮想術者が付属してくる定式呪文一つ」もしくは「正規の呪付物の即興版」といったところ。研究書巻込みの充填品で賄えない回数をシナリオで発動することはあまりないので、あえてこちらにするのは、「環境発動:太陽」オプションと組み合わせて効果を永続化する場合がメインだと思います。 充填品と簡易呪付物の競合の際に、充填品が有利すぎと思われる向きには、充填品も[レベル÷10]ポーンのウィースを消費することにするといいかも。特にウィース採取をサガの中心に位置づける場合には。 なお、簡易呪付物を世俗に渡す場合には、「発動期限」オプションをつけて有限化すれば、法典の規制をクリアできます。70年有効にすれば、とりあえず子供や孫の世代くらいまで充分持ちますから、俗人は充分満足してくれるでしょう。また、「近々使いまくりたい」かつ「力量ギリギリに近い」効果を開発する際には、簡易呪付物で「発動期限:1年」とするのが一番効率良かったりします。 簡易呪付物の伝で言うならば、正規の呪付物は「仮想術者が付属してくる定式呪文の"レパートリー"」です。呪付自体の前に準備に大量のウィースを消費するため、総合コストではもっとも劣りますが、一つの品物にいくつも効果を込められるのはこれだけ。しかも、この準備は一つの物品につき一度しか必要でないので、二つ目以降の効果呪付は簡易呪付物より有利なくらいです。呪文より呪付に優れるウェルディーティウス派なら、正規の呪付物を一つ持って、それを定式呪文リストがわりに充実させていくと、展開が楽になるでしょう。 [戻る] |