魔法抵抗

 魔法抵抗を得るにはいくつか方法がありますが、それぞれ微妙な差異があります(詳しくはWGRE p.69〜を参照)。以下で簡単に比較してみましょう。

■パルマ・マギカ

 :形相ボーナスと両立する。しかも、他者を守る場合さえ、術者の形相ボーナスが伴ってくれる。

 :必要なときに(そう望むだけで)落とせるし、さらに復活も任意。

 :技能なので、該当分野には専門化のボーナス(実効値5点増し)が得られる。

 :誘導呪物などの併用によって、特定対象に増幅できる("Mysteries"参照)。

 :技能なので、教官がいればそのレベルまでは最速で上昇できる。一方で、教官のレベルを超えると伸び悩む。通常は6点余が限度か。

 ×:専用の経験点消費が必要で、つぶしがきかない。

 ×:日の出/日没に張り直す必要がある。しかも2分もかかり、そのあいだ隙ができる。

 ×:他者を守ると実効値が15点下がる。

■ReVi呪文/秘薬/呪装具

 :術法を伸ばすことがそのまま能力アップに繋がるので、副産物が大きい。

 :形相ボーナスと両立する。ただし、パルマとは対照的に、術者でなく対象者の形相をとる。

 :パラメータを柔軟にとれる。
 基本は近距離、集中、個。パルマと同等の自身、太陽、個にすると、10レベル得。実際には他者を守る用途も考慮して、接触または群にして、5レベル得がベストか。

 :点数の伸び悩みがない。それどころか、呪文書という形で譲渡が可能。
 やろうと思えば、例えば助手等総力を挙げて50レベル(これはパルマ10点に相当)で開発しておいて、決戦前に“魔術師の交わり”で書巻から投射ということさえ不可能ではないから、コヴナント次第でキャパシティは高いだろう。一人ReViの専門家がいれば、他のマギは〈パルマ・マギカ〉に振り分ける経験点を他(たとえば〈集中力〉とか)に回せるのだから。

 ×:その時点での最大効果を得ようとすると、呪文開発に多大な時間が必要。
 パルマと同効果を得ることを目指したとき、ReとViを均等に伸ばすとしても、大まかにいって、術法だけだとパルマ実効の2/3程度の値にしかならない。あとは〔【知性】+〈魔術理論〉+オーラ+パラメータ減少効果〕で埋めて、さらに差分まで出さないといけないわけだ。類似呪文のボーナスを最大限に活用し、助手や実験も辞さなくてようやくなんとか実用になる、といったところか。コヴナントの組織的な協力がないと難しいかも。
 なお、一回限りにはなるが、ウィースで研究値を上乗せした秘薬という抜け道が一応アリ。もともとVimを伸ばしているから、必然的に季節あたりのウィースの消費上限が高く、相当なオーバーパワーを叩き出せる(Vimが15ですでに魔法抵抗100まで楽々手が届く)。

 ×:任意にON/OFFできるパルマや、集中だけで落とせる形相とは異なり、落とすにはそのための手だてを用意しなくてはならない。ReViの“魔術師の手芸の抑制”が定石。《Harnessed Magic》(WGRE所収の+3の美点)をもっていれば一番楽だが。

 :パルマを磨かずこちらに頼るマギは、アイデンティティが…?

■護符

 :オプションをつけなくとも常動なので、一瞬たりとも切れることがない。

 :得たい魔法抵抗に等しい値が効果レベル。つまりReViにあった、パラメータ減少による恩典をもらえない。

 ×:形相ボーナスとは両立しない。(ArM4の本文に明記。例外処理らしい)

 ×:ReVi呪文などと同じく、味方の援護呪文にまで抵抗してしまう。落とすには別の手だてが必要。

■実力値

 :これも常動扱いなので、一瞬たりとも切れることがない。

 :形相ボーナスと両立する。

 ×:一時的に落とすのは難しい。おそらく、つぶしのきかない専用の呪文が必要。


(番外)

■形相

 :大半の魔法抵抗に上乗せできる(上記のはどれも相互に重複不可)。

 :成長が魔法行使能力にも直結している。しかも伸び悩みがない。

 :基本的に常動であり、張り直す隙が生じない。

 :必要があれば、精神集中だけで落とせる。復活も集中を解くだけと簡単。

 ×:該当する分野にしか効かない。したがって10に分けて伸ばすことになり、経験点効率が悪い。

 ×:パルマとの組み合わせ以外では、他人を守れない。


 総合的にみると、さすが〈パルマ・マギカ〉は優秀。高難度の基礎研究の成果だけのことはあります。誰でも使えて必要十分な性能を保ち、また、かゆいところに手が届くというか、融通のきくところがマル。

 一方で、人的/時間的リソースさえ注ぎこめば凄まじい防護をもたらしてくれる、ReVi呪文も見過ごすことはできません。チームワークのいいコヴナントにVimの専門家が入り、バックアップに専従していたりすると、これは恐ろしい脅威となります。贅沢といえば贅沢ですがね。

 護符は扱いにとにかく面倒がないので、グロッグなどに持たせるのが最大の使い道になるでしょう(効果に終わりがないので譲渡できないのが痛いですが)。また、敵だらけでどうしようもない状況では、張り直す隙が生じないメリットが保険になる可能性はあります。

 実力値をもつマギはごく僅かですし、そうしたキャラクターも点数は低いのが普通ですから、彼らにとって魔法抵抗のメイン手段にはなりえません(パルマの方が高いのが普通です)。にもかかわらずこの稿に含めたのは、超自然の生物を相手どる際、その特質を承知しておく意味があるためです。
 トリッキーなところがなく戦術の工夫しにくい相手ではありますが、しかし、連中の魔法抵抗は基本的に実力値のみで、定式呪文なら十分届く範囲に入っていることが多いものです。むしろ、実力値が〈突破〉として作用すること、つまり防御に気をつけてください。実力値10の下級悪魔が15レベルのパワーを使っただけで、突破力の期待値は30まで達するのです。決してあなどれません。戦う場を工夫してオーラの修正を活用するなどしましょう。

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