ダイスと判定
種々の事柄を論じるにあたって、まずはその土台となるダイスと判定から考察しておきます。
■各ダイスの期待値
シンプルダイス、クォリティダイス、ストレスダイスは、それぞれどのくらいの期待値と確率分布をもっているのでしょう?
概算すると、以下の表のようになります。
目標値 |
シンプルダイス |
クォリティダイス |
ストレスダイス |
0以上 |
100 |
100 |
99 |
1以上 |
100 |
100 |
90 |
2以上 |
90 |
100 |
90 |
3以上 |
80 |
90 |
80 |
4以上 |
70 |
80 |
70 |
5以上 |
60 |
69 |
59 |
6以上 |
50 |
59 |
49 |
7以上 |
40 |
48 |
38 |
8以上 |
30 |
38 |
28 |
9以上 |
20 |
26.9 |
16.9 |
10以上 |
10 |
16.9 |
6.9 |
12以上 |
0 |
5.9 |
5.9 |
14以上 |
0 |
4.8 |
4.8 |
最小値 |
1 |
2 |
ボッチ |
最大値 |
10 |
∞ |
∞ |
平均 |
5.5 |
6.7 |
5.7 |
頻用するストレスダイスについて見ると、0〜10の値が94%を占めているのが分かります。つまり、この範囲が通常とりうる値で、それ以上はいわばクリティカルのたぐい(=発生確率
6%)。
また、確率分布としては、0〜10と11以上との二区分に分けてみることができます。それぞれの区分の中では分布はほぼ均一で、たとえば
3d6 のときのような出目の偏りはありません。
ちなみに、出目が1だと倍々ゲームが始まるわけですが、この2倍モードの期待値は13.5、また同じく4倍モードのそれは26.8となります。戦闘など達成値が問題になる場面で《神話的》のキャラクターが権利行使したら、2倍モードから振らせるとちょうどいいのではないでしょうか。
ボッチの確率は、ボッチダイスの数に左右されます。下の表をご覧ください(ストレスダイス全体に対する確率)。
|
1個 |
2個 |
3個 |
単なる0 |
9 |
8.1 |
7.29 |
通常ボッチ |
1 |
1.8 |
2.4 |
二重ボッチ |
0 |
0.1 |
0.3 |
三重ボッチ |
0 |
0 |
0.01 |
《注意深い》をはじめとする、ボッチダイスの数を減らしてくれる美点がいくつかありますが、こうしてみると大して効果はないのかも。1個減らしたところで1%しか変わりませんからね。
■単純判定
判定の基本は〔【特性値】+〈能力〉+ストレスダイス〕です。
このとき、【特性値】は、通常とりうる範囲が±3、最低が−5、最高が+5。同様に〈能力〉は、通常とりうる範囲が0〜10、最低が−3、最高が10です。つまり、ダイス以外では、最低が−8、最高が+15となります。
一方で、難易度は基本ルール第一章にある通りで、3刻みで3から15まで。
こうして対照してみると、デザイナーの意図がくっきり浮かび上がってきます。詳細な説明は省きますが、平均的な(つまり特性値±0の)人間で考えると、大まかにいって次のような目安になります。
- とても易しい(3)
技能を持たない場合でも半々。僅かでも持っていれば9割方成功する。才能を持たない場合には8割成功。
- 平均的(6)
技能を持たない場合は2割。才能を持たない場合は半々。能力を僅かでも持っていれば6割。基礎を修得してあれば8割成功。
- 難しい(9)
技能を持たない場合はほぼ不可能。才能を持たない場合は2割。基礎を修得してあってようやく半々。専業なら8割成功。
- とてもきつい(12)
持たない能力ではほぼ不可能。特性値で優れていてもほとんど見込みがない。一通りかじったくらいでは2割。専業で五分五分。
- 非常に難しい(15)
専業では2割。達人になっても五分五分。天賦の才(優れた特性値)に依存する領域。
なお、特性値や能力をはじめとする修正は、1点あたり10%の効力があります。
ただし、ダイスのみの目標値が10以下になるまでは、ほとんど実効がないことに注意(ダイスの期待値の項を参照)。無駄にウィースや自信点を注ぎこまないよう注意しましょう。
■対抗判定
二者が合計値を競う判定について調べてみます。アルス・マギカの戦闘はすべからくこれですし、他にも黄昏の制御や魔法抵抗などに用いられます。
まず、ダイス以外の要素をすべて合計したものを「修正値」と定義します。そうして、自分の修正値と相手の修正値を比較します。するとその差がすなわち、ダイスで上回らなくてはいけない値となるわけです。
さてそこで、この振り合いで相手を1点でも上回る確率を計算してみると…(ストレスダイス、ボッチダイス1個を想定)
修正値の差 |
勝利確率 |
超過の期待値 |
勝利時のみを母集合とした超過期待値 |
11点有利 |
96.49 |
10.96 |
13.75 |
10点有利 |
95.84 |
9.99 |
12.65 |
9点有利 |
94.41 |
9.04 |
11.57 |
8点有利 |
92.83 |
8.09 |
10.52 |
7点有利 |
90.40 |
7.16 |
9.51 |
6点有利 |
86.83 |
6.26 |
8.57 |
5点有利 |
82.30 |
5.39 |
7.69 |
4点有利 |
76.61 |
4.57 |
6.88 |
3点有利 |
69.99 |
3.80 |
6.15 |
2点有利 |
62.39 |
3.10 |
5.50 |
1点有利 |
54.58 |
2.48 |
4.89 |
互角 |
45.04 |
1.93 |
4.45 |
1点不利 |
37.32 |
1.48 |
3.97 |
2点不利 |
29.62 |
1.11 |
3.74 |
3点不利 |
23.00 |
0.81 |
3.53 |
4点不利 |
17.31 |
0.58 |
3.37 |
5点不利 |
12.79 |
0.41 |
3.20 |
6点不利 |
9.20 |
0.28 |
3.06 |
7点不利 |
6.78 |
0.19 |
2.80 |
8点不利 |
5.19 |
0.12 |
2.34 |
9点不利 |
3.77 |
0.07 |
1.85 |
修正値1点あたりの価値にムラが生じていることが分かります。修正値の差が小さいほど価値が高く(最高で10%弱の効力)、以下次第に低くなっていきます。3点有利なら7割勝利と憶えておいて、そこを目安に操作するとよいでしょう。
[戻る]
|